15歳②ようすけ
それから3年経って、俺らは15歳になった
春には高校生だ。
森咲とは文通が続いていて、互いに日常的なことを知らせ合っている
けいすけが「メールがあるだろう?」と言って勧めてくるけど、何だろうな
今更な気もするし、即レスしてきそうな森咲にも毎回の返答に戸惑いそうなので、今はまだ文通ほどの速度的には丁度いい。
そう言うと、けいすけは少しだけ寂しそうな顔をしたので気にはなったけど、理由を聞いたことは無かった。
今は6月の梅雨時で、毎日のように煩わしい雨が降っていた、彼女から昨日届いた手紙のラストに
「6月の最後の日にあの場所で」
そう最後に書いてあった。
学期が終わって一時帰国する彼女が、久しぶりに会わないか?という誘い
会わないわけがない!僕は手紙を握り潰すくらいの圧で手紙を胸に抱いて、ソファーの上で悶えた
3年ぶりに彼女に会える
そして、伝えるんだ『彼女が好きだって』
嬉しさのあまり暴れてソファーから落ちた間抜けな俺を店の手伝いから帰ってきたけいすけは
「バーーーーカ」と笑って軽めだけど頭を叩かれた。けいすけは森咲が帰ってくるんだと浮かれてニヤつく俺を「頑張れよ」と叩いたばかりの頭を優しく撫でてくれた。でも顔は何故だか今にも泣きそうな表情だったので
「なんで?けいすけが泣きそうなんだよ」
そう聞いたら、けいすけは困った顔をして
「好きなもん取られる身にもなってみろ」と言った俺は大きな勘違いをした。
好きなもん。それが疑いもなしに自分なんだと思ってしまったこと浮かれてた俺は気付けることが出来なかった。
約束の日、場所へ向かう
雨が酷くなってきた、部活が長引いてしまい遅くなってしまった急いで神社に向かう
彼女は大丈夫だろうか?この大雨だ焦ってしまう
向かうと、森咲はそこにいた。
傘をさしても雨が強いのだろう、肩まで濡れていて申し訳なさに「ごめん」と謝ってしまった。
森咲が「大丈夫」と引き攣った笑顔を見せるので、僕は彼女が雨で体が冷えて寒いのだろうと思い自分の濡れていないであろうタオルを彼女に差し出したが、彼女は手で受け取りを拒否し思い詰めた眼差しで俺を見つめた。
雨のせいで彼女の顔は濡れていて
けど、泣いているのが何故だか分かってしまった
「…話があります。私は…」
森咲の声は震えていた
一瞬、嫌な予感が頭をよぎった
雨の音がうるさすぎて震える彼女の声は細く聞き取りずらかった、いや違う
聞きたくないと拒否していたような気がする
雨の音は今の俺には好都合で有り難かった。