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15歳③けいすけ

雨が降り続いていた

ようすけは夜遅くになっても帰ってこない

心配した親は警察にと動きだした

その時だった

父親の携帯が見知らぬ番号で響いた


電話にでた父親は力無く椅子に座ると、真っ青な顔の母親と僕に向かって、


「ようすけが交通事故で――死んだって」


その言葉以降の記憶は曖昧で思い出せない。


僕は、その日弟を亡くした。


---


その後の数日間は、まるで夢の中にいるようだった。家の中は静まり返り、時間だけがゆっくりと流れていた。


ようすけの死因は『事故死』だった


雨で見通しが悪く、不運な事故だったと伝えられた


母は泣き続け、父は無言のまま何も言わなかった

僕もまた、どうしていいかわからなかった


部屋で一人だと何度も何度も、ようすけが笑っている姿が頭に浮かんでは消えていくを繰り返された。


通夜の日、たくさんの人が来てくれた。

友達や近所の人たち、親戚たちが集まり、ようすけの思い出を語り合った

でも、どれも僕には現実感がなく、遠い出来事のように感じられた。


葬儀が終わり、ようやく現実が少しずつ僕に迫ってきた。

ようすけのいない日常がこんなにも寂しいものだとは思わなかった。


ようすけの部屋に入り、机の上にあったノートを見つけた。そこには、ようすけの夢や希望が書かれていた。

もちろん、『森咲 はる』についてもだ。


僕は、その時に知った


ようすけが死んだ日に、あいつは彼女と会っていた


胸騒ぎがした僕は彼女からの手紙も読み返した


だが、彼女は葬式にも現れなかった。


知る術も無いのだろう


ようすけが死んだことを、どう彼女に伝えたらいいのだろうか?成りすまして彼女と会っていたことへの謝罪を説明して話す勇気が僕には無かった。


部屋で一人、泣きながら僕は謝り続けた


彼女とようすけに


僕が彼女を好きにならなければ自然とようすけから紹介もされていただろうから、彼女とも普通に連絡ができただろう。


できない

ごめんなさい

できないんだ


僕のちっぽけなプライドのせいで、ようすけの死は彼女に伝わることは無かった。


このことを僕は後に後悔することになった






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