表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

イカレタ支配者

「…行方不明…?てか、普通にやばくない?それ」


 リリーナは腕を組ながら不思議がった表情を見せた。


「えぇヤバイんです…本当、勘弁してほしいですよ」


 男はハァーとため息をつきながら面倒くさそうに、黒色と赤色のグラデーションになっている髪をかきあげる。前髪がかきあげられたことにより、男の顔がよく見えるようになった。

 男はメガネをかけており、そのレンズ奥には左右で色が違う、どこか闇を感じる瞳を持っていた。

片目は血に濡れた薔薇のような赤色。片目は全てを見透かしているような白色。

目鼻立ちがしっかりしており、綺麗に整った輪郭。簡単に言えばイケメンだ。


「そういえば…お前さぁ、名前何て言うの?」

「名前…ですか…」

「そう言ってるじゃん」 

「…名乗っておりませんでしたね、私の名前は【()()()()()()()()()】と申します。一応、フメル王国の支配者をやらせてもらってます。

 よろしくお願いいたしますね、ルイル嬢…メルーナ様」


 男…もといサーカンスは胡散臭い笑みを結奈(ゆいな)に向ける。

 結奈はゾワッとした感覚が身体中を襲った。


「…話戻るけど、聖女が行方不明って何があったわけ?まぁ、あったとしてルーちゃんはダメだけど」


 リリーナはサーカンスにフメル王国で何が起こったかを聞きつつ、結奈に近付くなと釘を刺す。  


「そうですね、少しだけ長くなりますが、フメル王国の聖女(アリス)である、私の【妹】…【バルツ】の様子が半年ほど前から可笑しくなったのです。

 それまでは、得に何の異常も無く、相変わらす無能な妹だったのですが……

 何でもない日にいきなり【人が変わった】ように、私に愛されようと媚びを売らなくなったのです。

 それどころか、私を邪険に扱いだしたのです。何度か態度を改めさせるために【仕置き(ムチ打ち)】をしたのですが…バルツはビクともせず、平気な顔をして私を悪態を―」

「待て」

「?どうされましたか?」


 サーカンスは頭に(ハテナ)を浮かべ、首をかしげる。


「…取り敢えずお前がトチ狂ってるって事が分かったわ…ゴミが…」


 サーカンスは自身の妹、バルツに対し、当たり前かのように酷く罵倒し、酷く仕置きする。そしてそれが異常だと気付いていないサーカンスにリリーナは嫌悪感を示す。


「…続き…」 

「はい、取り敢えず、そんな毎日を続けているうちに、いつの間にかバルツが部屋に閉じ籠り、出てこなくなったのです。最初は、私も愚かな妹に呆れ返っていたのですが…1ヶ月経ってもバルツは部屋から出てこなかったのです。いつもは部屋に閉じ籠っても必ず二、三日には出てきて、私に謝りに来てたのですが、それが一切無かったので、私はとうとう我慢の限界が来てしまい、バルツの部屋に押し掛けたのです…しかしそこにバルツは居らず、あったのは一枚の紙切れでして…【愛する人の居場所を見つけた】とだけ書いてあったんです。

 それで私達は愚かな妹を探していたのですが…」

「全く見つからなかった」

「はい、いい加減探し飽きてきてたので、どうしようかと思っていた所に同じ祈りの力を持つ…メルーナ様を見つけたのです」


 サーカンスは清々しほどの笑みを浮かべる。


「…それでルーちゃんを代役に、馬鹿だな、お前…

 結局、見下してる妹に逃げ切れられてんじゃん

 …能ある鷹は爪隠す…この事を言うんじゃない?」


 リリーナはサーカンスに嫌悪の言葉を浴びせながら背を向ける。


「ルーちゃん!本当はカフェに行きたかったけど…そろそろ時間だし帰ろっか!」


 リリーナは結奈の手を握り、馬車がある場所へと歩みを進めた。

 結奈はチラッと後ろを振り向くと、サーカンスはリリーナにコテンパンニされた護衛の一人を思いっきり踏みつけていた。

 サーカンスは自身を見ている結奈に気付くと、好青年のような笑みを浮かべ、手を振った。

 結奈はとっさに、サーカンスから目を背け、リリーナの手を強く握った。

 

「あっ!ルーちゃん!ドレス!!」

「はっ!危ない、忘れるところだった!」





 ………




「お嬢様、リリーナ嬢と過ごす休日はいかがでしたか?」


 ロセはお風呂上がりのメルーナの絹のような髪を乾かしながら、結奈に楽しかったかを聞いた。


「…はい!とても楽しかったです!」

(後半の出来事を除いたら)


 結奈はリリーナとのデートを最悪の思い出に塗り替えたあの男、サーカンスに遅めの怒りをぶつける。


「それは良かったです、今日はお疲れでしょう、早めにお休みください」

「はい、ありがとうございます、ロセさん!」


 結奈は髪を乾かしてくれたロセが出ていった後、すぐにベッドへと飛び乗った。

 そして結奈はサーカンスが話していた事を思い出す。




【私の妹…バルツの様子が【半年】ほど前から可笑しくなったのです


 何でもない日にいきなり【人が変わったように】】




 結奈の心臓はドクドクと鼓動する。

 半年前、人が変わった、結奈の頭にはひとつの言葉が浮かび上がった。


「…魂の入れ替え…」


 もしかして…今のバルツさんはバルツさんじゃない…?


 結奈は自身との数少ない共通点に、もしもの可能性を考える。


(もし、バルツさんが入れ替わってたとして、半年前ってことは私と同じ時期に誰かバルツさんに転生を……

 …あー!!もう!分かんない!)


 結奈は顔を枕に埋め、疲れた頭を休ませる事を選んだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