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第26話 お仕事をしよう

読みに来て頂きありがとうございます。


>女神と話しをしてある程度の真実を知り、仕事を再開する事にした。

 ニコの仕事を再開しよう!



『まるいひつじ亭』に朝食を兼ねて行ってみよう。



 相変わらずの大盛況。


「ニコ! ここ座って!!」


 ケイトに問答無用で座らされた。見慣れた人達と同席していたので挨拶を交わす。


「で、ニコ、仕事再開するの?」


 ケイトがこっそり聞いてきた。


「うん。何かありそうかな?」


 ケイトは「ちょっと待って!」と言って厨房に向かった。調理場に何かあるのかな?

 待つ間に他の皆さんと話しをする。


 どこも忙しいらしく「猫の手も借りたい」との事……こっちでも同じ慣用句があるんだね。


 そして、ケイトが料理と紙束を持ってきた。


「食べながら読んでね!」


 羊皮紙だから厚みはあるが三十枚近くある。全部依頼書だった。


「ニコへの直接の依頼だから全部渡すけど、出来る案件から進めてくれていいからね!」


 サッと読んでみると本当に多岐に渡っていた。本当に清掃から素材採取、魔獣討伐?まである。本当に魔獣を相手に出来るのだろうか?


 あれ……「お見舞い」? 仕事として依頼してくるとはどうなんだろう。


「それは私からです」


 依頼主は隣に座って黙って僕を見ていた。


「アーカムさん、これは仕事としての依頼ですか?」


「そう。来てほしいから依頼させてもらった。急がないけれど早めに来てくれると有り難いな」


 貴族の訳あり案件! 大丈夫かな? でも信頼は出来る人だと思っている。


「わかりました。早めに伺えるようにしますね」


 全部を読んで優先順位を決めないといけない。


「ありがとう」


 アーカムさんが深々と頭を下げてきた。貴族なのに大丈夫ですか!?


 よくよく見ると隣のデムスさんも目礼をしてきた。共通する知人なのかもしれない。


「頭は下げないでください。僕がお仕事で頂くのですから」


 元から優先順位が高い方からまとめてあったらしい依頼書を手に家に戻る事にした。


 今日、出来る事から進めよう!



 まずは清掃依頼。


 定期的に依頼されているという年配のご夫婦、三軒からそれぞれの家の掃除。


 地下室から清掃道具を持って向かう。


 依頼書に書かれたおおよその地図を参考にスキル「方向感覚」と「索敵」、「鑑定」を重ねて使うとおおよその場所が分かったので迷うことはなかった。

 地図は裏に書いてあったのでケイトが書いてくれたのだと思う。感謝!


 三件とも元々綺麗な家だったのでそれ程手間はかからなかった。

 それなのに家主の方々からは「見違えた!?」とか「前より腕を上げた!?」って言われたけれど、この世界の掃除の仕方は知らないので前世での自分のやり方で掃除をしただけだ。

 その為、どちらかと言えばお茶を飲んで話しをする時間の方が長かったと思う。

 僕からは面白い話しは出来なかったけど、喜んでくれたみたいだから、いいか!



 お昼過ぎからは家の修繕の手伝い。

 僕に出来るのかな?


 現場のお家に行くと背が高く体格の良い女性が立っていた。かなり短い赤毛が跳ね上がっている。

 あ、こっちを睨んでいる!?


「ニコ、遅せぇじゃねぇか!」


「ロビンさん、すいません! 前の依頼に時間がかかって「言い訳不要!」はい!」


 食堂からおおよその時間を伝えてもらったハズだけれど……厳しい人!?


 一応『鑑定』。


 ロビン:大工の棟梁。姉御肌でとても優しい。


 ……大工の棟梁ですか。しかも優しい? そうですか。今は少し怖いですけど!



「じゃ、取り掛かるぞ! 今日は瓦の葺き替えだから気ぃ抜くんじゃないぞ!」


「はい!」


 梯子を登ろうとすると、


「足元気をつけろよ!」


「はい」


「一段一段安全確認しながらな!」


「はい!」


「怖かったら言えよ!」


「大丈夫です!」


「なんだったら背負ってやるぞ!」


「ロビンさん、過保護過ぎます!!」


 風貌と違って本当に優し過ぎます! 風貌と違うって……失礼ですね。



 屋根の上に乗る。

 所々、瓦が割れていた。植木鉢と同じ赤茶色の素焼きだ。


 ロビンさんは割れている瓦の数を数える。


「じゃ、ニコ、少しずつでいいから新しいの運んでくれ。いや、私が運ぶから座って待っていろ」


「仕事を依頼された身なので運びます!」


「じゃ、気を付けるんだぞ……ゆっくりでいいからな」


「はい!」


 そして専用のバッグみたいなものに瓦を入れて十数回ほど往復する。


 ロビンさん、ずっとハラハラした顔でこっちを見てないで仕事してください!



 苦にはならなかったけれど次に同じ仕事があれば、吊り上げる方法を提案しよう。


 それにしても、体が軽く感じる。疲れにくいというか。

 ニコのポテンシャルを感じる。でもまだまだこんなものじゃない、と思えた。


 割れた瓦を抜き取り、新しい瓦を差し込むように組んでいく。何かで固定はしないようだけれどしっかりと組み込まれていった。職人技だと感心。自分も作業したけれど無条件で褒めないでほしい。嬉しいけれど!


 作業は夕方前には終わった。


 ロビンさんから夕飯のお誘いを受けたけれど次があるからとその場でお別れをした。握手した手を中々離されなかったのはちょっと困った……気に入って頂けているのは嬉しいけれど。



 そして今日、最後の仕事。


 城壁警備隊のお手伝い。夕方から数時間だけで良いらしい。    


 これは「大至急!」と書かれていたけれど✕印で消されていた。


 気になったので今日にしたのだけど。



 城壁? 警備? 何かあったような気がする……。

いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。

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