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第61話 続けて魔法の査定をしよう

読みに来て頂きありがとうございます。


>地下の実験場で魔法の査定を行った。

「もう一巻、見本を見せるね」


 レインさんが次の巻物を取り出す。


>魔法名:スリップフロア

>内容:どのような床でも滑るようになる。氷では無いので床を濡らさないのが最大の特徴。

>発動条件:床がある事。素材は不問。

>効果時間:即時発動。効果は物体が離れるまで。

>効果範囲:術者による。


 これもイタズラかトラップで使えそう。


「ニコはどう思います?」

「さっきのと同じテイストを感じます」

「そうだね。では、唱えてみますか」



 レインさんが詠唱を始める。十秒ほどかかった。

 数メートル先の床が光った。


「とっさに使うには長いですね」


 先ずは思った事を伝えた。



「そうだね……事前に仕掛けておく感じかな」


 二人で魔法のかかっていると思われる床に近付く。


「見た感じは分からないですね」

「見ても分からないね」


 多分スキルを使えば分かるだろうけれど、今は使わなくてもいいかな。


「そうですね。滑るようにみえません」

「ちょっとだけ足を乗せて……わわっ!」


 レインがツルっと滑った。とっさに僕が支えられたので頭を打たずに済んでよかった。


「ありがとうニコ。命の恩人だよ」

「大げさですよ。でも一度何かが乗っかると効果は消えるんですね」


 『鑑定』を使ったみたら「下級魔法」となっていた。


「使い方次第で便利そうですね。これも下級でもよいと思いますがいかがでしょう?」


「そうかな? ……転ばせたり滑らすだけだよ?」

「重いものを運ぶ時にも使えそうですよ」

「なるほど……運搬には便利だよね。浮遊魔法ほど便利でも凄さも無いから下級にしておこうかな」


 浮遊魔法! 空を飛べる可能性がありそうだ!


 でも、本当に人以外でも物体を滑らせる事が出来るか試してみようかな。


 『スリップフロア』


 レインさんがまた書いている間に先の方に広めに魔法をかけた。僕は詠唱不要だから一瞬でかけられる。とてもありがたいね。


 何か滑らせてみようかな?



「ニコじゃないか!」


 背後から聞き覚えのある大声が響く。


「ロビンさん・・・じゃなくて姉貴!」


 大工のロビンさんがいた。短い赤髪は今日も勢いよく跳ね上がっている。


「久しぶりじゃねーか!」


「お久しぶりで……」


 突進してきた? しかもすごく汚れている!?


 それに驚いた僕は思わずかわしてしまった!……あ、床に魔法が……。


「二ィィコォォォォォォオオオオ!?」


 ロビンさん、両手を広げて抱きつこうとする姿勢のままアイススケートのように滑っていく!


 それにしもてロビンさん、鍛えられているから姿勢が崩れない。体幹が強いのはさすがですね!


 しばらく滑っていくと止まった。良かっ「ドガーンッ!!」……良くない!

 


 爆発!? 違う雷……静電気だ! まだ残っていたんだね……。

 


 ……って、悠長にしている場合じゃない!


 姿勢を戻したまま動かないロビンさんに急いで近寄る。

 数メートル先は石畳が途切れて鉄板敷きになっているのに気が付いた。本当にトラップを仕掛けてしまったようだ。


「姉御、大丈夫ですか!?」


 顔を見ると……笑っている!?


「とっても驚いたぞ! これはすごい罠だな!」

「罠を仕掛けたつもりはなかったのですが……本当に大丈夫ですか?」


 見た感じは大丈夫そうに見える。


「あぁ。靴底が少し溶けてるくらいだな」

「それだけで済むなんてさすが姉御ですよ!」


 感心するしか無い。


「そうだろ? さすがだろ?」


 グイッと近寄って言われても……でも本当にすごい。


 何か分かるかな? スキル『鑑定』


>ロビン:大工の棟梁。姉御肌でとても優しい。呼び名は「姉御」。『ビルダー』と『頑丈』のスキルを持つ(常時発動)


 『ビルダー』と『頑丈』……そのままとは。大工はまさに天職なんだね。


「でも、姉御はどうしてここに? 仕事ですよね?」

「あぁ、壁の点検と修復作業だよ。さっきまでここの更に下に入り込んでいたから滅茶苦茶汚れちまった!」


 静電気?が作業着に付着した埃や油に引火したのかもしれない。燃えなかったって事は耐火性のある魔導具なのかもしれない。とても気になるけれど女性の着衣を『鑑定』するのはさすがに気恥ずかしいから調べないよ!?


「それにしても本当は建てるのが本職なのにここ最近は修理ばかりなんだよなぁ」


 天職に着いていても思った通りには行かないものなんだね。

 僕が言うのもなんだけれどロビンさんも色々なところから依頼を請けているみたいですごいと思う。


「それで僕を見つけて、駆け寄って来てくれたのですね」


「実験場なのに不用意だったと反省しているよ! アッハッハッ!!」


 大笑いしながら言われてもな。嬉しいけれど。


「ニコは手伝いか! 私の手伝いも来てくれよ! それと今度一緒にメシに行くぞ!」

「はい! 絶対に!」


 ロビンさんは僕の頭を撫でて嬉しそうな顔をして去って行った。良かった!



「……良くはないよ。ね? ニコ」


「レイン……さん」


 気付かないうちに背後に立たれていた!?


「魔法を二つ勝手に使ったでしょ?」


「……はい」

「駄目だよね?」

「……はい」

「でも、まぁ、私が気付かないうちに使っていたニコは凄いね。……ってあれ?」


 ギクリ。


「ニコって魔法使えなかったよね?」


 『ニコ』は本当に魔法が使えなかったんだな。


「……はい。でも最近使えるようになった……です」

「じゃあ、今のロビンさんの件、報告しないから後の巻物のチェックをお願いするね。私、他の仕事したいから」


 ……怒られなかった!?


「分かりました!全部やっておきますね!」

「よろしくねー」


 レインさんは手を振りながら去っていった。



 さて、面白い魔法があるといいな!



 ……フラグじゃないよ?

いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。

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