表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

謎の男

「な、なにッ!!」


 結奈(ゆいな)は掴まれた腕の痛みに顔を歪めながら上を向く。

 そこには、ニコニコと薄ら笑いを浮かべながら、結奈の腕を掴んでいる一人の男…そしてその男の後ろにも沢山の護衛の様な人が並んでいた。

「こんにちは」

「だ、誰…」


 結奈はにこやかな笑みを浮かべる男に対し、怯えの表情を見せる。


 その表情を見たリリーナはどこからかナイフを取り出し、瞬時に男の喉元へと刃を近付けた。

 そんなリリーナを男の後ろにいる護衛のような人達は取り抑えようと近付くが、男は「手をださないで下さい」と言い、護衛達を引き下がらせる。


 リリーナはそんな様子を伺いながら、言葉を吐き捨てる。


「…別に、気を使わなくても大丈夫だよ?

 わたしがそんな威勢だけの野郎達なんかに負けるなんてあり得ないから…勿論…お前にも…な?」


 リリーナは普段の可愛らしい口調とは異なり、まるで相手を威嚇するような荒い口調へと切り替える。


 男はリリーナを見つめ、丁寧な言葉を返した。


「そうですか…それはずいぶんな自信ですね…

【小さなウサギ】さん?」

「あ"?」


 馬鹿にされたと感じ取ったリリーナは目を見開き、口角を歪ませ、怒りを含めた声を上げた後、男に思いっきり回し蹴りを食らわせた。


 男はリリーナの蹴りを腕で受け止めたが、その腕はビリビリと震えており、首筋の一粒の汗を流した。

 男は先ほどからリリーナを舐め腐った態度をしていたが、リリーナの蹴りは男の想像よりも、重く力強い物だった。

 男は結奈から手を離し、逃げるようにリリーナから距離をとった。


「あれ…?何で今距離をとったの?…

 …お前…さっきまであんだけ煽り散らしてたのに…もしかしてお前って、【噛ませ犬】だったりする?」


 リリーナは嘲笑いながら、男の血管を引きちぎった。


 男はリリーナを睨み付けながら、護衛達に合図を出す。

 すると護衛達は剣を抜き、一気にリリーナに襲いかかった。

 しかし、リリーナはすました表情で、自身より大きい護衛達の攻撃をすらりと舞うように躱し、重い一撃を繰り出す。


 そしていつの間にか、リリーナの周りには横たわり苦しむ護衛達がいた。 


 結奈はいつもとは違う雰囲気のリリーナにギャップを感じていた。


(リリーナちゃん…私の為に……素敵…♡)


 結奈は狙われている身であることを忘れ、呑気に口元に手を当て、上がる口角を隠した。


 リリーナは結奈の方向へと振り返り、いつもとは違う、【男らしい】笑みを向け、そしてすぐに呆気にとられている男へと近付く。


 男は悔しそうな顔をしながら、リリーナを睨み続ける。リリーナはそんな男の顔を満足そうに見ながら、少しした場所で立ち止まり、右手を左胸に置き、皮肉なほどに綺麗な礼をする。


「では、改めまして、わたしの名前は【リリーナ・ルイル】

 レミーラ王国の副団長…そして次期【軍団長(グランドマスター)】を襲名予定です…以後、お見知りをきを」


 リリーナは目を細めながら、顔を上げる。


(副団長…?ぐ、軍団長(グランドマスター)を襲名予定…?…リリーナ…ルイル…?…あっ!)


 結奈はとある人物を思い出した。 

 祈りの日、教会の門の前で見張りをしていた軍団長(グランドマスター)と名乗る大男…【アルバン・ルイル】の存在を。


 どうして気付かなかったのだろう

 アルバン、リリーナ、二人は同じ【ルイル】の姓を持っている。

 つまりアルバンとリリーナは親子関係にあり、あの威圧感のある大男の娘が、この可愛らしい小さな女の子、リリーナだったのだ。


(うっそ?!)


 結奈はあり得ない、とでも言いたげな表情でリリーナを見つめる。


「も~ルーちゃんったら!そんなに見つめられたら焦げちゃう~」


 リリーナはいつもどうりのおちゃらけた態度で照れたような仕草をする。


「…なるほど、ルイル家のお嬢様でしたか…これは失礼しました」


 男はリリーナに頭を下げる。

 男の態度からするに、どうやらフメル王国にもルイル家の噂は広がっているようだ。




【レミーラ王国には、男女関係無く、必ず【軍団長(グランドマスター)】の座に就くと言われている一族が存在する。その一族の姓は【ルイル】

 ルイル家の元に産まれた子供は、軍団長(グランドマスター)になるべくして育てられるため、とても厳しい環境で躾られると言われている。

 数百年前、ルイルの名を持つ一人の男が姿を表してから、ルイル家以外の人間が軍団長になったことは今まで一度も無いのだとか。


 ルイル家に産まれた人間は、戦闘の才能を持ってしてこの世に生を受けるため、様々な王国がどのようにしてルイル家を引き抜こうか企んでいるらしい。それほど、ルイル家は負け知らずなのだ。】





「…そんな事どうでもいい、それより、何でルーちゃんに目をつけたわけ?」

「大した理由ではございません、ただ私達は【聖女(アリス)】が欲しかっただけです」

「はぁ?」


 欲しかった、男は聖女をまるで物のように言ってみせる。


「…お前…なにいってんの?フメル王国にもいるんじゃあないの?聖女」


 リリーナは「訳が分からない」と言葉を続ける。

 どうやら、フメル王国にも祈りを捧げる聖女はいるようだが、男は何故か結奈、もといメルーナを狙っている。

 男は少しだけ面倒くさそうに事情を説明しだした。







「…お恥ずかしい事に…実は半年ほど前からフメル王国の聖女…【バルツ】が行方不明になられたのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