第19話 直立するトカゲの村
<第19話>
移動していると、次第に砂漠から草原のような風景へと変化していく。
緑が現れ、遠くには山が見えてき始めたのだ。
「こんな、一晩移動するだけで緑の大地があるのに、彼らはなんで砂漠で暮らしているのだ?」
ギャロットで移動すればすぐなのだから、わざわざあんな不便なところで生きなくてもいいのに、と思うのだが。
アーレンは、ギャロットの前に座って運転してくれている。
「それが彼らの役割だからですよ」
「役割?」
「機動歩兵がこちらに来ないように、最前線で押さえている役割です」
「彼らは、この緑の大地に機動歩兵が来ないように戦っているというわけか」
そんな話を聞くと、ちょっと感心してしまうが。
しかし、その役割を自分たちで買って出たとは思えない。
他の種族や地域を助けるために、なぜあの一族がせっせと働かないといけないのか。
「この大陸の生態系みたいなものですよ」
そうサラッと言って話を続けてくれない。
何か、説明が面倒なのだろうかな?
そこまで聞きたわけでもないので、とりあえず目的地に着くまで風景を楽しむことにするがさっきの砂漠地帯との違いに驚くばかり。
普通に川があって普通に植物がある。
ここの山沿いから流れる川が砂漠に届くと地下に吸い込まれ地下水となり、それを彼らが地下水路から汲み出して利用してる、とそんな感じの水循環になってるようだ。
それ、川に何か毒物とか流れてきたらヤギ足の彼らは全滅するのでは?
大腸菌とか大丈なんかいな。
と思って聞くと、アーレン曰く砂に吸い込まれて漉された水なので大丈夫ということらしい。
化学物質とか鉱物毒とかは入ってないから問題ないとか。
「あなたたちの文明みたいに無駄なものが出ないので、毒物になりそうなものは発生しません」
「機動歩兵だっけ、あれも特に加工もせずに分解できたりするから、確かに廃棄物とか出そうにないな」
「生物的な廃棄物だけですから、全て自然に帰っていきますよ」
などと会話してたら目的地の集落に近づいてきたらしい。
小高い丘の上にある小さな集落。
遠くから見るとファンタジーの世界に出てきそうな、のんびり牧歌的な雰囲気で、家畜が周りを歩いていて草原が広がる中に果樹園とか畑っぽいものも見えてくる。
藁葺きの小さな小屋のような家が立ち並び、なんともファンタジー。
窓ガラスとかは普通にあるようで、建物の窓は四角いガラスがハマっている。先ほどのヤギ足の集落ではガラスは機動歩兵から繰り抜いたのをそのまま使ってたみたいで、レンズのカバーガラスを使ってテントの天窓が作られており、それらは全て円形になっていたのを思い出す。
ここは四角いガラスを作る技術があるのか?
地面は石畳のようだが、コンクリにようにも見える。平で固い地面で滑り止めの模様が施されているのが石畳に見えてるようだった。
なんだか浮遊してるバイクが走る世界と違うし、さっきのサイバーパンク風な集落ともまた違う感じがある。
そして、集落の門にたどり着いて俺はびっくりした。
トカゲが直立して近づいてくるのだ。
尻尾まで入れると3mくらいありそうな青い鱗を下トカゲが、ちゃんとシャツとズボンを履いて近づいてくるのだ。
見た目的にイカついので門番というか出入りを管理してる番人に見える。
アーレンは何やらキューブ状のものを取り出し彼らに手渡し、彼らはそれを手に持ったスマホのような機械の上に置いて何かを確認。
そして通っていいと言われそのまま中へと移動する。
荷物も改められず、トカゲなので表情はよくわからないがニコニコしてる雰囲気はあるので歓迎はしてくれているのだろう
「なぁ、さっき何したん?」
「荷物情報と私たちの情報を入れたキューブを預かってきてましたので、それを門番にチェックしてもらったんです」
「で、あのトカゲ人間は何?」
「トカゲ人間というか、爬虫類系の人々の一種ですよ」
「一種?」
「ここは爬虫類系のものたちが生活する場所で、ヤギ足の、哺乳類系の彼らとは異なるグループで役割も違ってます」
「ふーん」
と言いながら周りを見渡すと、俺たちを変わったものを見るような目で、村の中を歩く色々な鱗の色をした直立したトカゲたちがいる。
買い物かごを持っていたり、ギャロットに乗っていたり、料理を屋台で売ってる感じの人もいたり普通に村の生活がある感じだ。
個人的には、さっきの集落の方がこの人たちには似合ってんじゃないか?
と思うが口には出さない方が良さそうな気はする。
アーレンの運転で、俺たちは無事に目的地に着いたのだが。
それは巨大な「壁」であった。




