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第14話 機動動歩兵

<第14話>


「あのさ」


「なんです?」


「俺たちって、半非物質状態、いわゆる幽霊状態なら何かチート能力とかないの?」


「ないです」


「幽霊ってもっとこう、女子更衣室に忍び込んだり、好きな人の部屋に忍び込んだりとか色々できると思ってんだけど」


「そんなの肉体を持ってる人間の幻です。ちゃんと半非物質状態に壁があって扉があって、あちらが許可を出さない限りは入れないようになってます」


「昔からの、バンパイヤが招かれないと入れないとか、妖怪も招かれないと入れないとかそういうのも理由があったんだな」


「半非物質状態の存在は半非物質に影響を受けますが、肉体持ってるとそれらを無視して動けるので、むしろ肉体ある方が最強ですよ」


「ここで肉体は構成できんのかね」


「できないこともないですが、肉体がある分疲労が倍増しますよ」


「ままならんな、で、今は集落探して彷徨う羽目になるんか」


「水だけではなく食べ物も欲しいですからね」


などと会話しながら、とりあえずメガラニカの第一村人を探すために砂漠を彷徨う。

さっきの井戸の並びを辿れば、その先にオアシスがあって村があるだろうと歩いているのだが、なかなかその先が見当たらない。


「そのウサミミ高性能レーダーでなんかわからんのかね」


「だから、村の方向には歩いてますって」


「結構遠いが」


「一つ丘越えないと辿り着きませんからー」


と無駄な会話でもしてないと時間がもたない。

半非物質存在であるおかげか、疲労とか太陽からの熱とかそういうのは軽減されてるので、小春日和の高原を散歩する程度の疲れしかないのではあるが。

この辺は恒星人情報によるちょっとしたチートっぽいものらしい。

現地人は普通に砂漠にいる感じになるはずなのだとか。


砂だらけの平地、本当に人、というか悪魔というか、そういうのが住んでいるのだかどうだか。


と思って遠くに目をやると、何か巨大なものがずらっと並んで歩いている姿が見える。

砂埃が立ち上がり、丸い大きなドラム缶?みたいなのが数十と動いているのだ。

なんとなく手足のようなものが見えなくもないが


それがこちらに近づいてきている。


「おい、あれなんだ?」


「あれは機動歩兵でしょう。無視していいですよ」


「いや、何あれ?機動歩兵って」


「管理者が定期的に集落を襲わせて憎しみを生み出そうとする悪趣味なものです」


「なんの意味があるんだ?」


「アトランティス、レムリアの人には悪感情がないんですよ。

だからそういう憎しみとか怒りとか強い感情を生み出す必要がありまして。人類がイラッとしたりムカっとする原因はここで作られた感情、情報なんですよ」


「なんでそんなこと」


「怒りが、悲しみが行動原理になることはありませんか?

大きく文明が動く時、人が動くときはなんらかの感情的な憤りなどが要因の場合があります。

例えば美大に落ちた悲しみ、怒りが元となって独裁者になったとか」


「なんとなくわからんでもないな。

で、それをここで作って何になるんだ」


「レムリアとアトランティスの生まれ変わり情報にここの「怒る」エネルギーを入れておくと、エネルギーの変化の時期に大きくスムーズに変わってくれるんですよ。

その怒るエネルギー、情報のためにここの住人はあれらに翻弄されてます」


「非道だな」


「あなた方人類を進化させるためですから致し方ありません」


「で、あれこっちむかってきてるけど。

巻き込まれたらどうなる?」


「多分大怪我とかするんじゃないですかね」


「なんでそんな冷静なんだ!」


「仮にここで半非物質肉体が消滅しても、私もイチロさんも恒星人リンクが生きてるのでリセットかかるだけですから」


「で、リセットかかるとどうなるん」


「また最初から、上司の部屋から落ちるとこら辺からやり直しですか」


「面倒だな」


「時間とか気にしなくていいので、何回かリセットしてたらあれの来ないタイミングに合うでしょう」


「いや、俺半非物質でも死にたくないが」


「じゃあ逃げますか」


そんな話してるうちに、それらはだんだん近づいてくる。

しかもでかい。


20mくらいある円筒形の体に、短く安定性のありそうな足と、バランスを取るだけに特化したような細いパドルのような腕。


全体的にペンギンのような感じだが、それが時速50kmくらいで砂煙上げて近づいてくるのだ。

しかも、横に並んでいるので幅が100mくらいありそうな隊列。


今から走ってあんなん逃げられるんか?


