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第56話 呪いを解いた後の事を聞こう

読みに来て頂きありがとうございます。


>公爵令嬢の呪いを解いた。その後、ニコは魔力を使い果たし倒れた。

「見知らぬ天井……見たこと……あるか」


 気が付くとベッドに寝かされていた。豪華な装飾が施された天井は公爵邸で間違いない。


 目を横に向けると聖女様がいた。


「目を覚ましたようですね」


 僕が目を覚ました事に気が付いて笑顔で言った。


「すいません……僕はどれくらい寝ていたのですか?」


 カーテンは閉められ、ランプの明かりだけなので時間感覚が無い。


「数刻ですよ。思った以上に早く目覚められて驚いています」


 数刻、二~三時間かな?


「聖女様はずっといて頂いたのですか?」

「そこまでずっとではないですが……そうですね。心配でした」

「ありがとうございます!」


 もう身体を起き上がらせそうだった。


「無理はしないでくださいね」

「大丈夫です。多分。もう」


 聖女様が僕の半身を起こしてくれた。


「ありがとうございます。他の方はどうされましたか?」

「まだ、皆さんいますよ。リオンもいます」

「そうですか……では、皆さんのところ、先ずはミリア様の元に行ってもいいですか?」


 本当に大丈夫だったのか心配だ。


「分かりました。行きましょう」


 その前に、と聖女様が頭を下げながら、


「ニコ、ミリア様の呪いからの開放、ありがとうございました。私では到底、出来ませんでした」


「いえ! 僕にたまたま解呪出来る方法があっただけです!」

「その方法に私では辿り着けなかったのですよ。聖女と言われているのに」


 困ったような薄い笑顔されると弱い。


「ニコには神のご加護があるのかもしれませんね」


 ギクリ。でも言って良いものか分からないので、


「よくわからないですが、神様に助けて頂けたように思えます」

「ニコのような純粋で善行を積んだ子ならば有りえますね」


 そんなに良い子ではないですよ……嘘は言っていないけれど。

 でも、誤魔化せたかな。


 そしてゆっくりと立ち上がってみる。問題なし。


「では、皆さんの所に行きましょう!」


 僕が元気に伝えると、


「では、念の為……」


 聖女様は僕の手を取ると「癒やし」をかけてくれた。

 ほんわかと身体が暖かくなる。あれ。これ寝ている間も感じたかも。


「ずっと僕に「癒やし」をかけて頂いていたのでは? ありがとうございました!」

「それくらいしか私には出来ませんから大丈夫ですよ」


 そうですか。聖女様の癒やしは心も暖かくなるものを感じた。魔法との違いを感じる。流石だなぁ。


「では、お連れしますね」


 いつもの応接より広くて豪華な部屋に連れてこられた。


 そこにはミリア様も含めて皆さんが揃っていた。


「皆さん、すいませんでした。僕は無事です!」


 椅子に座っていたミリア様が近づいてきた。走らないで!


「ニコ、ありがとうございました!」


 抱きつかれた。

 公爵夫妻もいるのに! あれ微笑んでいるから大丈夫?……って、


「ミリア様、まだ走ったら危ないですよ! でも、体調はどうですか?問題ないですか?」


 少し身体を軽く離そうとしたけど……離れない!


「はい! ニコのおかげで元気になりました。以前よりも体力が増した気がします!」


 笑顔を向けながら抱きついている。さっきより力を入れているけれど離れない……。



「よかったですね。ではミリア様、離してくださいね? 公爵様ともお話しをしなければならいですし」


 しぶしぶ離してくれた……と思ったのに僕の腕に絡まなくても……。


「公爵様、ベッドを貸して頂いてありがとうございました」


 お礼を伝えると公爵が近寄ってきて頭を下げられた。


「そんな事は当たり前だ。 ニコ、ありがとう!」


 夫人も頭を下げられた。


「ニコ、本当にありがとうございます」


「いえいえ。僕も治してさし上げたいと思っていましたし、何より、無事に治せて良かったと思っています」

「ニコにはどれだけのお礼をすればよいのか分からない!」

「いえいえ、あまり気にされないで大丈夫ですよ!」


 僕も見当がつかないし。


「ニコ、どうやって治したのかね?」


 デムスさんから尋ねられた。どう答えようかな?「


「僕が理解して実行出来ている範囲でよければ」


 皆さんが頷く。


「あの『神輝石』は魔力を吸収して増幅して放出する効果がありました。その上でデムスさんに調合頂いた薬を錬成して魔力の吸収と放出の力の増強と回復と呪いに対しての効能を付加しました」


「ニコ、錬金術師の技能なんて持っていたのか?」


 デムスさん、驚きますよね。僕もですが。


「頑張って身につけました!」


 そう言うしか無い。「頑張ったんだね……」とポツリと誰かが言ったけど、そうなんですよ?


