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第17話 色々と着られてみよう?

読みに来て頂きありがとうございます。


>服を買いに服飾屋のコーレルに連れ出された。

「うん! やはり私の見立ては正しかったっ!!」



 あれ? ……なんで僕はメイド服を着ているのだろう!?



 食堂で食べ終わった後、コーレルさんに肩を組まれてそのまま連れ出された。

 いつの間にか僕の食事代も払ってくれていた……払っている姿は見ていないけれど……あ、お付きの人がいたんですね。


 ケイトに「またね~」と手を振りながら送り出されると、お店の前に停められた馬車に載せられるとそのまま街の中心の方に走り出した。


「コーレルさん、僕、普通の服が買いたかったのですけど……街の真ん中に向かっていませんか?」


「あぁ。大丈夫!君の服は僕が選んであげるから!」


 ……逃げられないよね? 値段は覚悟しよう。前世で一番高かったのはスーツだったな。しかも既製品の。

 服にお金がかけた事は無かったので不安しかない。

 しかも貴族様。

 手持ちでは足りないだろうな……



「もうすぐ着くよ!」


 窓の外はとても整備された街並みでお屋敷ばかりになってきた……貴族街だと思う。お城も大きく見えているし。


 整備された街並みの中にも商店が並んでいた。やはり高級店だ。

 興味は湧くけれど嫌な予感しかない!


 スキル「思考加速」を使っても情報が少なすぎてまさに「下手な考え休むに似たり」だった。こんな時に使えるスキルは無いのか?

 

 燃やす!?もう燃やして有耶無耶にする!?


 「さ、着いたよ」


 思考加速をさせながら混乱していると、一軒のお店の前で馬車は停まった。


 シンプルながらも洗練された店構えで正面のガラス扉には「コーレルズ」と書いてあった。間違いなくコーレルさんのお店だ。


 「コーレルさん、僕はごく普通の庶民なんですけど……」


 「あぁ、大丈夫だから。ささ、入りって!」


 両手をバッと広げて「ようこそ」って歓迎されても……本当にこの人との関係が分からないのが歯がゆい。朝の僕の自信に疑問を呈したい。もう遅いけれど。鑑定の能力が低いのがいけないのだろうから帰ったらドリルを頑張ろう!



 そして……お店に連れ込まれると女性の店員さん達に囲まれて着替えさせられた……人に脱がされるのはとても恥ずかしい!


 でも、何とか下着だけは死守した。泣きます!と宣言して何とか勘弁してもらった。そこのお姉さん「見たいかも」って言わないで!



 その結果、何を着させられているか理解できないままにメイド服を着させられていたのだ。本当に。なぜ!?

 

「コーレルさん、どうしてメイド服なんですか!?」


「似合うと思っていたから?」


 疑問形?


「うん、思った通りピッタリ似合っている!」


「……サイズもピッタリなんですど……まさか」


「そう! 君の為に作ったからね!」


 うん。なんかヤバい。


「メイド服だけじゃないからねもあるけど他もあるからね!」


「ごく普通の男物の服を希望します!!」


「それは用意していない」


「あの見えているのはダメですか!?」


 ムキになって高級そうな男物の服を指差す。


「あぁ、あれは国王様の普段着だけど。着る?」


「着ません!! ……あぁ……もう疲れるのでいいです……何でも着ますよ」


「理解があっていいね!」


「理解は無いです……でもなぜ女性の服なんですか? 僕はごく普通の男の子ですけど」


「あぁ、鏡を見せてなかったね」


 店員さんが大きな姿見を持ってきた。


「あ……」


 可愛い女の子がいる……と思った。思ってしまった。


 いつの間に被せられたロングの銀髪にホワイトブリムのメイドさんだ。

 自分とは思えなかった。


 ……じゃ、無くて!


「コーレルさん、どうして女装なんですか?」


「どうしてか、って?」


 コーレルさん……近い。近い! 肩をつかんで覗き込まないで!


「前から思っていたんだよ。背丈は低すぎず高すぎず、筋肉質だけど無駄が無いスレンダーボディ! 何よりも顔立ちが整っている!! だから女性物を着せてみたかったんだよ!!」


 あぁ……そいう趣味の方……。


「勘違いしているようだね!私はただの着道楽で人にも着せて楽しむ趣味さ!」


「……そうなんですね。それで僕に女装ですか」


「そう!私の目に狂いは無かった!!」


 天を仰がないでほしい。


 あれ、今、室内が光った? 晴れているのに雷? まさか、女神様!?


 後が怖いなぁ……。



「メイド服を着せたかったのは本当なのだけど。これ」


 何やら布の袋に包まれた物が店員さんから渡された。


「開けてみて」


 袋からは革の鎧と篭手が出てきた。


 黒に近い茶色の革に細かい模様が入っていて、革の間には金属も挟まれている。何よりも軽い。間違いなく高額だ。



「あの食堂で一緒に食事をしていた時にいつも着けている革鎧の痛みが酷くて買い替えたいって言っていたので、それじゃ、私の店で作ってあげようって事になったんだよね……その直後に君は事故にあったんだよ。記憶も失ったってケイトから聞いていたけど覚えているかな?」


「……すいません。覚えがないです」


「それはしょうがない。かなりの大怪我をしたのだから」


「では、僕がお願いして作って頂いているのでお支払いします!」


「いや、これは快気祝いだからプレゼントするよ」


「頂くには上等過ぎると思うのですが……」


 ありがとう!と受け取るには身の丈を超えている。


「いいんだよ。気持ちだから。また依頼を請けてくれればいいよ」


「……ありがとうございます」


 今は素直に受け取っておこう。


「あぁ、でも少しだけお願いは聞いてもらえるのかな?」


「はい!こんなにいいものを頂いたのに聞かないなんて出来ません!」


 嫌だなんて言えるはずがない。


「では、まだ君の為に作ったドレスがあるから着てもらおうかな!」


 嫌だなんて……言えるはずが……ない……。


 でも、ここまできたら……きたら……うぅ。


「他の人に見せたり話したりしなければ……いいです」


 とても良いものを頂いたし、あと少しならば我慢しよう!


「それなら良かった! 調子に乗って十着も作ったから着てもらいたかったんだ!」


「断っていいですか!?」




 それから数時間、着せ替え人形になった……けど。


「あの時、すぐに既製の革鎧でも渡していれば怪我も最小限だったのかもしれない、ってずっと後悔していたんだ……」


 三着目の着替え中、コーレルさんのつぶやきはとても心に染みました。



 あ、化粧はやめてくださいっ!!

いかがだったでしょうか?少しでも気になって頂けた方はまた来て頂けるととてもうれしいです。

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