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政治経済エッセイ

「円安」なんて生易しい言葉ではなく「世界同時円弱」「先進転落国」として捉えなくてはマズい!

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。


 今回は日本の実効為替レートが史上最低値を更新し空前の通貨安に陥っているという事について見ていき、個人的な解説を行っていこうと思います。



◇「円高」や「円安」が問題なのではなく「適正なレート(120円前後)」から乖離していることが問題



質問者:

 円安そのものが問題という事なのでしょうか?



筆者:

 ここに少し勘違いがあるのですが、厳密に言うのであれば「円高であることが良い」「円安であることが悪い」という事ではありません。


 例えば、円高に行き過ぎれば輸入価格は安くなりますが海外に拠点を移してしまい雇用の喪失に繋がったりするために「行き過ぎた円高」と言うのもこれはこれで問題です。

 2010年前後は80円台だったのでこれはこれで日本経済に悪影響だったわけです。


 今現在は「適正なレートよりも過度に円安になっていること」が問題なのであり、

 「円安そのものが悪」という事では無いという事をご留意いただければと思います。



質問者:

 では、具体的にはどれぐらいが「適正なレート」という事になるのでしょうか?



筆者:

 帝国データバンクの『円安に関する企業の影響アンケート』(2024年5月17日発表)によりますと、

『円安の進行、企業の63.9%が「利益にマイナス」

適正な為替レート、「110円~120円台」が半数』


 となっており今は「適正と思われる120円」と比べて40円ほど乖離しているために「80円時代」と同じぐらい「円安側で問題」だと言えると思います。


※ちなみにアベノミクスは「適正レート時代」が長く続きながらも経済成長できなかったのは消費税増税で水を差し、財政出動をした先が大企業のみだったためです。



質問者:

 なるほど、適正な数値よりどれぐらい離れているかで問題があるという事ですか……。


 ところで「実効為替レートが1970年代より悪くなってしまった」と言うのはどういう事を意味しているんですか?



筆者:

 実効為替レートを非常に簡単に言うのであれば「世界的に見た日本円の価値」ということです。

 2国間の通貨の交換比率を表す為替相場とは異なり、物価水準や貿易量などを基に総合的な購買力を測るモノを言います。


 実効為替レート(2010年を100とした指数)で見て見ると、

コロナ直前の2020年の時点では「80」そこから20下がって「60」ぐらいになっています。


 この「60」というのは高度経済成長直後の固定為替相場制(1ドル=360円)が終わった73年レベルかそれよりも下になってしまったという事です。


 これはもはや「円安」の領域をはるかに下回り「円弱」と一部では言われていますがまさしくその通りだと思います。


 ちなみに前回の「60」だった73年はまだ1億800万人、出生率は2.14だったので人口が増える好循環の未来が見えていましたが、

 今後の日本は人口減少と税金・社会保障負担増・年金減少(僕は不必要と思っていますが政府はそういう意図が見え隠れします)などの悪い未来ばかりが見えているので「衰退途上国」又は「先進転落国」になっていくことが予想されるわけです。

 


質問者:

 通貨安の割合では2000年以降でG20では下から2番目ということらしいですが……。



筆者:

 ちなみに最下位はアルゼンチンです。

アルゼンチンは相次ぐハイパーインフレに伴い2007年、2014年、2020年と何度もこの24 年間の中でも経済危機やデフォルトを迎えている国です。

そのアルゼンチンと比較されるような状況は問題外と言えると思います。


 日本はアルゼンチンとは違い外国からの借金が全国債のうち15%前後とデフォルトする可能性は限りなくゼロとも言え、見た目上の通貨危機に思えない状況です。


つまりこの驚異的な「世界的に見た円弱」は「静かなる有事」とも捉えることが可能だと思います。



質問者:

 大変じゃないですか……。


 でも世界から見た場合の円安って言うのは良くないことかもしれませんが、

 よくよく考えてみれば海外旅行に行けなくなるぐらいで、

 日本にずっと暮らしている限りにおいてはそんなに影響はないじゃないですか?


 ましてや日本は物価も昔ほどでは無いとはいえあまり上がらない国ですからね。



◇「円安スパイラル」が待ち構えている



筆者:

 確かに実効為替レートに一番影響が出るのは輸出入と海外旅行になりますからこれに直接関係が無いと問題が無さそうに思えます。


 ただ「世界的に見て円弱」と言う状況は長期的に見ていくと以下のような悪影響が起きることが予想されます。


1 輸入品価格が上昇することは日本としては物価高を助長してマイナスしかない

⇒ 企業における賃金の上昇はすぐに物価に追いつかず、貧困層が円安で大きなダメージを受けます。(今でもスタグフレーションになりつつある)


2 円安になればなるほど、「不良外国人」が大量に入ってくる。

⇒ なぜなら、物価は安いし、「現地の女性も安く買えてしまう」から。

途上国のアンダーグラウンドは、現地の女性が売り買いされている(今もパパ活と言う言葉がありますがそれが外国人の一般の人に買われるという事です)。


3 優秀な若者、バイタリティのある若者、大きく稼ぎたい若者は外国に流出

⇒ なぜなら、外国の通貨で稼いだほうが同じ働くにしても有利になります。途上国では、それで出稼ぎ経済となっている。

 さらに日本に戻ってくることは無いだろう。


4 資産を持った富裕層は資産を外国にキャピタルフライト(海外に資産移転)を行いさらに円安が加速

⇒ 既につみたてNISAでそうなりつつある。国内株のみ非課税にするなどの対策が必要だった。


5 外国人経営者が日本に進出

⇒ 日本人を(海外から見たら)安く雇って働かせるようになります。(熊本が既にそうなりつつある)