「『神輝石』を介して『回復』と『解呪』の魔法をかけ続けました」

「そして?」

「それだけですよ? 前回までの僕では魔力が足りなかったようです」

「……魔力不足?」

「はい。魔力不足です」


 スキルのレベルアップや「解呪」の有無、おそらく閲覧出来ない数値なども影響しているはずだけれど説明出来ないので言い切る。



「そうか……魔法を使い続けた結果、魔力が枯渇して倒れた、という事か」


 納得してくれたのかな? よかった。


 そしてデムスさんはテーブル上の布の上にあった白い粉? の小さな山を見せてきた。


「これは?」

「『神輝石』が粉々になったんだよ。相当の負荷が一気にかかったのが分かるよ。それなのでニコの説明は納得できる」

「……倒れた時に気が付きませんでした」


 あの硬そうな石が燃え尽きた炭のように見えた。




 アーカムさんが近寄ってきた。


「ニコは誰の呪いなのか分かるのかな?」


 これもどう答えたら良いのか難しい。


「分かりかけています。しかし僕の目で実際に見て確認したいと思っていますのでご報告まで少しだけお時間を頂いてもよいですか?」


「犯人を特定出来そうなのかね?」


 公爵から尋ねられる。静かな声だけれど犯人は見つかり次第、大変な事になると確信できる気を感じる。

 まだ犯人の可能性や場所については僕も予測の範囲なので黙っておこう。


「はい。まだ整理は出来ていないので言葉にし辛いですが……お屋敷は大丈夫です。そしておそらくこの街の中ならば大丈夫だと思っています」

「王都には犯人はいないと思っていると? 王国内の組織か他国の仕業だと?」

「それは不明ですが調べてみます。僕では対応出来ない状況になった場合はご相談させて頂きますね」

「予断は許さぬか……本当に頼んでもよいのか?」

「勿論です! ミリア様の為ですから」


 まだ巻き付いているミリア様に微笑みかける。恥ずかしいのでそろそろ離れて頂いてほしい……。


「そうか。では頼んだ。ニコ」

「はい!」


 そう返事した横から、


「僕もその調査に付き添っていいかな?」


 勇者様?


「お忙しいのでは?」


「忙しいけれどミリア様の為になるのならば大丈夫だよ。僕が一緒なら色々と融通効くしね」


 何か足かせに感じるような? でも、勇者様と一緒は嬉しいような?


「私からもお願いしよう。リオン、頼む」


 公爵様も乗ってきた……。


「わかりました。リオンさん、お願いします!」


 勇者様には色々と聞きたいこともあるし!


「ありがとう。ニコ。僕の我儘を聞いてくれて」

「いえ! その方が僕が助かる事も多そうなので!」


 握手をする。

 歴戦の人なのに手指すら麗しい人だ。



「では、日程の調整や行き先の相談は『まるいひつじ亭』でいいね?」

「はい! 大丈夫です」

「では、決まった事は私にも教えてください。必要な物は準備させて頂きます」


 アーカムさんにも報告する事、と。忘れないようにしよう。


「わかりました! よろしくお願いします」


 公爵様が近寄り僕達の肩に手を置く。


「では、ニコとリオン、よろしく頼むよ」


 僕は元気よく「はい!」と、勇者様はかしこまり「承知致しました」とそれぞれ返した。



「そして……ミリア、そろそろニコから離れなさい!」


 笑顔のまま公爵はミリア様を無理やり引き剥がした。


 人前での淑女らしくない行動が問題らしい。


 ……抱きついている事は問題無いのですね。



 でも、こんなにすぐに元気になってくれるなんて……良かった!

いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。

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