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罪悪感

 コツコツと長い廊下を優雅に歩むメルーナとルイゼン。

 そして顔を火照らせながら二人に見惚れる大勢の人々。


「…ステキ…やはり、聖女様と王太子様は絵になりますわね。」

「あぁ…眩しい…眩しいですわ」


 そのような言葉が、廊下全体に飛び回り、等の本人達は少し照れ臭そうに微笑む。


「…ルイゼン…さん?」

「ははっ、ルイゼンで良い、むしろそう呼んでくれ、敬語も、なくて良い」

「は…うん!ルイゼン…」


 結奈(ゆいな)はドキドキとしながら、ルイゼンの名を呼ぶ。


「それで、どうしたんだい?」

「あっ...えっと、何でわざわざ私の教室へと着いてきてくれるのかなぁ~て…べっ別に、嫌とかそんなんじゃなくて!!」

「…ふふ…当たり前だよ、だって俺は君の【()()()】だからね、教室であろうと、何処であろうと、俺はしっかりと君をエスコートするからね」


 そう言い、ルイゼンはメルーナに微笑みを向ける。


「そっか...ありがとう、ルイゼン」


 そう感謝を告げ、結奈もまたルイゼンに微笑み返す。そんな二人の甘い空気に、廊下に出ている人はキャー♡と小声で二人に目線を向ける。


「あっ、ルイゼン!私の教室、ここだから、

 着いてきてくれてありがとう!もう大丈夫だから!」

「どういたしまして……ねぇメルーナ、君の記憶がなくなったという話しを聞いた時、俺は正直信じられなかった…否、信じたくなかった」

「………」


 結奈はルイゼンの暗い表情を見て、つい顔をそらしてしまった。


「…俺、心の中で期待していたんだ、もしかしたら、俺の事だけは覚えてくれてるかもって、でも現実は上手くはいかないよね…」


 ルイゼンは、ははっとメルーナに対し笑ってみせるが、結奈にはその笑みが痛かった。


「…ルイゼン…あの―」

「だからね、俺は決めたんだ……絶対に君の記憶を取り戻してみせるって!」


 ルイゼンはメルーナの手を包むように握る。


「大丈夫だよ、俺は君がどうなっても、絶対に君を見放さない、ゆっくり、ゆっくりで良いから」


 周囲の人達は最初は不安そうに二人のやり取りを見ていたが、ルイゼンが記憶を取り戻す宣言をした瞬間、皆ほっとしルイゼンに熱い声援を投げ掛ける。


 しかし結奈はルイゼンのその言葉に青ざめる事しか出来なかった。ルイゼンの()()()()に対する情熱的な愛情を向けられた結奈は、早くメルーナに体を返さないと、という焦りと、こんなに愛して貰えるメルーナに少しだけ()()()()という感情を抱いてしまった。


「…あ、ありがとう…ございます」


 そう言い結奈は握られていた手を振りほどいた。


「…じゃあ、私、もう行くから、ルイゼンも早く教室に向かわないと…ね?」

「そうだね、心配してくれてありがとう、それじゃあ俺も、もう行くね」


 ルイゼンはメルーナに手を振り、自身の教室へと歩みを進めた。





「…ごめんなさい...」






 ………







 ゴーンゴーンと昼の時間を伝える鐘が鳴った瞬間、沢山の人が席を立ち、聖女様!聖女様!と、メルーナの元へと向かう。


「聖女様!お声掛け、遅くなってしまい申し訳ございません!まさかあなた様と同じクラスになれるだなんて!!」

「聖女様!噂は聞きましたわ!あまりご無理はなさらずに!」

「聖女様!相変わらず麗しいですわね!きっと聖女様の心の美しくさが内面にも溢れだしているんですわ!」


 左右前後、メルーナの周りには沢山の人が張り付き、メルーナにここぞとばかりに話しかける。


「あ、あはは…」


 結奈はあまりの威圧感になにも答えきれず、歪な笑みを浮かべる。

 やはり、聖女というのは特別なのだと、結奈は改めて思いしる。


「ねぇねぇ!!聖女様!聖女様一人?良かったらわたしと一緒にご飯食べよ?」

「へ?」


 結奈は何処からか聞こえた少し癖のある可愛らしい声に反応し、声が聞こえた方向に振り向くと、そこにはピンク色の髪をゆるゆると二つに結び、キュルキュルとさせた黄色の瞳を持つ、小柄で可愛らしい少女がいた。

 少女はメルーナが自身に気がついたと分かると、ニコッと笑いメルーナの手を引いた。


「よし!じゃあ聖女様!食堂に行こっか!」

「え?!」

「レッツゴー!!」


 少女は楽しそうにメルーナの腕に絡み付く。

 そんな少女にさっきまでメルーナの周りを囲んでいた人達は、「無礼者!!、聖女様にご迷惑でしょ!?」と少女を批難する。


「え?!だ、大丈夫ですよ!皆さん!この方は私を思って言ってくれたのですから!!」


 結奈は少女を庇い、周りの人達を宥め、落ち着かせる。すると周りの人達は口々に「流石聖女様!なんとお優しい…」と、今度はメルーナを褒め称え、尊敬し始める。


「では、聖女様!良ければわたくしと食事を致しませんか?その物は聖女様に対する礼儀がなっておりません、きっとその物と食事をすると大変な目に遭うと思いますわ」


 そう言い、大勢の中から一人のがメルーナに話しかける。


「!…いえ、この方より聖女様わたくしと食事を致しませんか?」

「はぁ?!」

「いえ!聖女様わたくしと―」


 次々にわたくしと、いいえわたくしと!!と沢山の声が聞こえてくる。

 結奈がどうしよう…と困っていると、メルーナの腕に未だに絡み付いている少女が口を開ける。


「ダメだよー聖女様はわたしとご飯食べるんだよ?だってわたしが一番先に話しかけたからね~」


 少女はそう言い、メルーナの腕を引っ張り、教室を走って抜け出した。教室の方からギャアギャアと声が聞こえるが少女は気にせず走り続ける。


「んふふ、聖女様とご飯~♪ご飯~♪

 …あ!そうだ!!ごめんね?聖女様、わたしまだ名前言ってなかったね、改めてまして!わたしの名前は【()()()()()()()()】!よろしくね?聖女様!」

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