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胆嚢摘出手術の後、メドマーが辛かった話

作者: NCO

胆嚢摘出手術の後、メドマーが辛かった話


I.は じ め に


 私は8ヶ月程前に腹腔鏡下胆嚢摘出術で、13mmのポリープが

できた胆嚢を摘出しました。

 これからお話しするのは、胆嚢摘出の手術に至るまでの経緯と、

手術の後でどんなことが起きるのか知らず、想像もしていなかった

私が麻酔から目覚めた後の経験です。

 読んでいただきたい方は、今まで大きな手術を受けた事が無く、

将来もしかすると手術を受ける可能性がある方です。


 特にお伝えしたいのは、手術が終わって麻酔から目覚めた後で、

どんな状況が待っているかです。

 1.点滴が抜けるのが怖くて動けない。磔の刑の気分。

 2.尿道カテーテルは異物感があり排尿感は無いため心配。

 3.血栓防止のため足を揉み上げるメドマーで一睡もできない。


 今、振り返ってみると手術後に何が待っているのかについて知識

と心構えがあれば良かったのにと思います。この文を読まれた方が

もし手術を受けることになった時、行く手に待ち受ける状況を事前

に知って不安や辛さが少しでも軽減されればと思います。


Ⅱ.経 緯


 それまで何回か健康診断で、口または鼻から内視鏡を挿入して、

食道、胃、十二指腸などを検査する上部消化器官内視鏡検査と、

肛門から挿入して大腸内視鏡検査を受ける機会がありました。

 問題の無い小さなポリープと軽い逆流性食道炎があっただけで

大きな手術が必要な異常は見つかったことがありませんでした。


 昨年、がん総合検診を受ける機会がありました。自費で少し高額

でしたが今後の安心のために必要な経費だと考えました。

 検査は2日間に渡って行われ、1日目は視力を含む身体測定、

血圧測定、血液・尿検査、腹部超音波、胸部CTの検査を行い、

帰る時に下剤を渡され家に帰ってから服用しました。

 2日目は食道・胃内視鏡、大腸内視鏡の検査を行いました。


 がん総合検診から1ヶ月後に検査結果の説明がありました。

 そこで「腹部超音波で胆嚢に10mmを超えるポリープが

見つかりました。腫瘍性のポリープの可能性もあるので、家の

近くの総合病院で精密検査を受けてください。」と言われました。


 早速、総合病院で精密検査を受けたところ、「大きさは13mm

で、摘出した方が良い。」と外科の医師に勧められました。

 物心ついてから歯茎に埋まっていた三本の親知らずの歯を口腔

外科で抜いた、というより砕いた以外は手術というものをした経験

がありませんでした。

 また体の一部を摘出することが心配だったので、胆嚢を摘出して

体に問題が起きないのか医師に質問しました。「胆嚢が無くても

問題はありません。」というお返事でした。


 胆嚢は肝臓の下、胃の出口の上の辺りにある長さ100mm、

幅40mm程の袋状の臓器です。肝臓から出てくる消化酵素の胆汁

を一時的に貯めておいて、食事をした時に十二指腸に流し込む働き

をしています。

 昔、飢餓の時に偶に手に入る食べ物の栄養を残さず消化するため

に必要だったらしいのですが、現代の三食欠かさず食事が取れて

いる状況では不要な存在と言われています。


 この時点では、2型糖尿病のため血糖値のコントロールが出来て

おらず手術は直ぐには行えませんでした。同じ総合病院の糖尿内科

を暫くしてから受診し、糖尿病教育入院をすることになりました。

 糖尿病教育入院の後、1ヶ月半後に胆嚢摘出手術を受けられる

血糖値コントロールが出来ている状態になり、今度は手術の為の

入院となりました。


Ⅲ.手 術 の 前


 物心ついてから二度目の入院でしたし、前回の糖尿病教育入院の

経験から入院の準備はスムースでした。入院生活がどんなものか

分かっていたので、4人部屋でしたがストレスはあまりありません

でした。同室の方も糖尿病教育入院の様な、症状が重くて辛そうな

方は少なく明るい穏やかな雰囲気でした。


 腹腔鏡下胆嚢摘出術の入院日数は4日程度だそうですが、私の

場合は糖尿病の血糖コントロールが出来ているか確認のため8日間

の入院となりました。


 各種の検査を行い、手術や麻酔のリスクについて担当医が丁寧な

事前説明をして下さいました。

 足の血栓防止用のストッキングを履くという事、静脈に点滴を

行って麻酔薬等の各種薬剤を注入する事の説明がありました。

 また、手術直後について確かに説明の時にいただいた紙には、

「尿道カテーテル、足のマッサージ器がついたまま帰室する場合も

あります。」という記述があり、その説明があったと思います。

 しかし手術前の時点では、それが実際には何を意味しているのか

私には解っていませんでした。


 入院生活は順調に過ぎていきました。朝食前の血糖値も90前後

で安定していて問題なしと言われました。予約制で毎日シャワーを

浴びていました。日中は持ち込んだ会社のPCをテザリングで会社

支給のスマホに繋いで仕事をベッドの脇の机で行っていました。

 仕事が終わると、血糖値を下げる為の体操や運動や病院の敷地内

の散歩をしたり、持ち込んだ私物のiPadで絵を描いたりゲーム

