城は目の前
血に塗れ、荒れ果てた地を豪華な馬車が駆け抜ける。
馬車の中にはルイゼン、グイユ、アルバン、そしてロセが乗っていた。
揺れがとてつもなく激しいため、アルバン以外はしっかりと椅子を掴み揺れに耐えていた。
…………
レミーラ王国とフメル王国が戦を始め、早くも三日目が経過した。
先日、副団長であるリリーナから、用意が整ったためそろそろ城へと攻め混む。という報告を受けたルイゼンとグイユは戦場へと向かうかう準備をしていた。
しかしその準備中にアルバンとロセが二人のもとにやってきた。
どこから戦場へと向かうという話を聞いたのであろうか、二人は「自分も連れていけ」と主にグイユに話を着けていた。
グイユは最初は渋ったが、アルバンは「傷は治ってきた。医者も動いて大丈夫だと言っておられた」と
ロセは「ロセは幼い頃からお嬢様を守るために、軍団長直々に剣術を指導していただいており、それなりに自身はあります!」
と言い、二人は物凄い勢いでグイユに詰めよった、その圧に負けたグイユは二人の同行を受け入れたのだ。
「…あぁ、リリーナ、無事だろうか…肝心なときに守れない父様でごめんなぁ…」
アルバンは見た目とは真逆な弱々しい声で呟く。
「…軍団長…すみません、ロセがあの時もっと早く反応出来ていればこんなことには…」
「ロセ殿のせいではございません!いきなりでしたら反応出来なくて当然です!何せ私もいきなり襲われ傷を負いましたから」
アルバンは少し照れくさそうに話す。
「そうですよロセ…さん。
いきなりの事で戸惑うのは当然のこと。アルバン様もあまり追い込みすぎないように、なにせ一番の悪はサーカンス・クーイなのですから」
グイユは二人を慰めるように微笑み、そしてすぐに真剣な表情になる。
「一応、あの男に関して少し調べてみたのですが、フメル王国でも良い噂なんでゼロ。
権利で平民を抑え込む極悪非道の支配者。サーカンス・クーイに逆らうと弁明の余地なしで即処刑。それに、実の妹でありフメル王国の聖女であるバルツ・クーイを裏で虐げているとの噂もあるようです」
「…それに耐えられなくなったバルツ・クーイが行方不明。聖女がいなくなった事に焦ったアイツはレミーラ王国の聖女であるメルーナを誘拐…。
…許せない…メルーナ、今頃怯えているだろうに」
ルイゼンは涙を堪えたような表情をする。
それに釣られた三人も何とも言えない表情へと変わる。
「…常日頃から平民を押さえつけ、暴虐の限りを尽くしさらにメルーナまで拐ったアイツを生かしては置けない。フメル王国の平民の為にも、メルーナの為にも」
ルイゼンの中の主人公が怒りの炎を上げる。
そんな事を話しているうちに馬車は目的地の森にへと到着。
アルバンを先頭に周りを警戒しながら馬車から身を下ろす。
「…大丈夫そうですぞ」
「早くリリーナ様の元へと向かいましょう!」
ロセは腰にぶら下げてある剣を強く握りしめていた。
「ロセさん、ご安心を、何かあればこのグイユがロセさんをお守り致します」
グイユは乙女のように頬を赤く染めながら自身の胸に手を当てロセを見つめる。
「…ありがとうございます。ですがロセは全てを覚悟した上で今ここに立っております。自身の身は自身で守ります、御気遣いありがとうございます」
ロセは張り詰めたような顔でグイユに宣言する。そんなロセの様子にグイユは少しだけ悲しそうな表情を見せた。
「グイユ、ロセさん、行きましょう」
ルイゼンが二人に早く行くことを促す。
「かしこまりました、王太子様」
ロセは小走りで少し先にいる二人の元へと向かい、グイユもその後を追う。
カサッカサッと草を踏みつける音が心地よく感じてしまう程の静かな空間に四人は気味悪さすらも覚える。
「それにしても、リリーナ様の言うとうり、この森一面に複数の魔法が張り巡らされていますね…」
「しかもこの森の中だと敵軍も入って来ないようだ。いったい誰がなんの為に、どうして俺達には何の害も及ばないのだろうか…」
二人は首を傾げながら考えるが、考えても何も出てこなかった。
…………
四人は森の中を十分程歩いたとこでようやくテントを見付けることが出来た。
ふと、外に出ていた一人の兵を見付けたアルバンはすぐさまその兵に話し掛けに行った。
話し掛けられた兵はすぐにテントの中にいる他の兵達にアルバン達がやってきたことを伝えると、兵達は助かった!と大喜びし始めた。
すると、外が騒がしいのが気になったのか、奥から沢山の包帯を巻いたリリーナが出てきた。
「騒がしい、どうしたの?……って、父様?!何でここに!」
「あぁ、リリーナ!!なんて事だ!!そんなに怪我を負ってしまって…」
「質問に答えてよ!何で父様がここにいんの?!」
「リリーナ、お前が心配でやってきたのだよ…大丈夫、父様が来たからには安心しなさい、良く頑張ったな…」
アルバンは傷だらけの娘の姿に涙をぐみながら頭を撫でる。
「こんぐらい大丈夫だっての……父様怪我は?」
「あぁ、もう動いても問題無いそうだ」
「そう」
リリーナは少し安心したような表情を浮かべる。
そんなリリーナの側にロセがやってきた。
「リリーナ様、いきなりで申し訳ありませんが、そこに座っていただけますか?」
「…うん」
リリーナは柔らかい草の上座り込んだ。
「失礼致します」
ロセはそう言い、リリーナが巻いていた包帯を全て外した、包帯の向こうには痛々しい怪我が隠れていた。
ロセはその怪我を再度隠すように手を当てる。
すると、その部分が光だし、太陽に照されたように暖かくなっていった。
「…リリーナ様、痛みはいかがですか?」
「引いた、痛くない…です」
「良かったです!」
ロセが手を退けると、赤黒くなっていた怪我は綺麗さっぱり消えていた。
「やはりロセ殿の医療魔法は凄いな」
「いえいえ、逆に言えばロセはこれしか出来ないので…」
「ありがとう、ロセさん。
ねぇもし良かったらだけど、他の怪我してる兵達も治療してほしいんですけど」
リリーナはロセに感謝を伝え、他の者の治療も頼んだ。
「かしこまりました。では怪我をしている者達は何処にいらっしゃいますか?」
「テントの一番奥です」
「かしこまりました」
ロセはそう言い、軽くお辞儀をしテントの中へと入って行った。
「…この前伝えましたが、城に攻め込む準備は終わりました…準備はね」
リリーナは真剣な顔つきて話し出す。
「助かります、【準備は】という事は、城周辺の様子の確認は?」
「まだ出来ておりません、なんに数の暴力が凄くて、兵達も日に日に体力が落ちていってるためなかなか進めていません」
「なるほど…少し作戦を考え直す必要がありそうですね」
「そうですな」
三人は頭を抱え悩み出す。
「とりあえずテントの中に入らない?立ちっぱなしなきついですし」
「それもそうだな」
「では失礼します」
「気遣いをありがとう、失礼するよ」
そう言い、四人は作戦を建て直すため、テントの中へと戻っていった。




