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平和な時間

「ルーちゃん!こっちこっち!」

「待ってぇ、リリーナちゃん」


リリーナは楽しそうに笑い声を上げ結奈(ゆいな)の手を優しく引っ張る。


「あ!おじさん!このターキー二個ちょうだい!」


リリーナはカリカリに焼けたターキーを見つけるとすぐに駆け寄り、二本の指を立てる。


「おぉ!リリーナ様に聖女様が来てくださるなんて、ありがたや」


屋台をやっているおじさんはそう言うと、リリーナと結奈に大きなターキーを渡す。


「ありがとう!」

「ありがとうございます」

「いえいえ」


リリーナはお金を払うとまたすぐに結奈と手を繋ぎ何処かへと動き出す。


「リリーナちゃん、お金…」

「いーの!この()()()に誘ったのはわたしなんだから!」


リリーナは結奈にまばゆい笑顔を向ける。



………



「お祭り?」


いつもどうり結奈はリリーナと学食を食べていると、リリーナがそういえば、とお祭りの話題を出してきた。


「うん、二年に一回の頻度でやるお祭り…

って、そっか、ルーちゃん記憶喪失なんだったね」

「あ、あぁ~うん」


結奈はその設定忘れてたと言わんばかりの返事をする。


「本当はもっと前にやる予定だったんだけど、あのトカゲ野郎(サーカンス)がルーちゃん拐ったせいで延期になってたんだ」

「そうなんだ…」


結奈はお祭りかぁ…と前の記憶を思い出す。


(一回だけ一人で行ったことあったけど、周りカップルか友達と来た人か家族ばっかで凄く虚しくなるだけだったな…)


まぁお祭りって誰かと行くもんだから当たり前だろうけど、と結奈は涙を流す。


「そのお祭りは○日、◎日、✕日の三日間に渡って開催されるんだけど、ルーちゃんは何処の日が空いてる?わたしは全部空けたよ!」


リリーナは笑顔で結奈に問いかける。


「え?」

「え?」

「お祭り、一緒に行くの?」

「当たり前じゃん!だからわたし今お祭りの話ししたんだよ?

…もしかして一緒に行けない?」

「行けるよ、三日間全部空いてる」


結奈はリリーナの問いに即答する。


「じゃあ最終日の✕日に行こ!けってぇーい!」




………




「見て見て!これ凄く可愛い!」

「わぁ!ハートのピアスだ、可愛いね」

「ほんと、ルーちゃんが今着てるドレスにぴったり。そのドレス、わたしがあげたやつだよね?」

「うん、せっかくだから着ていこうかなって」


結奈は照れたように話し出す。


「もー!ルーちゃん可愛い!」

「リリーナちゃんには負けるよ」


二人がじゃれあっていると、一人の老人がリリーナに話しかけた。


「そこのお嬢さん、道案内をお願いしたいんだが」 

「わたし?」

「そうじゃ」

「お祭りを見張ってる兵達じゃだめ?」

「その兵が何処におるかわからん」

「じゃあ兵がいるとこまで送ったげる。ルーちゃんはどうする?」

「私も―……


私はここでアクセサリー見てたいな」

(あれ、口が…勝手に…?)

「分かった!すぐ戻って来るからね!」

「うん!」

(違う!)


リリーナは違和感を持つこと無く、老人を連れて何処に消えていってしまった。


「…何で…」

「何ででしょうねぇ?」

「!」


結奈が物凄い勢いで背後を振り向くと、当たり前かのようにサーカンスがいた。 

結奈はすぐさまサーカンスの腕を掴み人気の無い場所へと連れていった。


「おや大胆」

「黙って下さい…あの老人、貴方が仕掛けましたね?何の用です?」 

「感が鋭いですね。ユイナにお願いがあって来ました」

「……何ですか?」 

「聞いて下さるんですね」

「聞きはします、叶えるのは内容次第です」 

「髪の毛下さい」

「は?」


サーカンスの訳の分からない願いに結奈は顔を強ばらせる。


「髪の毛下さい」

「…何ですか?」

「貴女の位置を知りたいからです。貴女を追跡する魔法を使いたいからです。貴方が誰といるのかを魔力経由で知りたいからです」


要はGPSを仕込ませろとのことらしい。


「…はぁ、好きにして下さい、てか髪の毛で良いんですね」


結奈はそう言うと、髪の毛を一本抜く


「素直ですね、ありがとうございます。

貴女の一部であれば何でも良いので」

「そうですかでは失礼しますね」

「待って下さい」

「次は何ですか」


結奈が顔を上げると、髪に触れられ何かを付けられた。


「…髪飾り?」

「えぇ、先程売ってありましたので」


結奈の髪には赤色薔薇の造花がついている髪飾りが付けられていた。


「…ありがとうございます」

「どういたしまして」


結奈がサーカンスにしぶしぶ礼を言うと、少し遠くでリリーナの声が聞こえた。


「!リリーナちゃん」


結奈がリリーナの元へと向かおうとすると、サーカンスに腕を引っ張られた、そして当たり前かのようにキスをされた。


「……ッ!何ですかいきなり!」

「私、これから長い間仕事で遠い国に出かけるんです」

「そうですか、さようなら」


結奈は唇を袖で拭うと冷たくあしらい、足早にリリーナの元へと向かった。


「リリーナちゃん!!」

「あ!いた!何処にいたの?」

「あ~ごめんね、えっと、さっきあそこに髪飾り配ってる人がいて、その人に貰ってたの」

「ふーん、わたしの方がルーちゃんにぴったりなの見つけられるよ」


リリーナはそう言うと、結奈と手を繋ぎ様々なアクセサリーを見て回った。


(…楽しいな…これがずっと続くと良いな)

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