始めての友達
「う~ん、どうしよっかなぁ~、聖女様はどれにする?」
そう言い、少女…【リリーナ】がメルーナの方へと振り向き楽しそうに笑う。
「そう…ですね…どれにしましょうか?悩みますね。」
結奈は久しぶりの学食に心を弾ませる。
貴族が通う学校なだけあって、ビュッフェ形式になっており、どれも煌びやかで美味しそうな物ばかりだ。
「よし!…決まりました!ではこれとこれにします!」
「あ!じゃあわたしも-!!」
二人は美味しそうな、スープやパン、小さめのお肉な等をトレイに乗せ、そのまま空いている席へと座る。
「わ-!!いただきます!!」
「いただきます」
そう言い、二人は手を合わせ食べ始める。
結奈がチラッと隣を見ると、リリーナが美味しそうに口をもぐもぐと動かしている。
(ウサギみたい…)
結奈はそんな事を考えながら、自身も学食を食べ始める。
結奈は口に食べ物を入れた瞬間、パァー!!と顔を明るくさせる。
トロトロとした濃厚なスープに、程よい甘味があるふわふわのパン、口に入れた瞬間感じるジューシーなお肉。
結奈はあまりの美味しさに次々と食べ物を口へと運ぶ。
「んふー!聖女様美味しそうに食べるね!」
結奈が食べるのに夢中になっていると、隣にいるリリーナにそう言われ、結奈はっとし恥ずかしそうにうつむく。
「ご、ごめんなさい...お恥ずかしいところを」
「なんで謝るの?わたし、聖女様が食べてるの見るの好きだよ!」
リリーナはニパ!と明るく笑う。
結奈はそんなリリーナを見つめ、なんだか私達友達みたい…と少しだけ口角が上がる。
結奈は今までの人生で【友達】という存在がいなかった。
幼い頃からそうだった。最初のうちは色んな人が、結奈に話しかけたり、遊んだりするが、3日後には皆が皆、割れ物かのように結奈を避け始めるのだ。
そして皆、結奈に対し【同情】の目を向ける。
結奈は最初、自身に非があると思っていたが、どれだけ人当たりを良くしても、最終的には皆が結奈の周りから離れていくのだ。
一度、結奈は自身を避ける人達に聞いたことがある。
「ねぇ…どうして、皆私を避けるんですか?私何かしましたか?」
「…いやぁ~そう言い訳じゃ」
「じゃあどうして!?―」
「あ!~ごめん!そろそろ授業始まっちゃうから...」
その人は焦ったようにして、結奈から逃げるようにして何処へと走り去っていった。
結奈は他の人にも聞いてみたが、皆反応は一緒だった。
そのため、結局結奈は何が原因で人が離れていくのかが分からずじまいだった。
(あぁ…悲しいなぁ~)
結奈は肩を落とし、先ほどとは異なり、寂しげな顔をする。
「?…どうしたの?聖女様?」
リリーナが結奈の顔を覗き込む。
「…いえ、なんでもありません」
結奈は眉を下げながら、そう答える。
「え~!本当?…聖女様嘘付かないでよね!わたし達は【お友達】なんだから!お友達同士に嘘はダメだからね!」
「…友達?」
「?うん、お友達!…あ、でもお友達なのに聖女様は可笑しいよね……」
リリーナはむむむっとした顔をし、腕を組ながら考える。
「ん~!!そうだ!ねぇねぇ!これから聖女様の事、【ルーちゃん】て呼んでいい?」
リリーナは期待した目で、結奈を見つめる。
「…良いんですか?」
「何が~?」
「私、リリーナちゃんの友達になって良いんですか?」
「当たり前ジャーン!!わたし達友達!!」
アリシアは腰に手を当て、ふん!と鼻を鳴らす。
「で?どうなの?ルーちゃんって呼んで良い?」
「…はい!大丈夫ですよ!」
「わーい!やったー!ルーちゃん!ルーちゃん!」
リリーナは嬉しそうにルーちゃん!ルーちゃん!と連呼する。
結奈はリリーナの友達宣言が嬉しくもあり、でもまた私から離れるんじゃ…と二つの感情がごちゃ混ぜになっていた。
「…ねえ、リリーナちゃん、貴方は私から―」
「ルーちゃん!敬語禁止!友達っぽくない!!」
リリーナは指で✕を作り頬を膨らます。
結奈は聞こうとしていた言葉を飲み込み、笑って言葉を返す。
「ふふ…だね、友達っぽくないね、じゃあこれから末永くよろしくね?リリーナちゃん」
結奈はあえて【末永く】という言葉を使い、リリーナに右手を差し出す。
「うん!よろしくね!ルーちゃん!」
リリーナは結奈の言葉になんの違和感も持たず、喜びながら左手を結奈の手と合わせる。
「じゃあ、さっそく!はい!あーん!」
「へ?!」
リリーナはスプーンにスープを乗せ、結奈の前に差し出す。
「ほら!ルーちゃん!あーんして!」
「あ、あーん…」
結奈はいきなりの事に驚きつつも、口を開け、差し出されたスープを飲み干す。
(友達ってこんな感じなんだ…!)
結奈はこれからも、ただリリーナの距離が近いだけなのには気づけないだろう。




