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第16話 起動歩兵はいい獲物?

<第16話>


入口ではさっきの少年が武装を解いた状態、マントも上着も軽いものに変更して現れてきた。

胸当てや肩当てなど部分部分は防御力は高めてある感じで、いつでも戦いがあるような地域なのかも知れない。

下半身は真っ裸だが毛で覆われてるので多分気にならないのだろうか。


「俺はこの集落の長をしてるジュア、君達を歓迎する」


と握手を求められる。

相手は身長が140センチくらいなので、小学生と握手するような雰囲気になってしまうが。


挨拶に握手、この辺りは地球と変わらないのだな、と思いつつ握手しようとするとアーレンが先に手を握る。


そして、なぜか少し間が空いてから、俺が握手をする。


そして先にそのジュアくんが歩き始めるが。

なんでアーレンが先に握手したのかとこそっと聞くと


「握手すると相手に私たちの情報が伝わるんですよ、私が先に偽装しておきました」


「なにそれ?」


「ここの住人は全てに番号が振られていて、生まれた時から亡くなる時まで管理されてます。

その番号を手のひらから読み取ることで「どこに住んでるなんの種族か」までわかるんですよ」


「便利だな」


「管理者が管理しやすいようにしてるんですけどね」


「あ、それで俺たちにはその番号がないから、アーレンがなんかしたんか」


「偽の情報が伝わるようにしてます」


「なんで地球と同じ握手の習慣があるのかと思ったが」


「握手というか、お互い手を合わせるとお互いの素性がわかるのでやってるだけです」


「俺はなにもわからなかったが、俺の偽情報はジュアくんに伝わってるのか」


「そうです」


なるほど、一見同じような動作に見えても、中身が結構異なるんだな。

これからは最初はまずアーレンに動いてもらってから続くことにしよう。


村の中央にある大きなテントの前に連れてこられ、その内部に案内される。


中はいくつかの区切りがされており、薄中央から放射状に紐を張って、そこに布を垂らして仕切られたいくつかの部屋があるという感じだ。


「ここは、他の部落のものや集落のものが来た際の宿泊所だ。

しばらくここに寝起きするといい。

新しいギャロットを手に入れるか、移動手段を得るまで使っても構わない。ただ、村の秩序を乱したりした場合は即処罰を行う」


「村のしきたりについてはどれを見ればわかりますか?」


アーレンがよそ行きの声で聞いていると、テントの中央にある石碑を指さされ


「ストーンレコードに規律がある。それに従って欲しい」


と言って彼はテントを出ていった。

この仕切りのうちの1箇所を自由に使っていいということだがほぼプライバシーなしだなこれ。


割と放置プレイだが


「信用されてるのか?」


「さっきの握手で私たちの偽の素性は伝わったから危ない人ではないとわかったからよ」


「どんな偽情報掴ませたんだか」


「海沿いから内陸を行き来する塩商人で、今回は内陸に入った際に機動歩兵に襲われてしまった。という設定ね」


「なんで海沿いの人になってんの」


「毛がないでしょう?体毛がない存在は海や水辺に住む生き物と思われますから、私たちも水辺で生活する存在と思ってもらう方が自然なんですよ」


「疑われないためには、そういう感じになるのか」


「海沿いだったら遠いので、彼らが知らない種族がいても問題ないです」


なるほど、その辺は理解したが


「このテントでの生活はどうすればいいのだ?」


そういうと、中央の石にアーレンが手を触れる。


俺も真似してみるが、ひんやりとした石の感触しかわからない。

アーレンはなにをしてるのか?


「情報を得ましたので、イチロさんにも伝えますね」


と言って、また両耳を塞がれ目をうさ耳で塞がれる


イメージとしてこのテントの使い方、集落の配置、この村での決まりごと、食料の得方などなどが一気に流れ込んできた。


食料は配給制で配給プラントがあるのでそこでもらえること。

水はオアシスの水を使うこと。

農作物などは交易に使うので収穫物に手をつけてはいけない。

テントはひと区画に男女二人で入ること

長の言うことはちゃんと聞く

子供大事


などの情報が伝わってくるが。

テントの区画はアーレンと同じとこ使えと言うことか。

と思ってさっと覗いてみると、大体2畳くらいの広さはあるので、大人二人は横になれる。

布団がなく地面に敷く布と、掛け布が大きめのものが1枚ずつあるのであれが布団という扱いか。


「一緒に寝ることになるのか」


「そうですが、まぁちょっと問題はありますよ」


「問題?お前に制欲感じないから大丈夫だが」


「いえ、そういうことではないんですが、夜になったらその辺分かります」


「風呂は入れないから臭くなったりするんかね?」


「私たちは、常に半非物質状態を維持するために元素が更新されてますから、汚れたりしませんよ」


などと言われる。

とりあえず、テントの中にいてもしょうがないので外を歩き回ることにした。


まずなにやら賑やかになってたのでそちらを覗いてみると、先ほど倒された機動歩兵の部品が集められ、解体され、集落へと運ばれているようだった。


一見原始的な生活をしているのかと思いきや、器械などは器用に組み立てたり加工できるようで、持ち込んだ部品をバラバラにして組み上げたり、機械を作ったり。


何か巨大な炉心のようなものを運んできて、プラントにセットする様子も見られる。


「機動歩兵をバラして、それを使って動力を得たりするんですよ」


横からアーレンが解説を入れてくれる。

そしてバラした機械を見ていると、なんというか、ブロック構造になっていてパーツごとに組み替えると別のものが作れるようになっている。

ユニット構造とでもいうのか、制御系とエンジン、動力系と伝達系、

そして操作系と色々なものが取り外しして自由に組み替えられる作りになっている感じ。


なので機動歩兵をバラして、そこからバスのような巨大なギャロットや小型の乗り物などが新たに生み出されていたりする現場も見ることができた。


なんというか、バラして再構築されるために作られているような構造だな


と思っていると


「レゴブロックみたいだと思ってたでしょう?」


「そうだな、バラして組み替えたら別のものが作られていく、というのはなんというか、不思議な感じもあるが。

最初からそう使ってもらうように作られている、とも受け取れるな」


「なかなか鋭いですね。あれらは支配側が提供してるものなので、わざとああなってるんですよ」


「なんで」


「力をつけてもらうためですよ。

工業製品を1から生産するのは難しいでしょう?日本が戦後復帰できたのは、元々ネジから戦車から作れる工業技術があったからでしょう。

しかし、それらのない地域が戦争が終わって平和になってもいきなり工業で復興することはできません。他国から武器は購入できても自作はできない地域は割とあるでしょう」


「なんでいきなり地球の政治とかの話が出てくるんや」


「あなたの知識に合わせると、わかりやすい例えだからですよ。

目の前の彼らは技術を持っていませんが、使える知識と知能はあるので、それに合わせてものが配給されていると思ってください」


「だったら最初から部品で届ければいいのに、なんで起動歩兵は襲ってくるん」


「命の危機がないと生物は知恵を使いませんよね、擬似的に、ここはそれが行われているのです」


目の前でバラされ組み替えられていく機動歩兵はここの住民に何をさせるためにそのようなことをしているのか。


「明日になれば、ギャロットを一つもらえるでしょうから。それに乗って移動していきましょう」


アーレンはそう言って、機動歩兵をバラしてる現場へと歩いていく。

お金とか貨幣という概念はないので、ギャロットをもらう代わりに何を提供すればいいのか、について相談しにいくという。


色々と、自分のいる世界との違いを感じてしまうな。

しかし、それよりも俺は腹が、減った。


さっき指示されてたプラントにでも向かうか



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