第33話 魔鉱石採掘の準備をしよう
読みに来て頂きありがとうございます。
>薬草を渡し、次の依頼として魔鉱石採掘に行く事にする。
日が昇る前に魔鉱石の採取に向かう。正確には採掘かな?
昨日帰ってから地下室で採掘場所について確認したところ、この国の東の方の地域で魔鉱石が採れるらしい。
改めて魔鉱石ってなんだろう。日常的に色々な所で使われているようだけどエネルギーみたいなものかな?
『ニコ』の資料に「魔鉱石について」と書かれた資料があった。手書きで相当な厚みがある。『ニコ』は本当にすごな。
資料によると……魔鉱石とは魔力が含まれた鉱物で、一般的には魔道具の燃料になる。魔道具は目的に応じた呪文や魔法陣が書かれており、記述通りの動作を行うらしい。その為、魔法が使えない人がほとんどだけれど魔道具のおかげで誰もが便利な生活を送れるようになったようだ、
前世での魔鉱石は充電されたバッテリー、呪文や魔法陣がプログラムみたいな感じかな?……スマホが魔道具に思えてきた。
魔鉱石はスマホのバッテリーと同じく使い続けたり出力を上げると早く消耗するところも似ている。動画とか観ているとあっという間だよね。
基本的に採掘はプロが行うが廃鉱間際の採掘場であればお金を払えば一般でも立ち入って採掘ができるらしい。『ニコ』もよく行っていたみたいだし、今回も行く予定だ。
バックパックにツルハシとスコップ、ハンマーを入れる。
後、食料かな。片道で二日、作業に三日かけたとして少なくとも一週間分、保存がききそうなご飯も用意しよう。食料庫を覗く……あ、レトルト食品! 女神様、甘やかしは厳禁ですって! でも今回は持っていかせて頂きます。カレーもあったから鍋とご飯を持っていかないとね!
準備も万端、ではお休みなさい!
……。
…………。
………………。
……………………楽しみ過ぎて眠れない!
薬草採取の前日はお外で草を摘むんだ程度の気持ちだったから、それほどワクワクしていなかったけれど、長期野宿なんて前世でもした事がないけれどソロキャンプは憧れていたからとても楽しみだ。楽しみ過ぎる!
もう空が白み始めた……うん。もう出かけないとね。起きて出発しよう。
今回は東方面の門に向かう。
「おう、おはようニコ。早えな! 魔鉱石か?」
本当に『ニコ』は顔が広いなぁ。
「おはようございます! はい! そうです」
「きぃつけてな!」
「はい、行ってきます!」
東方面も西と同じで何もない土地が広がっていた。しばらく街道を進むと大きな川が見え、橋も架かっていた。
橋の袂におじいさんが座っていた。疲れて休憩かな? 長旅をしているのか身なりは良いがかなり大きな荷物を横に置いている。
特に困っている訳でもなさそうなので会釈だけして通り過ぎる事にした。のに、
「のう、若いの」
周囲を見る……僕しかいないよね?
「そこの若いの」
「はい。なんでしょうか?」
「食べるものは無いか?」
「お腹、空いているのですか?」
「うむ、後少しで街に着くと思って全て食べてしまったのじゃが、小腹が空いての」
これからの旅を考えると少し悩む。
「少しでいいですか?」
「うむ。街に着けば何とかなる。それと代金は払うから安心しなさい」
「僕はこれからの旅なので……少しでしたら。あ、お代はいいです」
「では、ご馳走になろうかの」
レトルトでいいよね?
道を少し外れると枯れ枝があったので集めて、鍋は川から汲んできた水を入れ、火魔法で火を点ける。ちょっとした事だけど魔法って便利だなぁ。
おじいさんに見えにくいように鍋にこっそりレトルトのビーフシチューを入れて蓋をして煮込む。
煮立った頃にパンを食べてください、と渡す。
おじいさんがパンに目が行っている間に煮立ったシチューをこっそりと木皿に盛っておじいさんに出してあげる。
「……いつ作った?」
「シチューですか? 今ですよ?」
「何も切ったりしていないではないか!?」
「あ、切ってあったんですよ?」
「そ……そうか? 見ていないのだが……色々疑問は残るが」
「ま、食べて下さい!」
疑問を深められる前に食べてもらう!
「……今まで食べたことが無い味付けだな」
「そ、そうですか?」
「これを儂に教えんか? 儂は放浪の料理人なのだがこんな味付けは出会った事がない!」
放浪の料理人!? ロマンあるネーミング! なんかかっこいい!! でも。
「い、いや、もう行かないといけないので……」
レトルトだから教えられないし、使われているのがこの世界にある食材や調味料かも分からない……こっそり片付ける。お皿とスプーンは予備があるいいや。
「では! 失礼します!!」
速攻で逃げる!
「待て!!」って声は無視させてもらいます!!
いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。