第11話 突然きたぜメガラニカ
<第11話>
そして何かにぶつかり落下が終わった。
ジャリジャリしてる、サラサラしてる?
ガバッと起き上がると、そこは広大な砂漠だった。
見渡す限り砂しかない。
横を見ると、呆然としたアーレンがヘニョと座っている。
「おい、これ何?」
「・・・だから、上司と話すの嫌なんです。なんでもこっちの意図とか関係なくいきなりなんですから!」
そう言いながら砂の地面を叩いている。
いつもこんな目にあってんだな大変だ。
サラリーマンと同じ悩みを持つ情報生命体とか、あまり聞いたことないな。
「で、ここどこだ?」
宇宙からは灼熱の太陽が照らしている、はずだがそこまで熱くは感じない。
地面も太陽に焼かれた熱い砂が広がっている、ように見えるがそこまで熱くはない。
スーツ姿で立っていてもなんとかなる。
しかも皮靴で歩いても沈み込むこともない。
情報生命体のバーチャル空間か?
察しのいい俺はそんなことを思ったが、アーレンは
「ここ、メガラニカです」
「メガラニカ?」
「そうですねぇ、昔々の古代大陸の話でレムリアとアトンラティスですが。そこに第三の勢力、メガラニカ大陸というのも存在したのです」
「メガラニカは軸とか情報とか言ってたからてっきり大陸とかではないのかと思ってた」
「上司の説明をいつも最初から聞かないからです」
「だって、宇宙が始まる前からの説明とか聞いてたら時間なくなるが」
「それはそうですが。
そもそも、情報生命体なのですからあんな説明は不要なんですよ」
「え?そういえば、アーレンから情報送られる時は耳で覆われるだけだったな」
「だから、あれ上司の趣味なんで、困ったものですよ」
「・・・なんであんな趣味してるん」
「昔、地上の人にああいう感じで説明したらとてもリアクションが良くって。
それから癖になってたまに悟りそうな人とか死にそうになった人がまちがってこっちにきた時にああやって解説して地球に戻して、経過観察して楽しんでるんです」
「・・・もしかして、俺もその悟りそうな人のリストに入ってるのか」
「もちろんそうです。
だから、あまり上司にいじられてほしくないんですよー。急にイチロさんが「悟った!」とか言って今の仕事放棄したら、私バラバラになっちゃうんですから」
「さっきの話だとそう言われてたな。つまり俺と一緒に働かないと死ぬってことか」
「そういうことです」
「ここで俺に肉体があれば、手伝ってほしければ俺の言うことを聞け、みたいにアーレンにいやらしい要求とかしていくのがセオリーなのだろうがな」
「そんなことしなくていいです」
「いや、肉体ない状態だと性欲とかも薄くなるよな、と思ってさ。ナイスバディの薄着の若い女子が目の前にいつもいるのに、なんかそういうムラムラした気分ならんもんなー」
「人間は肉欲に引っ張られてるんですよ。恋愛とかああいうのも気のせいです」
「情報生命体から見るとそうなんやろけどな。情報生命体の恋愛ってどういうの?」
これまでの会話は、アーレンが歩く方向に一緒についていき、歩きながら話してたのだが。
急に砂漠の真ん中で立ち止まり
「私の情報容量を上回ってくれる人が包容力あっていいですね」
と恍惚として語っているが
「俺じゃダメなんか?」
「地球人程度の情報容量はカスです。イチロさんは人間からするとペットのハムスターレベル。私からしたらそれくらいに見られてると思ってください」
「そんなに情報量違うのか」
「だから上司は、猫とか犬とかにちょっと芸を仕込んで、それが上手くできたのを見て喜んでる悪趣味な人類と同じような視点であなたを見てるんですよ」
「悪趣味かどうかはわからんが、そんなにレベルが違うと仕方ないわな」
「割と気にしないんですね」
「恒星人と張り合おうとか思わんよ」
などと話してるが一体どこに向かっているのかと聞いてみると
「私の高性能レーダーで水のあるところ探して向かってます」
そう言って頭のウサミミをピコピコさせている。
「ちょっと、これってバーチャルの体験版とかではないのか?」
「肉体がある人からするとバーチャルっぽいですけど、私たちから見るとリアルですよ。ちなみに、イチロさんも今そのリアル状態ですからね」
「つまり、水とか食料情報をえないと干からびるってことか」
「そうですよ。
まずはこの状態を生き延びることを始めないといけないのです」
「なんでそんな仕打ち受けんといかんのや」
「メガラニカをリアルに体感して、情報としてしっかり刻みつける、縁をつける必要があるからですよ」
「恒星人とか宇宙人なら高速学習とかそんなものはないのかね」
「とりあえず、私がこれからこの大陸のあらまし情報を水場についてから叩き込みますから、まずは水場行きましょう」
「くそ、なんで宇宙人かと思ったらあの世の話になって、あの世の話かと思ったら古代大陸の話にならんといかんのや」




