第13話 A long time ago in a twin universe far, far away...
<第13話>
水を得てひと心地ついた後に、岩陰にて二人体を寄せ合い、別にいやらしいことをするわけではなく情報をもらうことにする。
前と同じように耳を塞がれ、目をウサミミで塞がれる。
すると、急にドキュメンタリー映像のような感じで情報が入ってくる。
暗い宇宙をバックに文字がスクロールしていく無駄な演出はあの上司のせいなのか、アーレンの趣味なのか。
A long time ago in a twin universe far, far away....
と、どこかのスターウォーズ的な音楽が始まって、同時通訳的な日本語が入ってきて、映像が宇宙の様子に変わっていく。
いや、これ冒頭パクリやろ。
昔々、別の宇宙からやってきた情報生命体は長い旅路の末、地球上を爬虫類が支配していた時代に辿り着き、彼らを一掃してしまう。
その時に生息していた爬虫類型人類、知的生命体では双子宇宙を認識できないからだ。
双子宇宙を認識可能な哺乳類型の人類のベースを作るため、地上では生物層が哺乳類へと変化するように導かれ。ボディは地球で進化し長い時間をかけて生み出されるように設定されていく。
二足歩行する形は宇宙を認識するための姿だ。
知的生命体には、ボディだけでは役目を果たさない。
その精神、情報、パターンなどを構築し、ゆくゆくは双子宇宙を認識する知的な生命となるため、哺乳類型の二足歩行知的生命体の魂パターンを構成すべく地球上で情報生命体は半非物質生命体を作った。
『人間』のプログラムを別の宇宙から来た情報生命体が作り、
人間の体を地球が物質として進化させていく、この流れがここで作られていった。
地球表面ではこのあと、人類のボディとして最適なものがふるいにかけられ、ホモサピエンスが残っていく。
別宇宙から来た情報生命体が生み出していった、半非物質の古代大陸の方では、いずれ生まれくる人類の魂の形、精神のパターンを形作るために地球上でさまざまな種類を生み出し、そこで知的生命体としてボディに繋げられるかどうか、その存在を生み出すために様々な試験が行われていく。
半非物質生命体には、集団で成り立つもの、個体で最強のもの、など複数のパターンが実行され生存競争、地球の生き物のようなこともさせてみるが、情報生命体からもたらされる一種類の半非物質情報、魂情報でなんの動きもなく発展もなく、衰退していくことが見えてきた。
そこで、一旦、過去に生み出したものを整理、処分し情報生命体は双子宇宙それぞれの性質を持った新たに二つの異なる半非物質生命体を生み出すことになった。
ここで二つの性質、双子宇宙αの性質を持つアトランティスと、双子宇宙βの性質を持つレムリアという魂の形が生まれていく。
その二つを生み出す前に一旦片付けられた者たちが、メガラニカというところに集められた。
このものたちは人類への影響をもたらしてはいけないため人類の魂との接触を全て遮断されていったのだ。
メガラニカではその隔離された半非物質生命体たちがアトランティス、レムリアでは体験できないようなことが起こるように仕組みが整えられていく。
それが今の俺たちがいる大陸であるという話。
そこまで見てから、視界が元に戻る。
アーレンが耳を外したのだ。太陽を背に覗き込んでくる。キラキラとした水色の髪の毛がふわっと風で揺れる。
いつも「綺麗な顔だな」と思うのだが、それ以上の感情は湧いてこない。
これが性欲がない状態というものなのか。30前にしてそんなことを悟ってしまう。
だから目覚めた人は性欲に塗れないのかも。
スレンダーながら豊かな肢体が俺の上から退いて、
「ここは、今で言うなら南極大陸に相当する位置ですね」
と砂漠の風に髪を揺らしながら。
さっきまでの情報と今目の前のウサミミ美少女とのギャップで頭が落ち着かないが。
双子宇宙とか色々考えることはあったがまずはさっきの言葉に反応してしまう。
「南極って分厚い氷で覆われているのでは?」
