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15歳①ようすけ

俺の名前は 『我妻 ようすけ 』15歳


俺には双子の弟で『けいすけ』がいます。


親にも見分けが困難なほど僕らは容姿も性格も食べ物の好みだって同じでした。


そう、好きな人のタイプだって同じでした。


だから けいすけには言えなかった。


俺には好きな人がいる。


今日、彼女に告白するんだと。


いま思えば言っておけば良かったんだと思う。


「、、、、、っ、だ、よ、、」


体がなぜだかうまく動かせない。

夜には雨になるってテレビで言ってたのを

ふと思いだして動かない自分の体に降り注ぐ雨を不快に感じても今日が雨で良かったなどと見当違いなことを思い笑ってしまう。


俺は彼女にフラれた、フラれたんだ。


涙が雨に流されるのでフラれて泣いたことが

けいすけにバレることも無いだろうと

暗い雨の中で一人で笑っている。


体の感覚は少しずつ消えていくように

目蓋も少しずつ重くなっていく


遠くから悲鳴と体にまで響く騒がしいサイレンが近づいてくるのが分かるが


体は動かないし今はとても眠い

ハードなトレーニングした部活後の比では無い


強制的に感覚を閉じられていく感じがする


眠りたく無いのに電灯のライトも消えたかのように視界が暗く暗くなっていく…


怖い。


けいすけ!


けいすけ!助けて!


必死に助けを呼ぼうと声を出したけど


ヒュッ、ヒューッ、


声は小さく音にすらなっていなかった。


いきなりプツンっと俺の全部は真っ黒に染まってーーー見慣れた場所で目を覚ました。


祖父の喫茶店近くにある神社の境内


俺とけいすけは共働きだった両親を家で待つのでは無く自宅から電車で二駅の祖父の元で待つように言われていた。

それは母の仕事場が近いのも理由でだ。


祖父の店は古臭くて若いお客さんなど絶対に選ばないであろうほどクラシックでレトロだ

しかも祖父の好みでジャスしか選曲なし

まだ小学生だった僕とけいすけが

その場所で耐え切れるわけもなく

喫茶店から5分も掛からない場所にある

神社まで二人でよく遊びに行った。


公園は近所の子供たちが遊んでて区域が違う外の僕らは輪に入れずに2、3回で行くことを諦めてしまった。


神主さんは俺らのことに気づいていたけど

何も言わず優しくいつも接してくれた。


そして神社には大きい桜の木があって

木の下には神主さんが作ったカタチが少しだけ歪んだ椅子が2脚置いてあった。


僕とけいすけの定位置はいつもそこだった。


祖父に連れ戻されるまで俺らはいつもそこにいた。


二人で椅子に座って笑っていた。


その椅子に今、彼女が座っている。


春の心地いい日差しに気持ち良くなったのか

目を閉じて眠っているかのように

彼女が突然、僕の目の前に現れた。


だけど


いま俺の前で眠っているであろう彼女は幼さを残した女の子だ、初めて出逢ったときの彼女の姿で

あの告白した時の姿ではない。


頭の整理が追いつかない俺は

彼女に触れてコレが現実なのか確かめようと

彼女の肩に手をかけた瞬間ーー


強い光に包まれた。


意識がまた弱まっていくーーーーー

彼女が僕に気づいて目を覚まし

涙を浮かべて何かを伝えようとしたけど


意識は途切れた…


俺はその日死んだんだ。



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