第19話 移動の最中に
<第18話>
翌日
そんなことがあったとは思えないくらい、みんな普通に過ごしており。
世界観の違いになんとなく「どうなんだかな」と疑問を感じてしまうが、これは文化の違いで片付けていいのかどうだか。
で、本日は労働をすることで対価となし、ギャロットを一台もらえるという話になっていた。
俺がみんなより背が高いので農作物、果樹の方の収穫を手伝ってほしいということを、ジュアくんからお願いされる。
その程度の労働でバイクがもらえる、と考えると時給いくらなんだか。
と思ってしまうが、それくらい収穫物には価値があるということなのだろう。
そして俺は果樹園ではヒーローだった。
女性は憧れの視線で見つめてきて、男性は俺に嫉妬を向けてくる。
これが、地球上での現実世界なら良かったのに。
あと、女性はみんなヤギ足じゃ無いなら良かったのに。
もともと手先は器用なので、教えてもらえれば収穫の方も問題ない。果実は洋梨のような形で甘い香りがするのだが、この人たちは全く口にしないので食べ物ではないのかもしれない。
これを定期的に爬虫類の村と言われるところに持っていき、必要な物資などと交換、あるいはプラントを維持するための「マルー」と呼ばれるなんらかの通貨のような価値のあるもの、へと変換してくるのだとか。
このマルーは食料が出てくるプラントの維持管理に使われるエネルギー単位のようなものでキューブ状のバッテリー?のようなものに補充され。それをプラントに突っ込んでおくと一定期間動いて食料を配給してくれるという仕組み。
マルーがなくなるとプラントが動かなくなるので食料がなくなり村は閉鎖される。
マルーを稼ぐために働き、繁殖し、村を拡張するのがこの人たちの生きがいのような。
しかし、そこまで過密になってるように見えないのだが?
それに、老人というか歳ととった個体がいないようにも見える。
実際、年齢を聞くと30歳以下くらいのものたちばかり。
あの夜のようにお盛んなことしてたら、子供がたくさん増えて村も拡大するだろうに
と思うのだが、子供と老人の姿が無いのだ。
それと、妊娠してる様子も無い。
でもあれは娯楽ではなく繁殖のために行動してると言われる。
現代人のように娯楽として性行為を消費してるわけではない、繁殖のためなのだ。と表向きで言ってるのかと思ったりしたが、どうやらそれは本当のようで。
こいつらの増え方、どうなってんだ?
アーレンに聞いてみても
「だんだんわかってきますから、今はスルーしてていいですよ」
と教えてくれない。
とりあえず、仕事を終わらせたら二人乗りのギャロットを提供してもらえたので。
夜を待たずにさっさとこの集落を出て移動することにした。
移動中の携帯食と水ももらえたのだが、旅人には基本的にはよくしてくれるのが、この砂漠で生きるものたちのやり方だという。
その辺り、ありがたくいただいてからギャロットをもらう。
ついでに、収穫物を「爬虫類の村」と言われるところに持っていくことも了承し、コンテナを後ろにくっつけて出発。
ギャロット、はいわゆる浮遊して走るエアバイクのようなもので、昔からいろんなSFに出てくるあれだ。
その後ろに軽トラくらいのコンテナ、これも浮遊してるものを接続して荷運びも可能。
ついでにキャンプも可能なコンテナを連結すると砂漠でも快適に休息が可能という割と至れり尽くせり。
これらが全て、あの機動歩兵から作られているかと思うと驚きを隠せないが。
こんな都合のいい形で組み替えられるようなものが、その辺群をなして歩いてるのがおかしいというものだろう。
「昔々、あなたたちも狩をして骨とか皮とか加工して使ってたでしょ?それと同じと思えばいいのよ」
今回、レーダーのようなものがついたギャロットなので運転する際に迷うことはない。
夜暗くなってからは移動を避けることにし繋いできた宿泊用のキャンプコンテナに寝床を要していアーレンと二人粗末な携帯食料をもそもそ食べていた。
あの麦粥がスティック状に固められてるだけなので、味は微妙。
「骨とか皮は人間が知恵を出して加工して初めて役立つものだ。この機動歩兵はあまりにも加工が必要ないから彼らはナイフ一本で何かを作るとか全くできないじゃないか」
「そういうものだと思ってるといいですよ。次の村ではまた雰囲気が変わると思いますし」
「この交易品というフルーツっぽいのもよくわからんな、なんで自分たちで食べないのか」
「その辺りも、後でわかりますよ」
と言われ、その日はそのまま休むことになった。
しかし、このメガラニカというところは俺の常識では測れないとこなのだと最初の村で痛感してしまった。




