21歳②
こんな思いっきり自転車を漕いだのは初めてだった
文化系だった僕が汗を流してまで必死になることがあったんだなとバイト先までの道のりを
青春でも勘違いした大人が必死こいて自転車を漕いでいる姿が滑稽で笑いすら出てきてしまった。
かなり怪しかっただろう
そして余裕もない僕は急いでロッカーまで
周りが驚くほどの必死さでロッカーに駆け込んだ
いつも余裕ぶった僕の姿しか見せないように
装っていたのでバイト仲間は、何だろうと
僕の姿を目で追っていた。
ロッカーで制服に着替える前に汗ばんだ手で鞄から手紙を取り出した手が経験したこともないほど震えていたが封を切り、中の便箋を広げる
けいすけさんへ
突然の手紙で驚かせてしまってごめんなさい。
そして、ようすけくんのことを伝えてくれてありがとう。私はずっと前から君のことを知っていたのに、何も言わなかったことを後悔しています
(…僕のことを知っていた?どういうことだ??)
私は、あなたのことを気づいていました
けいすけくんがあなたのことを話す事は、ほぼ無かったけど
(だろうな、僕のことを知られたくなかったから)
私は知っていました。けいすけくんでは無い
もう一人のあなたがいるんだってことを
好きな飴の味や、実際に会った時の仕草で
(飴の味…!そうか!!けいすけはオレンジを選ぶだろうし、おすすめの紅茶だって苺を使っていた
君が苺を好んでいると勘違いしたんだ
あぁ、間抜けだなぁ…僕は)
出逢ったときには、怪しまれていたんだ
これからも手紙で話をしませんか?少しずつ、互いのことを知っていけたらと思います。
いつか、あなたに会ってお礼も言いたいです。
森咲 はる
※※※
手紙を読み終えた僕は深い息を吐き出し、胸の奥にあった重い感情が少しずつ解けていくのを感じた。彼女が手紙を通じて話をしたいと言ってくれたことが、僕にとって大きな救いだった。
それから驚くだろうが
はるとの手紙のやり取りは数年も続いた。
少しずつ、互いの過去や思い出に将来の不安を綴った、そしてようすけとの思い出を共有しながら、僕たちは新たな関係を築いていった。
会うことは無かった
どちらも学校にバイト、様々な理由でタイミングが合わずに数年の月日があっという間に過ぎていった。