「今見ていただいたのは恐竜が滅亡してからの話ですから、数千万年前の話です」
「お前の情報見ても、なぜこうなったのかが全くわからんのだが」
「それは・・・別宇宙を認識するための話なので、イチロさんには説明してもわからないと思いまして省いてます。
私たちがこれからなすべきは、そんな大昔に存在した半非物質生命体の二つの勢力ではない、メガラニカの半非物質生命体と私たちは会って、そこで繋がりを持っていかないといけません。
メガラニカの目指したアトランティス、レムリアではない体験を加速させる経験ですよ」
「バーチャルじゃダメなんか」
「これがその中ですよ。実体験と同じ経験情報を集めることで、深く理解が進むということ。
海外に旅行に行くよりしばらく住んでた方が経験値が高くなるでしょう?それと同じですよ。
上司の時間だと私たちがこちらで数十年過ごしても数分くらいの感じになるでしょう」
「ここでお前と数十年も暮らさないといけないのか?」
「そこまでの情報は必要ないので、数ヶ月くらいでいいと思うんですが」
「・・・それでも数ヶ月か。精神と時の部屋で体験してる途中ってこんな感じなんだな」
「なかなか貴重でしょう?」
「戻ったら儚い記憶でしかないものに、こんなにリアリティを持たせる意味がわからんな」
「私たちの今にとってはリアルだからですよ」
「まぁなんか、色々考えてもしょうがないが。月曜の会社に間に合うならいいよ。
んで、ここにいる大昔の情報生命体ってどんなんだ?アダムとイブの時代みたいに全裸の美男美女?話だけ聞いてると楽園追放って感じがあったけど」
「・・・見ればわかると思いますが、大体デビルマンの敵みたいな感じで」
「デビルマン?」
「アニメ版は南極大陸の氷漬けになった悪魔が、毎週一匹ずつ解凍されて登場してきてたじゃないですか」
「知らん、そんな古いアニメとか。漫画版しか読んだことないがそんな話じゃなかったぞ」
「アニメと漫画は全く違いますよ。
で、あれに出てくる悪魔は人間の形してないでしょ?ああいうのがこの大陸にはウヨウヨいるんです」
「なんじゃそりゃ、襲われたら死ぬやん」
「旧約聖書でもあるでしょ。天使が堕天して悪魔が生まれたって。
神より作られし存在が、神の世界から排除された雰囲気はこのメガラニカの話に近いとこがあるのですよ。だから、悪魔的な、凶暴なものもいるという噂なので慎重に行きましょう」
「アーレンはこれについて詳しく知らんのかいな、デビルマンアニメ版と漫画版の違いとかどうでもいい知識は持ってるくせに」
「人をあの世に導くために、いろんなことしますから。サブカルチャーの知識は大事なんです。それで、メガラニカは、二つのエネルギーがうまく移行するために生まれた、だから争いを常に生み出すように作られている、と聞いたことがありまして」
「じゃあ集落に行くと、悪魔的な姿の蛮族が槍とか持って襲ってくるんじゃないのか?」
「一応、人類の魂、霊的部分の試作品ですから、そこまで蛮族ではないと期待したいですけど」
「人間にも蛮族は普通におるがな」
会社にクレーム入れてきたおっさんとかの顔が脳裏をよぎる。
言葉は通じてても話を理解してくれない人類のなんと多いことか。
そういえば、
「アーレンたちはさっきさらっと語られてた、別宇宙からきた存在、なのか?」
とふと疑問に思ったことを聞くと
「私たちは『つくられし者』の末裔です。どっちかというとβ宇宙のパターン、レムリアンです。聖書的な言い回しすると神に作られた天使的なポジションのさらに下っ端って感じ」
「恒星人じゃないのか?」
「後で話しますけど、恒星人の中にレムリア人も入ってるんですよね。その辺は今話すとややこしいので後で」
レムリア人?恒星人?
なんでこうも色々な話が後から後から出てくるのか。
なんか、とりあえず考えるのをやめて、アーレンの進む道をついていくことにする。
俺にとっては今の状況が全くわけわからないのだから。
とりあえず、ジンメンみたいなのが出てこないことを祈ろう




