第二話 【 魔王を倒す理由 】
「そうか! オレの名前はサタン一家のクラウド! よろしく!」
「よろしくクラウド。 それで? 君は一体こんな場所に何をしに来たんだい?」
「貴様を見に来た!」
「見に来た? あぁ、君の父親を殺し損ねた人間を一度拝見しておこうと思ったわけか」
「いいや! 勇者を見に来た!」
堂々とした声で言い放つクラウドに、勇者は少し絶句する。
「あ、あぁ。 勇者という存在に興味を持ったのか。 それでわざわざここまで」
「いいや! 勇者と呼ばれる人間を見に来た!」
「・・・そう、か」
それからクラウドは一点に輝く光に向かって話を続けた。
「貴様は男? 女?」
「声で分からない?」
「え? 人間って声で男か女か分かるの?」
「あ~・・私は女だよ。 子供もいる」
「へ~子供何歳? 100歳くらい?」
「そんな訳ないでしょ。 エルフじゃあるまいし。 歳はまだ10になったばかりだよ」
「マジで! オレと同じだ!!」
「そう。 君も、10歳なのか」
「あぁ! そっか~。 オレと同じ年齢か~。 一度会ってみてぇな~」
「会ってどうするんだい?」
「友達になる!」
「・・・え?」
「え?」
勇者が再び絶句するリアクションの声に、思わずクラウドの不思議そうな表情をする。
「君は、友達というのがどういう意味か分かっているのかい?」
「あ? えぇ・・と、お互いを信頼して遊んだりする仲?」
「うん。 言葉の意味としては合っている。 でも君は魔王の息子だろう」
「そうだが? え? 何? それがダメなの? 人間って魔王の息子と友達になっちゃダメなの??」
「いや、ダメという訳ではないのだけど・・・」
「じゃあ問題ナシ!」
なぜか自信満々に言い放つクラウド。
「それよりも人間ってさ。 なんでオヤジ倒そうとするの? 魔王になりたいの?」
「・・・それはマジの質問?」
「オレはいつだって大マジだぜ!」
「・・・」
「・・え? 何その反応。 オレ何かまずい事聞いた?」
「いや、そうだな。 直球的に言うと、君の父親は―――」
「坊ちゃん」
「「 !? 」」
少年が振り返ると、そこには片目メガネをした魔王の執事が立っていた。
「こんな所で一体何をしているのですか? ここは貴方様のような高貴な御方がいる場所ではありません。 さ、城内に戻りましょう」
「え~~~~~~~~~~~~」
「え~ではありません。 行きましょう」
「げぇ~~~~、じゃあな勇者~~~~また来るわ~~~~」
戻る事を拒む声を上げながら少しずつ遠くなっていくクラウドの声が聞こえなくなる。
「なぜ魔王を倒そうとするのか・・・か」
クラウドに聞かれた質問が脳裏から離れない。
なぜ人間は魔王を倒そうとするのか。
それはまだ子供だから知らないだけなのか。
それとも少年自身がそこまで悪でないのか分からない。
ただ、勇者は少年に対してハッキリと答えようとした。
人間が魔王を討伐しようとする理由。
「そんなものは決まっている。 すべては世界の平和の為だ」