隣国
いつもどうり、学食にて結奈が昼食をとっていると、隣にいるリリーナに声をかけられた。
「ねぇねぇ!!ルーちゃん!今度の休日、良かったら一緒に遊びに行かない?」
「え!良いの!!行きたい!!!」
結奈は初めてのお友達からのお誘いに喜びながら返事をする。
「やったー!じゃあさ!じゃあさ!ちょっとだけ遠出して!一緒に【フメル王国】に行こ!」
「いいよ!」
「わーい!」
リリーナは両手の高らかに上げながら喜びを表す。
結奈も結奈で、【友達と遊びに行く】という、夢にまで願った事がとうとう叶い、どうしようもないぐらいにテンションを上げる。
「楽しみだなぁ~!…ところで、フメル…?王国っていうのは何処にあるの?」
「隣だよ~」
「隣…?」
「そう隣~フメル王国とレミーラ王国は【姉妹国】なんだよ」
「そうなんだ?!でも、王国を跨ぐって、物凄く時間かからない?」
「大丈夫だよ~ワープゲート通れば一瞬!
まぁ、そのゲートまでが長いんだけどねぇ~」
「ワープゲート…そんなものがあるんだね」
「そうそう!昔、色々あって手を取り合ったフメル王国とレミーラ王国は、人々がお互いの王国を行き来しやすくなるように、ワープゲートを設置したんだって!」
「なるほど!リリーナちゃんは物知りだね!」
「フッフーン!!まぁね!」
リリーナはあまりない胸を張りながらどや顔をする。
「という事で!今度の休日は目一杯お洒落してきてね!約束!」
「うん!」
二人は手を繋ぎながら約束をし合う。
………
「流石ですお嬢様、とてもお似合いです」
「ほ、本当ですか?」
「本当です、ロセは嘘をつきません」
「フフ…知ってますよ」
結奈かこの国に転生してから既に半年という時を過ごしているため、結奈は皆の事を理解出来るようになってきた。
「じゃあ、リリーナちゃんと遊びに行く時はこの格好にしようかな~」
「…良いと思いますよ……」
「…?どうされましたか?ロセさん………えっ?!」
結奈はいきなり下をうつむいたロセの顔を覗き込むと、ロセの目には涙が溜まっていた。
「ロ、ロセさん?!どうされましたか?!」
「…ロセは今、お嬢様に感動しております、いきなり記憶を失くされて不安にもかかわらず、お嬢様は立ち上がり、聖女としての義務もこなし、立派な友もお作りになられて…前と少しだけ違う所もありますが、やはり【お嬢様は記憶を失くされてもお嬢様】なのですね…!」
「…ありがとうございます…」
結奈は心を痛めながらも、ロセを落ち着かせる。
困った事に、この国の人達は純粋が故、結奈に罪悪感を与え続ける。そして結奈はその罪悪感を使い自身を傷つけ始める。まるで負のリサイクルだ。
「…みっともない所をお見せしてしまい申し訳ございません…お嬢様、リリーナ様との外出、楽しんできてくださいね」
「もちろんです」
「…あ!お嬢様、こちらのドレスもいかがでしょうか?きっとお似合いになりますよ」
「わぁ!こっちも素敵ですね!」
………
チェルラー家の前にて、一台の馬車が止まっていた。
(ルーちゃんまだかなぁ~)
馬車の中にはスラッとしたパンツを着用したリリーナが肘をつきながらメルーナを待っていた。
少しすると、重く丈夫な門がギギギと開く音がした。リリーナはすぐさま馬車から降り、門のもとへと走り向かった。
「ルーちゃん!」
「リリーナちゃん!」
結奈はロセと共に門を潜り抜け、そして二人はお互いに駆け寄り、手を広げハグをした。
「ルーちゃん!待ってたよ!」
「本当!ごめんね、ありがとう!」
二人は少しだけ離れ、お互いの姿を確認する。
「ルーちゃん可愛い!綺麗!お姫様だよ!」
「ありがとう!リリーナちゃんも、まさかのパンツスタイル、物凄く格好いい…フフ…ちょっとだけ裏切られちゃったかも」
「似合ってる?」
「物凄く」
「良かった!じゃ、行こ?」
リリーナはそう言い、メルーナの手を取り馬車へと乗せる。
「楽しみだね!ルーちゃん!」
「うん!物凄く楽しみだよ!リリーナちゃん!」
二人はまたもや仲良く手を繋ぐ。
「お姫様!!ではお気をつけて!!」
「はーい!」
結奈はロセに手を振りながら、「行ってきます!」といい、馬車はチェルラー家から離れていった。
二人は馬車の中で話に花を咲かせながら、目的地であるフメル王国へと向かった。
「んふふ、わたしルーちゃんと遊びに行くのが楽しすぎて昨日寝れなかったんだよねー!!」
「本当?!…嬉しい…」
結奈は【自身】をそこまで想ってくれているリリーナに、胸が張りはけそうなぐらい【愛おしい】という感情が沸き上がった。
結奈は友達が出来ると必ず3日辺りで離れられていたが、リリーナは半年経っても離れず結奈の側にいるため、結奈の中で【リリーナ】と言う存在はとても大きくなっていた。
それにリリーナは結奈を【聖女】として見ていなかったのだ。
………
一度、結奈はリリーナに攻めた質問をしたことがある。
「ねぇ…リリーナちゃんは、私が私じゃなかったら、どうする?」
「どゆこと?」
「あ、えっと、実はリリーナちゃんが仲良くなったのが【本物】じゃなくて【偽物】だったら、リリーナちゃんはどうするかなぁ~って
…もちろん、例えだよ!」
「う~ん別にどうもしないかなぁ~」
「ど、どうもしない?」
「うん、たとえルーちゃんが偽物だったとしても、別にどうもしないよ、だって、もしルーちゃんが偽物だったとしても、その場合、わたしの友達は【偽物】の方だもん」
「そっか
…嬉しいな」
「何か言った?」
「うんん、何にも!」
「て言うか、何この質問?」
「えっと…どうやら最近流行ってるらしくてね!相手の友情を確かめる…みたいな」
「も~!!そんな事しなくても、わたしのルーちゃんへの愛情は常に見えるはずだよ?!いっつもご飯一緒に食べてるじゃん!いつも手を繋いでるじゃん!」
「そ、そうだね、ごめんね…」
「も~ルーちゃんったら!」
………
「フフ……」
結奈は静かに笑みをこぼす。
「どうしたの?ルーちゃん」
「フフ…リリーナちゃんとお友達になれて良かったなって…」
「!!わたしも!わたしもルーちゃんとお友達になれて嬉しい!!」
「一緒だね…」
「うん!」
…リリーナちゃん…大好きだよ、この世界で一番…だから絶対に私から離れないでね…?
…これからも【私】を愛してね…?
私も、リリーナちゃんを愛すから...