6 企業、水源、農地、住宅などいい場所であればあるほど買い取られ、「外国人のため」に使われてしまう。

 ⇒ 「外交カード」として使われ買った分以上のお金を要求されます。


 どれもちょっとずつ姿が見えつつある感じがするのですが、

 これらが、さらに悪化していくという事です。

 3や4で円弱がさらなる円弱を生んでいくことは明らかですからね。



質問者:

 確かにこのまま円安が進んでいくと長期的にはかなり良くないのかもしれませんね……。



◇長期的には「さらなる円弱」トレンド



筆者:

 そもそもここ2年余りの指数が20下がった「円弱」と言う状況は「日本がコロナに対してケチだった」ことが原因です。


「コロナに対する支援が他国より無かった」ことにより景気回復が遅れ、

利率を上げることが出来きなかったことが要因です。


 22年から如実に差が出たのは「コロナの行動制限解除によるリベンジ消費」が各国で行われたのに対して、


第一生命経済研究所の22年10月の調査によると

「新型コロナウイルスの影響で消費できなかった分、好きなことや欲しいものに積極的にお金を使いたい」との設問で「リベンジ消費」について「あてはまる」とする割合はわずか1割強だったことが分かっています。


 日本は「コロナ貯蓄によるリベンジ消費」と言うのは行われず「物価高の赤字補填」に使われたのが実情なのです。



質問者:

 結局日本では国民に対しては10万円の給付のみでしたからね……。



筆者:

 後は雇用調整助成金の拡充に伴う雇用の保全程度でしょうか?

 医療関係者への給付金は潤沢でしたが、一般人への行動制限への補償は不十分だったと言わざるを得ません。


 アメリカなどが雇用保険に多額のお金を出したり、毎月の給付金が10万単位出てたのに対して非常に対照的です。


 このように、「日本がケチだから経済回復が遅れて利率差が付いた」と言うのが実情なのです。


 そして、今年の「骨太の方針」でも税収で全ての政府支出を賄う「PB黒字化目標」と言うのは26年以降も堅持されることが決まりましたので、「ずっとケチが続く」ことが確定していっているわけです。



質問者:

 コロナ対策もケチで今も減税は4万円しかないケチで、事務負担が増えまくっているとなると本当にお話になりませんね……。



筆者:

 そしてさらに積立NISAではS&P500などを推奨しており、円安は加速する見込みです。

 日本証券アナリスト協会認定アナリスト立石宗一郎氏によると、

『新NISA開始による国外へのネット買付額は、年0.7兆円~3.9兆円程度となる見込み。これはドル円相場を、政府プラン最終年の2027年にかけて1~6円弱下押しする計算』と言っています。


 海外投資家としても円弱トレンドは見えていますから、それに乗じてさらに円売りを加速させているという形ですね。



質問者:

 このトレンドを脱するには、やはり減税と適切なところに積極財政、NISAを国内のみと言ういつもの論調に落ち着きそうですね。



筆者:

 結論としてはそうなのですが、僕と同じような真水国債をして減税や積極財政を唱える経済学者ですら、「円安は日本経済にとってプラス」と「世迷い言」のようなことを言っている方がいるので非常に残念な気持ちになります。


 一部の輸出企業だけが儲かって経済回復しなかったことは、この10年の内部留保額が増えているのに、国民の給料が上がらずトリクルダウンが起きなかったことが全てを証明しています。


 先ほど話しました通り今は「円安」のレベルをはるかに超えている「危険水域の円弱」でありこれ以上、「円弱」が続くとなると、更に外資に買われて行き「日本企業」というのは株主の上では事実上消滅しかねない状況になると思います。



質問者:

 大企業は確かに雇用を確保することで貢献していると思いますけど、

 かと言って最近まで給料が上がっていませんでしたからね……。



筆者:

 しかも、若手の新入社員ばかりが給料が上がって40代からは給料が上がっていないというデータもあります。


 とにかく「セコイ」と言うのが政府も企業にも蔓延っていると思います。


 恐らくはGDPが伸びないのは外国人を入れないからだ! と言う論調になっていくに違いないと思うのですが、民間需要の弱さを外国人で補うのは発展途上国の典型的な発想だと思います。


 しかも外国人におけるGDPの恩恵は1%しかなくこれが倍になっても2%にしかならない上に今ですらオーバーツーリズム問題が起きているので観光地は限界を超えつつあります。



質問者:

 出生数が減っているのが一般的には「静かな有事」と言われていますけど、

 分かりにくい状況で「円弱」が進んで大変なことになっているのですね……。



筆者:

 しかもこれを官民一体となって推し進めており、指摘する人も極僅かだという事です。


 マスコミは全く取り扱ってくれませんので、この狂ったトレンドを変えるために今後も指摘していければと思いますね。

 皆さんがご覧になって下さるのがいつもとても励みになっています。

 この様な話題について書いておりますので、よろしければまたご覧ください。

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