デート
ガタンッゴトンと馬車の中で揺られながら、結奈とリリーナは仲良く話をしていると、
いきなりリリーナが窓を覗き込みながら楽しそうに話し出す。
「ルーちゃん!もうそろそろワープゲートがある場所に着きそうだよ!!」
「本当?楽しみだね!」
「ねぇ~!」
二人は笑い合いながら、現地に着いたら何をしようと、考え出す。
………
「でね~!!」
「うんうん!」
結奈はリリーナの言葉を愛おしそうに、耳に流し入れる。
「…あ!見て見て!あれがワープゲートだよ!」
リリーナがテンションを上げながら、結奈の袖を掴み、引っ張る。
「わっ!おっきい!」
「わたしも初めて見た時びっくりしたよ!」
外には馬車が三台ほど余裕で通り抜けれそうな、白い大きな門が建っていた。
門の真ん中には何だかぐにゃぐにゃとしたオーラのようなものが、張り巡らされていた。
「ド、ドキドキしてきた…」
結奈はメルーナの豊満な胸を押さえながら、そう呟く。
「よっしゃあ!フメル王国でいっっっぱい!!ルーちゃんと遊ぶぞぉ~!!」
リリーナがそう言い、片腕を目一杯、天井へと突き刺すように上げる。
馬車は何の不安も無しに、門の中に張り巡らされたオーラへと入る。
そんな馬車とは対照的に、結奈はオーラの中へと入る瞬間、とっさに目をつむってしまった。
結奈がゆっくりと目を開けると、そこには、レミーラ王国とはまた違った、雰囲気が漂っていた。
「…ここが…?」
「ふふ…ルーちゃん可愛いね」
オーラに入る瞬間、結奈が目を瞑る瞬間をしっかりと見ていたリリーナは、ニマニマとした顔で、結奈を見つめる。
結奈は先ほどまでの自分を見られていた事に気付き、顔を真っ赤に染め上げる。
………
「では、お気をつけくださいませ、リリーナ様、聖女様」
馬車を操っていた男は、二人を馬車から降ろすと、かぶっていた帽子を脱ぎ、二人に頭を下げる。
「あ、ありがとうございました!」
「んじゃまた帰るときよろ~~」
リリーナは感謝を伝える結奈の手を掴み、その場から離れる。
「んふ~!じゃあ早速!ルーちゃんと【デート】だぁ~!」
「デ?!あ、うん!」
結奈はリリーナの手をしっかりと繋ぎ直し、二人は町中を歩き回る。
「ルーちゃんやりたいことある?」
「う~ん…そうだなぁ、でも
私リリーナちゃんとだったら何処でも楽しいよ!」
「ルーちゃん…!わたしも!」
リリーナはパァ!!と顔を明るくさせ、結奈に抱きつく。
「じゃあ!じゃあ!まずは一緒にドレスを見に行こ!!」
「うん!」
二人は繋いだ手をブラブラとさせながら、それらしいお店を探す。
「何処かなぁ~?」
「何処だろうね?」
リリーナが言った言葉を復唱するような形で結奈は返事をする。
「…あ!ここじゃない?!!」
リリーナはとあるお店を指差す。
リリーナが指差した方向へと顔を向けると、そこには煌めく美しいドレスが沢山飾られていた。
「入ろ入ろ!!」
「うん!」
リリーナがお店の扉を開けると、チリンチリン、と音がなり、奥から店員だと思われる綺麗な人が姿をを表した。
「いらっしゃいませ、お姫様方」
店員はそう言い、優しく微笑む。その微笑みに結奈は少しだけ照れながら軽く頭を下げる。
「どのようなドレスをお探しで?」
「えっと―」
「この子に似合うの探してる!!」
リリーナは結奈に腕に絡み付き、少し自慢げにそう伝える。
「ふぇ?!リリーナちゃん?!」
「うふふ、かしこまりました、では少々お待ちくださいね」
店員は微笑ましそうに二人を見つめ、ドレスが沢山ある場所に入って行った。
「ふふん-!ここは全部わたしの奢りだからね!!」
リリーナは再度自慢げな顔をする。
「いや!!大丈夫だよ!お金はロセさんに貰ったから!!それより、リリーナちゃんはドレス選らばないの?私探すよ!」
「う~ん、私はいいや!ドレスコードはスーツ派だからねぇ」
リリーナはそう言いながら自身が今着ている服を見る。
「でも、私だけ選らんで貰うの申し訳ないよ…」
「いーの!わたしがやりたいだけだから!それより、わたし達も早く行こ!」
リリーナは結奈の手を引きながら、店員が入って行った場所へと入り込む。
「…凄い…ドレスがいっぱい」
結奈は目を輝かせながら沢山のドレスを見渡す。
「お姫様方、こちらですよ」
二人がドレスを見ていると、先ほどの店員が目の前からヒョコッと顔を出す。
そんな店員に二人はびっくりとした表情を見せる。
「び、びっくりした…」
「ちょっと、いきなり現れないでよ?!」
「あら、ごめん遊ばせ」
店員はクスクスと笑いながら、二人に手招きをする。
「そちらのお姫様に似合うのを…という事で、こちらのドレスはいかがでしょうか」
そこには、どこかすっきりとした沢山の寒色系のドレスがハンガーへとかけられていた。
「…綺麗」
「全部ルーちゃんに似合いそう!」
二人は楽しそうに、ドレスを一着一着見ていく。
「う~んそうだな……よし、おばさん!こっからここまで全部買う!!」
「リリーナちゃん?!」
(ドラマでしか聞いたことないセリフッ!!)
結奈が呆気にとられているうちに、リリーナは沢山のドレスを手に取り、店員に差し出す。
「あら、太っ腹なお姫様だこと」
店員は笑いながら、ドレスをレジへと持っていく。
結奈はそこでハッ!とし、焦りながらリリーナに声をかける。
「リ、リリーナちゃん!!私、流石にそんなお金持ってないよ!」
「だーかーらー言ったじゃん!わたしの奢りだって!」
「尚更良くないよ!」
結奈はリリーナに焦りを見せるが、リリーナは特に気にしていない。
「だって-!!全部ルーちゃんに似合いそうだったんだもん…迷惑だった?」
リリーナはしょぼーんとした顔をする。
結奈はその顔に何も言えず、色々と諦める。
「うんん…嬉しいよ、リリーナちゃん、ありがとう」
「どういたしまして!!」
リリーナは嬉しそうにそう言葉を返す。
「じゃあさっきの場所に戻ろ!!」
「…うん!」
二人はドレスの迷路から抜け出し、レジがある方へと戻る。
「お姫様達、このドレスはどうやって持ち帰る?」
店員が沢山のドレスを抱えながらそう言う。
「そうだなぁ~じゃあ、後でまた取り来てもいい?」
「良いわよ」
「ありがと~!」
リリーナは店員に近づき、支払いをする。
「合計◯◯◯◯◯です」
「はーい!」
結奈は桁が多すぎる数字を聞かないようにする。
「はい、ぴったりね、じゃあ、また後で取り来てね」
「はーい!ルーちゃん行こ!」
「え?」
「ありがと~おばさん!また後でね-!」
「はーい」
リリーナは店の扉を開け店員に手を振りながら店を出る。そして店員も、二人に手を振る。




