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禁忌…?

 学校に入学してから、早3ヶ月程経った。時間の流れとは早いものだ。

 3ヶ月も経つと、結奈(ゆいな)は異世界での生活に慣れ、得に困った事もなく過ごしていた。

 結奈は心にも、時間にも余裕が出てきたため、そろそろどうやったら元の世界に戻れるかを調べるため、レミーラ王国にて、一番大きいと言われる、図書館へと向かう予定だ。


「お嬢様、準備は出来ましたでしょうか?」  

「はい!大丈夫です!」

「では、行きましょう。」


 結奈はロセの手に手を差し出し、馬車へと乗り込む。最初馬車に乗った時はあまりの揺れに、車酔いならぬ、馬車酔いをしていた結奈だが、何度も乗るうちに、すっかりと慣れてしまい、馬車酔いをすることはなくなっていた。


「…それにしても、いきなり図書館に行きたいだなんて、何か気になるものでもございましたか?」


 ロセは首を傾げながら結奈に理由を聞く。


「いえ、大したことはありませんよ、ただ少しでも早く記憶を取り戻したいので…少しでもきっかけになるものを探しているんです」

(異世界転生したので元に戻れる方法を探したいんです!…なんて言えない…)


 結奈、及びメルーナは一応記憶喪失ということになっている。


「そうだったんですね…お嬢様…ではロセもお嬢様の記憶を取り戻すため、精一杯頑張らせていただきます!ですので何かあったらすぐにロセに相談なさいませ」


 ロセはそう言い、目を輝かせる。


「…ありがとうございます、ロセさん」


 痛い、チクチクとした痛みが結奈を襲う、止めて、優しくしないで、困った事にこの国の人達は皆、結奈に優しく接してくれる。

 きっとメルーナが聖女という事もあってだろうが、今までの人生、あまり人に感心を持ってもらえなかった結奈からすると、自身を見てくれているが嬉しくて仕方がなく、より【この体から出たくない】と思ってしまうのだ。しかしそれではいけない。

 皆が求めているのは、【()()】ではなく【()()()()】なのだから。それに、借りた()はしっかりと本人(メルーナ)へと返さないといけない。 

 結奈は馬車に揺られながら、ぐちゃぐちゃな感情を何とかまとめる。


「お嬢様、図書館に付きましたよ」

「……へ?…あ!ありがとうございます!」


 結奈はハッ!とし馬車から降り、図書館の館内へと歩みを進める。

 結奈は館内に入った瞬間、わぁ!と驚きの声を発する。

 結奈の目の前には物凄い数の本が数えきれないほどあり、流石王国一の図書館だと感心した。

 しかし、これ程沢山の本があると結奈が求めている本を見つける事が出来るのか。結奈はゴクンと唾を飲み込む。


「お嬢様、ロセは少し読みたい本があるのでちょっとだけ側を離れるんですけど大丈夫ですか?」

「はい!大丈夫ですよ!」

「ありがとうございます、ではお嬢様もゆっくりなさって下さいね」


 そう言い、ロセが結奈の側を離れる。結奈は袖を捲りよーし!!見つけるぞ!と気合いを入れる。







 ………









「う、嘘…全然見当たらない!」


 結奈はあれから2時間程探し回ったが、お目当ての本は一切見当たらなかった。


(もしかして、そんな本なんて最初からないんじゃ…)


 結奈は顔を青く染めながら考える。

 よく考えてみれば。異世界転生なんて物語でしか無い話し、しかし今いる国はほんの少しだけ魔法という物が扱える世界…ならばそのような本があっても可笑しくはない。


(…いや、絶対何処かにあるはず!見つけ出してみせる!)


 結奈はもう一度、様々な本を手当たり次第に手に取ってみる。


(これじゃない…あれでもない…)


 結奈は色んな所へと移動し、目に見える限りの本を本棚から取り出す。





 ………






 数十分経った頃、結奈はクタクタになりながら本を探す。


(…やっぱり、そんな本なんて存在してないんじゃ...)


 結奈がどうしよう…と思っていると、一つだけ、異様に古びた本を見つけた。

 その本のタイトルは【禁忌】と書いてあり、結奈は怖いもの見たさで古びた本を手に取った。


 その本には様々な事が記してあった。

 相手を洗脳し自身に従わせる方法、相手をこの世から存在ごと消しさる方法、最終的には世界を滅ぼす方法までもが書いてあった。

 結奈はドクドクと鳴る心臓に気付かず、次から次にページを捲っていく。


 そしてページを捲っていく結奈の手は、とあるページを見た瞬間に止まった。


「魂のみを入れ替える…魔法…」


 そのページにはこのような内容が示してあった。


【魂のみを入れる魔術、この魔術は自身の魂を特定の人物と入れ替える事ができる、非常に危険な魔術である。この魔術は失敗してしまうと、己の魂は何処かに消滅し、消え去ってしまう。その時に、残った肉体は二度と目覚めることはなくなり、そのまま植物状態へと陥ってしまう。

 この魔術は特定の人物だけではなく、自身が望んだ想像上の人物と似た人物とも入れ替わる事が出来てしまい、また他者が、特定の人物同士を入れ替えることも出来てしまう。そして、この魔術は一度使ってしまうと元に戻すことは出来なくなってしまう。】


 結奈は書いてある事、すべて読み終わると、尋常じゃ無いぐらいに震え、顔を真っ青してしまった。


(…じゃあ…もしかしなくても、私、一生このまま…?…)


 結奈は急に襲ってきた吐き気に口を抑え、その場にうずくまる。


「お嬢様…何処にいらっしゃいますか?そろそろご帰宅の時間です。」


 少し離れた場所からロセの声が聞こえる。


「…分かりました...」


 結奈は本を元の場所へと直し、立ち上がり、よろけながらロセの元へと向かう。


「…!!お嬢様!!大丈夫ですか?!顔色が悪いですよ!」

「そう…ですか?」

「そうです!早くお屋敷へと帰りましょう!!」


 結奈はロセに手を引かれながら、図書館から去る。











 あぁ、気持ち悪い、吐きそうだ。


【この魔術は一度使ってしまうと元に戻すことは出来なくなってしまう。】


 この文字を見た時…少しだけ…

【微笑み喜んでしまった】

 そんな私が気持ち悪い、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。そんなに愛されたいか?そんなに自身を見てほしいか?……あぁ、私は一生このまま【メルーナ】さんとして生きていくのか…………











「……嬉しいな」

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