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23歳②さくら

私の名前は 『森咲 さくら』23歳


私には双子の妹で『なつ』がいます。


親にも見分けが困難なほど私たちは容姿も性格も食べ物の好みだって同じでした


そう、好きな人のタイプだって同じでした


だから なつには言えなかった


私には、ずっと昔から好きな人がいると。


けいすけくんと会った、あの日に私は彼に打ち明けようと最後まで迷った言葉がありました


『私は、君のことをずっと昔から知っている』と

ようすけくんと出逢った、あの神社で

私は君に『お礼』を言いたくてずっと待っていた


私は君に会いたかった


最初は君たちが双子だとは知らなかったので

私は君に出逢えた嬉しさでいっぱいで

違和感も感じずに、君が好きだった味のキャンディを選んでくれると差し出した。


…オレンジ???イチゴではなくて

そう思って疑ってしまった


「オレンジ迷わず取ったね。…好きな味?」


「好きだね」


「私は…イチゴ味が好きなの」


そう、イチゴ味が好きだった彼が好きだった


最初に感じた違和感は『味の好み』だった


私は君のことを何も知らなかったから


味の好みは変わるもんだと肯定的に考え、嫌な予感というものに蓋をしました


けいすけくんと過ごした時間は、私にとって穏やかで優しいひと時でした。


しばらく経って、私は彼を毎日のように通るピアノ教室までの道すがら見かけてしまった


喫茶店の大きな看板を持って出てきた彼に


「我妻くん??」


この喫茶店が彼のお祖父さんの店だとは知っていたので、お手伝いでもしているのかと

いつも通りに声をかけたのに、彼は看板を持ったまま緊張で固まっている


「おはよう?」と彼は、まるで知らない誰かに話しかけられて気まずいような…様子で


「おはよう。ここはーーー」


伝えようとした言葉を飲み込んで

私は彼に感じた違和感を脳内で推理を始めている


彼の容姿は、ようすけくんだ間違いはない


だけど、この反応は…と考えていると


「じぃちゃんの店なんだ、ここは。」と彼が説明した。


「そうなんだね。驚いたよ」


え?知っているけど…と声に出そうになったのに

私は、また飲み込んでしまった。


きのう私が ようすけくんに飴をすすめた時に

彼は迷わずに『イチゴ味』を食べた


たまには『イチゴ味』なのかと『オレンジ味が』多めのキャンディ缶を閉めて思ったことを流した


あの時の彼に出逢えたのかと


いや、既に彼は私の前にいるのだから可笑しな考えだなと心の中で身勝手に悲しんだ


だけど…もしかしたら、と店の中に早々に戻ろうとする彼を必死に繋ぎ止めようとした


「今日は喫茶店にいるの?」「たぶんね」


私の中の『もしかしたら』が溢れ出していく


ピアノを弾いている間の私は感情がぐちゃぐちゃになっていて先生に体調不良ではないのか?と伝えられ、少し考えてから「…そうです」と答えた


…ごめんなさいと心の中で先生に伝えながら、親には自分で連絡をすると伝え教室を出ました


教室→神社でお迎えを待つ


このルーティンを初めて破りました


私は彼に会う為に、喫茶店のドアを開けました


「おすすめは?」と平静を装う私に


彼は再び現れた知らない誰かに戸惑いながらも


「じぃちゃんは腕がいいから何でも上手いよ」と業務的に話しかけてきました


「じゃあ、オムライス」


お腹は空いていたし、何かを頼まなければ

彼のことを探らないので時間がかかることと考えて

ご飯を食べることにしました


「かしこまりました」と彼は震える手を隠しながら下がってしまったのでオムライスができるまでの間

外を眺めながら、今までの私の知っている

ようすけくんを思い出していると

彼がオレンジジュースをテーブルに運び私の前に座ってくれました


話すことができるんだと喜んだ私は

私のことを知らないであろう必死に『ようすけくを装う』同じ顔をした彼に


私が音楽が好きでピアノの調律師を目指して

学校近くの教室に休日は通っていること


ジャズが好きでこの喫茶店の店内の選曲に

前々から興味があったこと


学校は神社から近くて

ようすけくんとは平日の帰りに数分ほど会っていることを話しました。


彼は虚な表情で、聞いてくれました


私は彼がいつ『いや!知っているから、どうしたの??』って伝えてくるのを話しながら待っていましたが、彼が最後まで初めて知ったような表情で悟りました


彼は『ようすけくん』では無いのだと。


私は、私の知らない彼を知りたくて


「休日は何時もここにいるの?」と聞いた


「大抵はここにいるよ」


と答えた瞬間に彼が焦り出したので


「…じゃあ、また来るよ。」とだけ伝えて彼との時間を必死に繋ぎ止めようとしました


「えっと、あの…」と更に焦りです彼に


お母さん?が現れて、こちらに近づいてきました


「こんにちは。えっ?デートか何か?」


「違う!彼女はお客さんだよ。」


そう紹介されて私は何故だか、とても心が痛かった…けど何とか笑顔を作って


「話し相手になって貰ってました」と伝えた


運ばれてきたオムライスを「美味しそう」と声がでてお腹も空いていてので食べ始めようとすると


「オムライスに飲み物付くよ。ジュースか紅茶、コーヒーもあるけど」と伝えられたので


オムライスの写真を記念にと納めながら


「うーん。コーヒー苦手なんで紅茶かな」


「紅茶は何でも大丈夫?」


「うん、君の好きなお勧めでいいよ。お願いします」と何も考えずに伝えました


彼が厨房に下がっている隙にオムライスを食べ始めていると、頼んだ紅茶を彼が運んできた際に

『イチゴ』が香りをたてて鼻に香りが届いたので驚いたと同時に『違和感』が確信に変わりました


彼は私が、ずっと好きだった人だと


だからーーー確かめたかった


「君はイチゴ味が好きなの?飴もイチゴ味を選んでたけど」


ーーーだけど返ってきたのは


「いや、たまにイチゴ味な気分になるだけで好きな訳でも無いよ。」と答えられました


「…そうなんだね」


私は彼を知ることはできないのかと

せっかくの美味しいイチゴ味の紅茶が苦くなった


「うん。じゃあ僕は母さんとこのまま出かけるけどゆっくり食べていって。また。平日に会おう」


「うん!また」彼の再び会おうとの言葉に私は胸の鼓動が上がったのを感じました。


彼のことが知りたい


私は迷わずに彼と繋がれる時間を選択してしまったのでした。


ようすけくんの私への気持ちを悟っていながら、自分の欲望に走りだして後ほど後悔することになったのです。


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