二回目の青春
「…えっと…どう、ですか?似合ってますでしょうか?」
「大変お似合でございますよ、お嬢様」
結奈はキャラメル色の制服を身に纏い、メイドさん…もとい【ロセ】に自身の制服姿を見てもらっていた。
あの後結局、結奈は【記憶喪失】という事でも何とか場は収まったが、両親であろう人達から国の事、この体の持ち主であるメルーナの事を一から丁寧に教わることができた。が、様々な事が重なりに重なっていたせいで、結奈の脳はキャパオーバしてしまい、途中から何を言われたかあまり覚えていない状態だった。とりあえず今分かることとしては、
結奈は物語でよく見かける、【異世界転生】をしてしまっていること、そして今いる国にとって自身がとてつもなく大切な存在なこと理解した。
しかし、何故いきなり異世界になんて転生してしまったのだろうか、結奈はうーんと首をかしげる。
(私がここに来るまで何してたか思い出せたら楽なんだけどなぁ~)
結奈は目の前が真っ白くなったとこまでは覚えているが、その前の事がどう頑張っても思い出せないのだ、目覚めた時、結奈は汗だくで取り乱していたが、何故あんなにも取り乱してしまったのか、結奈は身に覚えが無いため、尚更考え込んでしまう。
「どうされましたか?お嬢様」
悩みが顔に出すぎてしまったのだろう、ロセが心配そうに結奈に話しかける。
「えっ、あっ!だ、大丈夫です!なんでもありませんよ!」
「本当ですか?…あまりご無理をなさらないで下さいね?」
「はい!」
結奈は笑顔で返事を返した。
……そういえば、この体の持ち主、メルーナさんって、どうなってるんだろう?
「お嬢様、制服のスカートの丈はそちらで大丈夫でしょうか?」
「!はい、大丈夫です!」
「分かりました、…それにしても、考え深いですね、お嬢様がもう高等部へと進学なさるのですから...」
「うぁ、あはは…ですね…」
結奈は苦笑いをこぼす、
ロセはジーンと涙を流すように感動するが、結奈は既に元の世界にて高校を卒業しているため、まぁ同然だが、感動はしない、が、しかし、異世界の学校と考えると、少しだけわくわくとした感情が結奈を明るくさせる。
(なってしまったからには仕方がない!メルーナさんに体を返す方法を調べつつ、二度目の高校生活、楽しむぞ~!!)
「お~!!」
結奈は右手で拳を作り、空へと伸ばす。
………
「では、お嬢様、いってらっしゃいませ、何度も申しますがご無理はなさらずに」
「分かりました!ありがとうございます、ロセさん!」
結奈は馬車から降り、ロセに手を振りながら校門をくぐる。
それにしても、学校というよりお城という言葉の方が正しいと感じるほどの大きな建物が視界いっぱいに広がる。
(なんか…凄い…)
結奈はこの世界に来てまだ間もないため、様々な事に驚いてばかりの日々だ。
結奈がキョロキョロとしながら学校へと歩みを進めていると、とこからともなく、「メルーナ!!!」と、名前を呼ぶ声が聞こえた。
「メルーナ!話しは聞いたよ!俺の事、分かるかい?!」
輝く金髪、波のように綺麗な青色の瞳をした少年が、ハァハァと肩で息をしながら、悲しそうな目で結奈…いや、メルーナを見つめる。
結奈はそんな少年に対して罪悪感を感じる。
何故なら、今のメルーナは少年が求めている、メルーナではなく、メルーナの振りをし結奈だからだ。
「……あの、どちら様でしょうか?」
結奈は気まずそうに【記憶喪失のメルーナ】として言葉を振り絞るが、少年はメルーナのその言葉を聞くと酷く絶望した。
「…そう、か」
「…えっと…お名前を」
「あ、あぁ、…俺の名は【ルイゼン・アンドロス】…この国の次期国王、そして、メルーナ、君の【婚約者】だよ。」
「…婚約者」
「そうだよ…」
婚約者と名乗る少年はか細い笑顔をメルーナに向ける。
結奈が言葉を詰まらせていると、ゴーンゴーンと鐘の音が響いた、ルイゼンはハッ!とし、結奈の手を引き、校内へと走って向かった。
………
「ハァ、ハァ、間に合った…メルーナ、大丈夫かい?」
「はっ、はい」
全速力で走ったせいか、上手く息が整わず座り込んだ結奈の背中をルイゼンは優しく擦る。
「あ、ありがとうございます」
結奈がそう感謝を伝え、顔を上げると、ルイゼンの顔が近距離にあり、結奈は驚き固まってしまった。
さっきまでは、気まずくあまり顔を見られなかったが、改めてしっかりと見ると、ルイゼンの顔はとても美しく、キリッとしており、結奈はつい見惚れてしまった。するとルイゼンが結奈から少しだけ距離を置いた。
「あっ……!す!すみません!!」
結奈はルイゼンに頭を下げた。
「え?!どうしたんだい?!」
ルイゼンは、いきなり自身に頭を下げたメルーナに対し、困惑した表情を見せた。
「いや、あの、顔…近すぎましたよね…すみません…あの、全然、距離とってもらっても大丈夫ですので」
結奈はそう言い、ルイゼンに向かい歪に笑ってみせる。
「い、いや!決して嫌だったというわけではないからね?…ただ…その…
きっ君があまりにも綺麗だったから……」
ルイゼンはそう言い顔や耳を赤く染め、結奈から目をそらす。
ルイゼンのその反応に結奈の心臓が少しだけ跳ね上がったのは内緒の話し………




