第12話 冷凍みかんを食べさせられたのは
<第12話>
なんとか、小さな水場についたが。
水場というか地下水路の維持のために作られた整備坑みたいな感じがある。砂漠にいきなり井戸が現れたような、砂に埋まらないように覆いがつけられたタイプだ。
地球でも砂漠地帯にあるオアシスから水を引っ張る地下水路のあれだな。カナートだったかカレーズだったか。
井戸のような形になっていて、それがずらっと等間隔に並んでいる。
それを辿っていくと、どこかの村に着くだろうと言われたが、とりあえず水を確保しアーレンから情報をもらうことにした。
井戸みたいになっているが、水を汲み上げるための桶とロープが用意されているため旅人などが喉を潤すことができるような作りになっている。
が、この桶の材料が木材ではなく、なんか謎の有機プラスチックっぽい感じなのだが。
色は違うがケロリンの風呂桶みたいな質感というか。
そしてついているロープが、なんか植物性ではない感じ。
動物の毛をまとめて編んでいる感じで、なんか人毛っぽいのも含まれてる気がしないでもないが気にしないことにする。
そもそも、情報生命体のアーレンが何故に水が必要なのか?
と問うてみると。
さっきまでの太陽、恒星人として存在してた時は「情報生命体」で、今メガラニカに入ったとこから「半非物質生命体」になっているという。
「ベルリン・天使の詩とか、堕天したら肉体を得るという天使の話があるでしょ?」
「なんでそんな古い映画知ってるんだ」
「あなたの知識に合う情報を引っ張ってきてるのよ。シティ・オブ・エンジェルが良かった?」
「あれは駄作・・・いや、映画の評論はどうでもいい。俺たちの状態って、そもそもどうなってんの?」
「太陽、恒星人としている状態、上司とかと会ってる時は「情報生命体」ですよ。イチロさんもそうなってます。
そして、地上で人を助けたり、幽霊みたいになってる時は、半非物質生命体になってます」
「その辺はシームレスに切り替わってるのか、俺には区別つかないんだが」
「イチロさんにとっては半非物質状態でも情報生命体状態でも「幽霊」で一括りにしてるから判断つかないんですよ。
海に潜って「深いとこ」「もっと深いとこ」とか思ってると海に区別はないですが。
深海、浅瀬、とか区別をつけると「ここから深海になります」と意識に境界ができるでしょ?私たちからするとそういう感じ」
「つまり、俺はまだ慣れてないからその区別がつかんと」
「簡単に言えばそうですね。慣れてくるとわかりますよ」
「その辺はどうでもいいが、そうなると今の状態は俺も幽霊、アーレンも幽霊、半非物質状態になってるから、幽霊状態の体、半非物質の体を維持するために半非物質の食料や水を得ないといけないのか」
「ええそうですよ、肉体での食事と同様、外部から取り込まないと維持できないんです」
「面倒だな。情報生命体が半非物質人になったら半非物質な食物を取らないと栄養がなくなって死ぬとか、なんか変な感じだな。じゃあ同じく半非物質な幽霊はもの食ってんのかね」
「お供えあげるじゃないですか。あとは、食べ物、人間が認識してる「もの」には全て半非物質領域があるので、それを食べてます。幽霊には幽霊側の食べ物があって、それを食べることでより幽霊になっていくんです。最初私と会った時に冷凍みかん食べてもらったでしょ?
あれは、イチロさんの幽霊状態を安定させるためだったんですよ」
「もし、あれ食べてなかったらどうなったんだ」
「私が有無を言わさずねじ込んでましたが」
「容赦ないな」
「自発的に食べてくれてよかったです、だから言葉が通じるようになったんですよ」
「ああ、そういう手順だったのか」
「千とかそういう千尋の物語とかでも、ハクが最初に食べさせたじゃない。あれと同じですよ」
「冷凍みかんは、しかし風情がなかったな」
「とりあえず、そこにあったので利用させてもらっただけです」
「じゃあ、俺はこの水を飲んだらメガラニカ人になっていくのか?」
「うーん、イチロさんは肉体情報が強いので問題ないと思います」
「アーレンは?」
「私も、恒星人として長くやってますし、そっちのご縁が強いので一時的にメガラニカ人に近くなるだけで仕事が終われば問題ないです」
色々と、情報生命体、半非物質人とかいうのも設定が色々あるものであるな。




