12歳④ようすけ
俺と森咲との時間は突然の終わりを迎えた。
彼女の両親が海外へ行くことになった。
そう伝えている森咲に俺は、今告白するべきなのかと思った。だけど友だちと離れることなどで落ち込んでいる彼女につけ込む行為はなぜだか嫌でならなかった彼女との繋がりを切るには辛すぎる。
フラれる前提だが、まだ自分に自信が無かった
なので俺は彼女に提案した「文通をしよう」と。
森咲は嬉しそうに笑って承諾してくれた。
彼女とは会うことが困難にはなるけど、繋がっていることはできるし2度と会えないことはないんだ。
そして俺と彼女の文通が始まった。
毎日彼女からの手紙を待つことが、俺の日々の希望となった。手紙を開く瞬間、彼女の笑顔や声が頭に浮かんで、少しだけ寂しさを忘れることができた。
そんなある日、俺はけいすけに彼女の存在を話すことにした。彼女の手紙が届けば、きっと家族には詮索されるんだ。けいすけと彼女が出会ってしまう危険はもう無い、なら話しても構わないと思った。
「好きな人ができたんだ」とけいすけに告げると、「そんな気はしてたよ」とけいすけは悲しそうな表情で答えた。
喜んでくれるとは期待はしていなかったけど
俺はスッキリはした、ずっと兄弟を意識していたなんて恥ずかしいな。
「彼女の名前は森咲 はるでーーー」
森咲とのことをけいすけに話す間、俺は緊張しすぎて、けいすけが泣きそうな顔で俯いて俺の話を聞いていたことも気付けてなかった。
けいすけは俺の話を聞きながら、自分の中で何かを整理しているようだった。
しばらくして、けいすけはゆっくりと顔を上げ、優しい笑顔で言った。
「頑張れよ、遠くに行っても彼女との繋がりはなくならないんだからさ、、」
その言葉に俺は少しだけ安堵した。
けいすけの優しさに触れ、俺も森咲との未来を信じる勇気が湧いてきた。
どんなに距離があっても、彼女とは繋がっている。
俺と森咲の物語は、まだまだ続いていくのだ。
慌てなくてもいい、彼女との関係を繋ぎ続ける努力をしようと勘違いした俺は希望に溢れていた。