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女王は両手をあげる

戦が始まり、数日かけてやっと敵の城の前までやってきた。

最初は城の裏へと回る予定だったが、どうせバレてるんだからいっそのこと正々堂々門を叩いてやるというリリーナの意思により皆は隠れず城の前で仁王立ちする。


正義だと沢山人を殺し、正義だと沢山人を苦しめてきた。でも、それももう最後、リリーナは息を吸い込み城に向かい叫ぶ。


「…隠れてねぇで出てこいや!!!!!支配者さんよぉ!!!!!」


小さい身体からは考えられない声量で叫ぶリリーナ、アルバン以外の者は皆キーンと鳴る耳を押さえる。


するとすぐに大きな門が開き、敵兵達に囲まれ守られているサーカンスとメルーナが出てきた。


「そんな大声を出さずとも聞こえておりますよ」


サーカンスが苦笑いをしながらメルーナ、もとい結奈(ゆいな)の肩を抱き前へと踏み出す。


「死ぬ準備は出来た?」

「んなまさか」


笑顔で問うリリーナに対しサーカンスも笑顔で答える。


「…お前が…早くメルーナから手を離せ!」


歯を食い縛りサーカンスに睨みを聞かせるルイゼンに結奈は気まずそうに目線を反らす。


「気が向いたら離しますよ」

「……チッ」


サーカンスの返答に結奈は小さく舌打ちをする。


「……てか、何でいきなり出てきたわけ?反省してる様子もなさそうだし」


リリーナは不機嫌な顔で首を傾げる。


「私が何を反省するのですか?」

「はぁ?ルーちゃん拐っておいて何を…」

「私は国の為を思い、仕方なくやったのですよ

まぁもうこの国とはおさらばですがね」


サーカンスは残念そうに声を出すが、あまり残念そうではなかった。


「…どういうこと?」

「私はこの数ヶ月間ずっとメルーナ様に祈りを捧げる事をお願いいたしましたが残念ながらメルーナ様はそれに答えてくださらず…神様ももう耐えきれなさそうですのでこの国おいて私は逃げる事にしたんですよね…あまり今の状況を手放したくはありませんでしたが仕方がない」

「…この国に住んでる民達はどうすんの?あんただけ逃げるつもり?」

「もちろん、民達には申し訳ないですが」

「屑が、あんたがレミーラ王国の住民ならすぐ死刑にしてたよ」


清々しほどの笑顔で平然と言ってみせるサーカンスにリリーナは苛立ちを通り越し呆れていた。


「…わたしさ、ルーちゃん助けた後にアンタを殺してやろうと思ってここまで来たけどさ、いざアンタと顔合わせて喋ってるとなんか凄い萎えてきたわ。

てかルーちゃん早く離して、逃げるなら早よ逃げろよウサギ野郎」


リリーナは肩を捕まれている結奈の手を優しく握り結奈に微笑む。


「久しぶり、助けに来たよ」

「…ありがとう、リリーナちゃん」


結奈は涙をためリリーナのぼろぼろの手を握り返す。


「おや酷い、私を愛してくれるはずでは?」

「嘘を真に受けるなんて憐れな男」


結奈はサーカンスをどす黒い瞳で睨む。

しかしサーカンスはどこか優越感に浸っている。


サーカンスは結奈の肩に置いていた手を腰へと持っていき、そのまま引き寄せ、結奈の唇を食むようなキスを仕掛けた。

すると…


「「「「「……はぁ?!」」」」」


その光景をしっかりと見ていた皆は同じ反応、同じ声をあげる。


「…な?!…オマエ、なにやってんだよ!!」 

「そんな…メルーナ、俺はまだメルーナとキスを出来てかったのに…」

「いきなりレディになんて事を…しかも皆が見ている場所で」

「あぁ…」

「ロセさんしっかり!!」


未だに唇を合わせあう二人、剣を抜くリリーナ、先を越された事にショックを受けるルイゼン、常識外れのサーカンスにドン引くアルバン、目の前が歪み出しよろけるロセ、そんなロセを片腕で支えるグイユ。


この一瞬で阿鼻叫喚のカオスが出来てしまった。


しかしサーカンスはそんなものに見向きもせず唇を離す。


「貴女の嘘に私は酔わされてしまいましたよ、どうしてくれるんですか」

「…ハッ、勝手に信じて勝手に酔ったのを人のせいにしないで下さい。

てか早く私を解放してください、一緒には逃げませんからね」

「なんて冷たい御方、私は貴女の全てを知っているのに…身体の事も、魂の事も…ね?ユ・イ・ナ」

「…顔は良いのに…本当に勿体無い、貴方こそ入れ替わっては?」


結奈は眉をひそめ、サーカンスは楽しそうに

いつもどうりのむず痒い会話をする。


「いい加減メルーナを離せ!」


そうルイゼンが声を荒げた瞬間、フメル王国全体が大きく揺れだした。


「あらら、時間を食い過ぎましたね」

「…神様?」

「だと」

「おい!これは何なん―」


ルイゼンがサーカンスに問いかけようとした時、次は目の前が焼けそうなほどの光で包まれた。


なんとか光が収まり、皆が目を開けると


十字架から人間の上半身だけが飛び出した形をした訳の分からない存在がいた。

身体中に沢山のギョロギョロした目がついており、頭には光輝く天使の輪が浮かんでいた。


《…我が名はフメル、約束を破り捨てた人間どもを裁きに、このみすぼらし地へとやってきた》

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