をしたりして過ごしました。


 入院してから5日目に手術の前日になり、お臍の掃除を看護師の

方にしていただきました。手術の腹腔鏡はお臍を切ってそこから

挿入するのだそうです。

 シャワーを毎日浴びていたせいか、「掃除する必要がないくらい

綺麗です。」と言われました。


 翌日、6日目にいよいよ手術の日となりました。

 5:27に測った朝の血糖値は91mg/dlで問題なしです。

 7:15から点滴を開始しました。この日は食事抜きです。

 点滴によって、口から食べなくても栄養が取れるというのは

不思議な感じです。

 7:46に担当医の朝の回診がありました。予定通り今日手術

すると告げられました。

 11:20に手術着に着替えました。

 11:48に手術前の血糖値測定は110mg/dlでした。

 点滴を行っていない方の手から抗生剤を注射しました。

 12:40から手術予定と告げられました。

 手術が始まるのを待つ時間は何もすることがなく、何も出来ず

ゆっくり過ぎていきました。

 いよいよ手術の時間が来て、ベッドからストレッチャーに移動し

寝たまま病院内を、かなり長い距離運ばれていきます。

 ようやく大きな手術室に着きました。ギラギラしたライトや

見慣れない機械が沢山あり、8人ほどの人が手術着姿で取り囲んで

います。SFのワンシーンの様でした。


 麻酔薬が点滴から注入され、直ぐに意識が遠くなりました。


Ⅳ.手 術 の 後


 目が覚めると手術は終わっていました。


 点滴の管が手と繋がっています。お腹に我慢できる程度の痛みが

あります。点滴の針はかなり深く前腕部の内側の静脈に刺してあり

テープでしっかり固定されています。点滴スタンドに輸液バッグが

ぶら下がっていて、点滴筒の中でポタッポタッと落ちているのが

見えます。

 体を縛り付けられている訳ではありませんが、点滴が抜けるのが

怖くて動けません。反対の点滴をしていない手だけはそろそろと

動かせます。リリパット国でガリバーが捕まった時の様な、または

磔の刑の様な気分でした。


 膀胱には尿道カテーテルが挿入してあります。カテーテルは採尿

チューブでベットの下に置かれているはずの蓄尿バッグに繋がって

いるようです。本人は寝ているので見ていないのですが。

 違和感がものすごくあります。まず、ベッドに寝たまま排尿する

ということに抵抗感があります。いくら大丈夫なはずと頭で思って

いてもベッドを汚してしまわないか不安になります。

 それをなんとか克服して、排尿しようと下半身に力を入れても、

お小水が出ているのか分かりません。恐らくお小水はカテーテルを

通って出ているので、通常の尿道を液体が通っている感じがしない

のが原因かと思います。

 看護師の方が来た時に聞いて「ちゃんと出ていますよ。」と

言われて一応安心はしました。けれども膀胱にお小水が溜まって

いる感じは消えませんでした。


 両足は血栓防止のため、空気圧で足を揉み上げる機械、メドマー

に包まれています。

 エアーコンプレッサーの音がして、30秒毎に両足の土踏まず、

足首、ふくらはぎが、「ギュッ、ギュッ、、ギュー」と締め付け

られます。病院に置いてある上腕式血圧計で締め付けられている様

な感じです。

 延々といつ迄も30秒毎にメドマーは容赦なく締め付ける動作

を繰り返します。それが夕方から一晩中続き、一睡もできません。

 結局、メドマーを外して貰えたのは翌朝の6:45でした。


 それと同時に、尿道カテーテルも抜いてもらえました。ようやく

リリパット国でガリバーが捕まった時の状態から解放されました。

 6:50には早速ベッドから起き上がって、点滴スタンドを片手

で掴んだままトイレに行きました。お小水は一滴も出ませんでした

が空気が出ました。

 「自由に動けるって素晴らしい。」と思いました。


 13:00に久しぶりに口から食事をしました。睡眠不足でした

のでこの日はずーっと眠かったです。ベッドから起き上がる動作を

しようとするたびにお腹の手術跡がズキッとして、お臍とその周り

の3箇所を切ったことを思い出させられました。身を起こす時は、

まず横向きになってからベッドの下に足を降ろして、手で上半身を

支えながら起きる様にしました。


 手術の2日後の8:00には点滴を外してもらい、晴れて自由の

身になりました。朝食後、9:00にシャワーを浴びて、9:20

に部屋の片付けを行い、家族が迎えに来て無事退院しました。

  

Ⅴ.お わ り に


 手術から3週間後の検査で、手術跡も綺麗に塞がって問題なしと

言われました。切除した胆嚢のポリープは生検に回した結果、良性

で問題はなかったと言われホッとしました。


 現在は手術から8ヶ月程経ち、手術跡の黒かった色も薄れて皮膚

の裏のしこりも無くなり痛みは全くありません。

 この先、また手術を受けることがあるか分かりませんが、その

場合には、手術後に何が待っているのかについて知識と心構えが

身についたので今回ほどの不安や辛さは感じずに済むと思います。


 私の経験がこれから手術を受ける方、受ける可能性のある方の

参考になれば幸いです。

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