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第60話 魔法の査定をしよう

読みに来て頂きありがとうございます。


>王立魔法研究所からの依頼で書類整理を行い、魔法の査定を手伝う事になった。

「広い……」


 建物の奥にある階段を降りた地下にはコンクリートのような灰色でいくつか壁で仕切られたた広い空間になっていた。そして静かだ。


「他に誰もいないんですね」


「うん。研究者はみんな地上の実験場を使っているから」

「どうして使われないのですか?」

「地上の方が設備が整っているからね」


 ここは一つの空間に大きめの机と椅子があるだけだ。


「上にはくつろげるような設備もあるし」

「地下には無さそうですね」


「そう。だから私達しか使っていないの。何人かは使いにくるけど本当にたまにしか来ないかな?」


 気兼ねしなくてよいって事ですか。


「査定はどうやって決めるのですか?」


 レインさんが一巻を手に取り、広げる。中に紙が挟まれていた。


「一緒についているこの「仕様書」があるので先ず確認。これだと……」


>魔法名:タイニーサンダーボルト

>内容:事前に金属製品に魔法をかけておき、触ると軽度の雷撃を発生させる。

>発動条件:金属が近くにある事。雨の日は効果が減衰。

>効果時間:即時発動。条件により無期限継続。

>効果範囲:術者による。



「……静電気?」


 イタズラにしか使えないような……。


「あの棚にあった巻物は私の方で類似魔法が無いか確認したものなの。とっても時間がかかるので貯まるんだよね……元々仕事遅いのに」


 パソコンが無いのって不便だと改めて思う。


「本当は実際に唱えなくても大丈夫なんだけどね」


「では、上の事務室で仕様書を読むだけでも良いのでは?」


「魔法ってついつい口ずさんじゃう時あるだよね……」


「それで誤発動させてしまうと危険だからですね」


 ヒューマンエラーですか。僕も変わった事が書いてある看板などを読んでしまう癖があるから分かる。


「そう。何度か火事や水浸しになりかけ……なってるし」


 実際に何度かあったんですね!


「万が一を考えたら実験場の方が確かにいいですね」


「で、この静電気……タイニーサンダーボルトの査定ですが……あまり危険を感じないので詠唱してみようかな」


 レインが巻物を持ち、詠唱を始める。


 呪文の内容は神か精霊と思われる固有名詞と何をしたいのかを遠回しなのか丁寧なのかを詩にしたような感じだ。


 僕自身は前世で憶えた名称を唱えるだけで使えていたが本来は呪文を唱えないといけないと分かった。人前では気をつけよう。今更だけど。



 三秒ほどで詠唱が完了すると


 バチッ!


 と、眼の前で光が発生して消えた。

 鉄製品がなければその程度ですよね!


「うん、なんだかね」


 レインさんも微妙そうだ。


「そして査定だけど、ランクは六段階で評価するのだけれど」


 聞いたところはこんな感じだ。


>神話級:国王が査定。(金額は都度決定)

>最上級:宰相及び宮廷魔道士が査定(白金貨一~十枚)

>上級:魔法部門長が査定(大金貨一枚~白金貨一枚)

>中級:管理部門が査定(~大金貨一枚)

>下級:管理部門が査定(~大金貨一枚)

>最下級:管理部門が査定(~小金貨一枚)



 神話級は過去ゼロ。上級から最上級も数年出ていないらしく、ほぼ下級か最下級ばかりのようだ。



「この魔法は面白みも使い道も無さそうなので査定は「最下級」の判断だね」


 レインさんが仕様書にランクを書き込もうとしている。けれど。


「ちょっと待ってください」

 

 僕は閃いた。


「たしかに何も無い場所では使い道も無いですけれど、護身用に使えそうですよ?」


 静電気は一瞬だけど高電圧だから使い方によってはスタンガンのように使えそうだ。それにトラップとして使えるかもしれない。


「護身用ですか。たしかに詠唱時間も短いから有用かもしれないね……でも、迷うなぁ」


 う~ん、と悩んでいる。よっぽど慎重なのか判断力が弱いのかな。


 そうだ。スキル『鑑定』で見たらどう表示されるのだろう。


>巻物:魔法が記された書物。読むと習得可能。内容は静電気を発生させる魔法。術者の能力次第で範囲や威力をを変える事が可能。魔法名は「タイニーサンダーボルト」。下級魔法。


 先ずは巻物として鑑定されてその記述について後から説明されている。魔法名は今、認定?されたから最後に表示されているのかもしれない。そしてランクまで! 女神様が与えてくれたスキルだから正しいと思える。


「レインさん、下級がいいと思いますよ?」


「ニコはそう思う? じゃ、下級にしよう!」


 ニコリと微笑んで仕様書にランクとその理由を書いている。

 以前の『ニコ』は魔法を使えなかったから書き込む作業を僕に任せたいらしい。

 今は使える事を伝えるかは後で検討しよう。


 それにしても、僕も後で読ませてもらおうかな? ……レインさんが仕様書に色々と書いている間に、


 「(ボソリ)タイニーサンダーボルト」


 二十メートル以上先を狙って唱えたらその場数メートルが一瞬、光った。

 僕は名称やどのような効果なのかが分かれば使えるのかもしれない。同じ魔法になのかは分からないけれど。

 ここの床は石畳のようだから静電気も貯まらないだろうからそのままで大丈夫だよね!



 ……石造りの床の先が鉄板敷きに変わっている事を知るのは数分後の事でした。

いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。

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