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第34話 魔鉱石を採掘しよう

読みに来て頂きありがとうございます。


>魔鉱石発掘の準備をして街から出た。途中で出会った老人に食事を出してあげた。

 かなり走った。もう追いかけられる事もないだろう。



 「放浪の料理人」のおじいさんに出したシチューはタンシチューだった。


 慌てて用意していたから適当に出してしまったけれど最後に食べようと思っていた取っておきだけに……少しがっかり。


 タンシチューってこの世界に無いのかな? 普通のレシピは何となく覚えているけれど、企業努力の末に作られた味付けは僕には再現不可能だ。

 

 おそらくタンは手に入るだろうから戻ったら作ってみて、ケイトにこの世界に本当に無いのか確認してみよう。


 それにしてもおじいさんの素性を鑑定して名前ぐらい知っておけばよかった。もう会わないと思いたいけれど……もしかしてフラグが立った? でも危害を加えくる人では無いだろうからもし再び会った時には自分のレシピを教えてあげようかな。



 途中、休み休み進みながら夜になると道から少し離れた水場の近くで野宿をした。


 夕飯はカレーライス! ずっと食べたかった!



 翌日は途中で出会った馬車が目的地まで行くと分かり相乗りさせてもらった。馬車に乗るって発想がなかったと今更ながら気付いた。


 歩いた方が早いな、と思う速度だけれど、次第に景色が緑の多い草原から赤茶色い岩山に変わってきた。鉱山ってやはり荒れた地なんだな。


 魔鉱石の採れる坑道の前で馬車は停まった。元々鉱石を運ぶ馬車だったからとお代は不要と馭者の人に言われたので感謝を伝えて降りる。馬車は他の坑道に向かった。


 この坑道はほぼ、取り尽くされたと判断されているので人がほとんどいない。

 入り口に受付がある訳でも無く、お金を入れる箱だけがあったので小金貨1枚を入れる。電車の無人駅より野菜の無人販売所を思い出す。


 魔鉱石のランタンを出して坑道に入る。


 入り口からしばらくは幅がニメートル程あり、高さもある。馬車がそのまま入っていけるようだ。


 ここでスキルを使う。お馴染みの『方向感覚』『索敵』『鑑定』の重ねがけ! 本当に便利だ。


 ……入り口から数十メートル先におそらく魔鉱石がある事を示しているマークが表示されている。


 入り口からまだ近いからか少し明るい道を進む。

 途中にも横に掘った跡があった。『ニコ』だと思う。スキルの反応からもうそこには無いのは分かる。女神様から聞き忘れたけれど『ニコ』も同様のスキルが有ったのだろう。


 ……この辺りだ。


 ツルハシを用意して斜め下方向に掘リ始める。ツルハシなんて使うのは初めてだけど以前から使っていたかのように掘れる。身体は忘れていない、のだろう。


 スコップも使って数メートルほど掘っていくと黒い石が見えてきた。おそらく魔鉱石だ。層になっていなんだ。


 『鑑定』でも間違い無く魔鉱石だった。大きいものは握り拳ほどで、それ以外でも小石程のサイズが多かった。ランタンの魔鉱石が硬貨ほどだからどれも大きい方だろう。

 麻袋に詰めたけれどまだまだ余裕がある。この先数メール下にも反応があったから掘るとまた出てきた。一度に採れる量は少ない、と思うけれどこんなに簡単に採れているのは気のせい、かな。


 それから特に何事も無く、場所を変えながら魔鉱石を採掘する。


 時間がわからないのでたまに外の様子を確認する。


 日が落ちた所で外に出て夕飯を食べた。今日はクラムチャウダーとパン。貝がたくさん入っていて美味しかった!


 今日も野宿をしようと……少し先に建物と明かりが見える。行ってみよう。


 見えていたのは宿泊施設と商店が幾つかあった。採掘場の人達が使うのだろう。でもニコの資料に書いてなかったな。

 野宿も楽しいけれどせっかくなので泊まってみようかな?


 宿は石積みのシンプルで四角い建物だ。場所を考えれば頑丈な方が良いのかもしれない。


 中に入るとカウンターと食堂が見えた。お客は結構いるようで皆、お酒を飲んでいた。


 カウンターにいた店主と思しき男性と目が合ったので近付く。


「ニコじゃないか! 珍しいなウチに来るなんて。いつも外で寝てるのに」


 使っていなかったから記録にないんだね。


「たまには泊まっていきなよ。空き部屋もあるし」



「そうですね。せっかくなので使わせて頂きます」


「ニコ、お前にならおまけしてやる! 先ずは食ってけ!」


「いや、もう食べて「いいからいいから!」……はい。ご馳走になります」


 嫌とは言えないよね……。


 肩を組まれて座らされたテーブルには肉料理とパンが並んだ。ボリュームは普通より多いかも。「あのお店」よりは少ないけどね!


 肉料理は体力を使う現場だからか濃いめの味付けだ。うん。ご飯が合うだろうな。


 それでも完食できたのは不思議な美味しさがあるからだ。


 店主に美味しかったと伝えると、


「ここで採れる岩塩がいい感じの風味を付けてくれるんだ」


「ここで岩塩が採れるんですね!」


「魔鉱石だけじゃここも成り立たないからな。もっとも、岩塩もまだ採り始めたばかりでこれからだけどな」

 

「このお塩は絶対に人気出ますよ! 塩釜焼きとかいいかも」


「塩釜焼き……なんだ?それは」


「肉や魚を塩で包んで焼くんですよ……」

 

 あれ? この世界にない料理だった? もしかして……ま、いいか。普通の料理でしょ。


「塩に卵白を混ぜた方がよいと思います」


「塩に卵白混ぜて包んで焼く……気になるな」


「焼いた後は塩は固くなるので割って中の魚や肉を食べる料理です」


「……コツは?」


「……それだけですかね? 基本は」


「簡単だな」


「簡単……だと思います」


 色々考えている店主から宿泊する部屋を教えてもらい、今日は寝る事にした。



 ……数カ月後に塩釜焼きが名物となり、人気の宿になるとはこの時の僕は思いもよらなかったのでした。

いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。

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