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24歳 

24歳のはるは、静かな家の中で子供を膝に抱きながら深いため息をついた

なつが子を連れて帰省したのだ

子供の笑い声とともに、軽い足取りで家に入ってきた妹のなつに、自然と微笑む


「はる、ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」


なつは意味深な顔をして、はるの隣に腰を下ろした。


「実は…私は、貴女に成りすまして

けいすけくんに会ったことがあったの」


その名前を聞いた瞬間、はるの心がざわめいた

けいすけ――彼は、はるにとって特別な存在で

ずっと彼女の心の中にいて、それは甘くもあり、苦いものでもあった。


「私は自分で勝手に決着をつけた、そして後悔もある。あなたたちの大切な存在を傷つけた

私はしてはならないことをした

好きだったから、彼を。貴女のことを伝えた時の彼は、多分だけど全部知っていたと思う

私の罪も、貴女のことだってー」


「はるも、そろそろ自分の気持ちに向き合ってみたら?」


はるは視線を落とした

けいすけに対する感情が、胸の奥で重く響く

ずっと避けてきたが、今こそ正面から向き合わなければならない――そう強く感じた。


その夜、はるは決心した

けいすけに告白しよう、と


彼への想いは本物だ

愛しているのはけいすけだ――

その気持ちは、あの日から変わらなかった


はるは決意を固め、日本へ向かった


けいすけの仕事場へ到着した

さくらは、お店のフロアにいた女性スタッフに

彼を呼んでほしいと話しかける


が、その女性は「…どちら様でしょうか?」と

あからさまに彼女を不審がっている


「私は、彼のペンフレンドで…」


「あぁ…貴女が、そうなの…へぇ〜」


女性は不審者扱いはやめてくれたが今度は

さくらに対して分かりやすいほどの敵意をみせた


実は、この女性『田中 ゆうり』はけいすけに好意を抱き告白したばかりで


けいすけからは『…今は考えられない』と伝えられたショックではあったが、フラれた訳ではないと諦めてはいなかった

ゆうりには同期というのもあるが気を許していた

けいすけからペンフレンドである彼女の話を聞いたことがあった

『…この関係は続けていきたい』とも聞いていた

話を聞いたときは会うこともほぼ無い

ただ遠い国の『ペンフレンド』だと思っていたのに


彼に恋してます!って顔で現れた彼女に

ゆうりは激しく嫉妬してはるに向かって言った。


「私たち、付き合ってます。彼に何の用なの??」


さくらは、その言葉は嘘だと直感で分かった


しかし、けいすけの姿がないその場所で彼女に反論する気力はなかった。

心が折れ、失意のまま帰ろうとするはるの背後で、客の対応をしていた

けいすけがすれ違っていたことに彼女は気づかなかった。


傷心のはるには新たな機会が訪れる


彼女の携帯が震え、電話にでると


イタリアでの調律師の仕事が舞い込んできたのだ

憧れの国、夢見ていた仕事――しかし、その代償は大きかった


「もう、会うことはできないかもしれない…」


そんな不安が頭をよぎる

だが、最後のチャンスに賭けようと、手紙の住所に向かい自宅を訪れるが彼は不在だったので、はるはけいすけの母親に手紙を託した


「彼に、この手紙を渡してください…お願いします。」


彼女は運命を祈って彼の家まで続く長い急な坂道の頂上で待ち続けた

もし、けいすけと再び偶然を装った待ち伏せで出会うことができたなら、それは運命だ

何があっても彼に想いを伝え、好きだと告げようと

待ち続けた


しかし、けいすけが手紙を読んだのは、遥かに時間も過ぎた後だった


彼女のことを帰宅早々に母親に聞いた


焦る気持ちを抑え、彼は坂道を駆け上がったが、そこにいたはるはもういなかった


代わりに置かれていたのは、けいすけが好きだった苺のキャンディが入ったお菓子の缶

缶は彼女が、あの日からずっと待ち続けていたもの


それが、はるからの最後の贈り物だった


はるはその後、渡米し、イタリアへと旅立った


手紙も来なくなってしまったのだった


けいすけは悟ってしまう


さくらとは、もう会えないのだと…


自分と彼女の関係が終わりを告げたんだと。



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