「走って逃げられると思う?」


「私の計算では間に合いません」


「どうするん!」


「まぁ痛くないように一発で踏まれるように足の下に入ってください」


「痛いんか!」


「そりゃ死ぬわけですから。強引にリンク情報が遮断されるのそれが痛覚として感じられるかもしれません。でも肉体持ってるときよりは痛くないはずです」


「はずってなんだよ」


こいつらの死生観にはいつまでも合わせられない気がする。

どんどんと迫ってくる機動歩兵、そもそもなぜこんなドラム缶が機動歩兵扱いになるのだ。

でかいメカトロウィーゴが迫ってくるようなもんだし。


覚悟を決めて、リセットできるようにしたいが、やっぱ怖いぞ!


とか思ってたら、急に目の前に、砂煙を上げながら一台のホバーバイクのようなものが割り込んできた。

俺とアーレンがそれに乗っていた二人組に抱えられ引き上げられ、そして機動歩兵の前から助けてくれた。


と思った途端に俺たち二人を砂の上に放り出して、また機動歩兵の前へと戻っていく。

そのホバーバイクのようなものに乗っているのは、ヘルメットを被った小柄な人間のように見える姿。


前に乗っている方の肩にはロケットランチャーのようなものと、後ろに乗っている方は長柄の悪魔が持ってるようなデスサイズなカマを大きく振りかぶって、そのまま突っ込んでいく。

カマの周囲には力場が発生してるようで、わずかに光を放っている感じ。


ロケットランチャーが火を吹き、先頭の機動歩兵が足をやられゆっくりと倒れていく。

その横、前後の足元にそれは潜り込み、後部座席の鎌を持っているものが足元を削っているようで、他にも数体倒れ始めた。


隊列が崩れると形的に弱いもので、バタバタと連鎖的に倒れていく。


その様子を間近で見てる俺たちは、倒れてきた機動歩兵に潰されないようにジタバタ逃げ回っていた。

ついでにたまに外れたロケット弾とか近くに着弾してヒヤッとしたりもした。


「なんだこれ!」


「どうやら、現地住民が反抗してるようですね」


アーレンはそう言いながら耳で情報を集めているようだ。

そして、腕輪からいくつかの小さな虫のようなドローンを飛ばして


「この端末にドローンの映像を投影しますから、彼らの動きを少し見てください」


アーレンは自分の背中を指差す。

服の背中には先ほどのドローンからの映像が投影されているようだ。

この服、モニターにもなるのか。

と思いつつ砂埃などの異物をリアルタイムで排除した形で修正画像が投影されているのだが、アーレンの手持ちの機械は色々と性能がすごいものである。



彼らはホバーバイクに乗り、機動歩兵の足を崩して倒した後にトドメを刺して回っているようで、起動歩兵の頭にある目のようになっているところ。アーレンの映像にはコントロールコアと説明が入っているが、頭脳になるところを丹念に潰して行ってるようだった。

見たところエンジンのようなところは極力壊さないようにしてる雰囲気があるので、後で利用でもするのかもしれない。



そして全ての起動歩兵が倒されたあと、彼らは俺たちの前に降り立つ。

最初、小柄な人間なのかと思っていたが。

上半身は確かに人間であった。革鎧のような服を身につけ、革製の丈夫な頭巾をかぶっている。

頭巾というか、透明なバイザーがついたヘルメットだと思うが形が尖っているので、防空頭巾のような形に見えてしまう。

ロケット砲を抱えていた人物はまだ少年のような若さが感じられ、鎌を持っていたのは少女と呼ばれるくらいの人物。

頭巾に取り付けられたバイザー越しの表情は警戒を怠ってないことがわかり、いつでもカマの一撃を入れられそうな距離で二人は立ち止まった。


その二人は人ではなく、二人とも下半身が山羊の足であったのだ。

濃い茶色の短い毛に覆われた、羊足と羊のしっぽ。蹄もある。

ところどころ傷が入っている皮の鎧、使い込んだ革のグローブにバイザーのついたヘルメットのような頭巾、布の分厚いマントなどで体を覆い、破片や衝撃から肉体を守れるようにしているのだが。


そう、彼(彼女?)らは下半身がマッ裸なのだ。







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