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第六話 パーティ結成



○7月3日19:30(+13時間)


 月明かりに照らされながら、下腹部丸出しの男3人が野営の準備を行う。


 3人とも防弾チョッキを着ているため全裸ではない。

 人としての尊厳が辛うじて保たれている状態ではある。

 形容するなら裸チョッキという状態だ。

 男子が女子に求めるコスプレベスト3に入る女の子の裸エプロンと対極をなす存在かもしれない。


 冗談はさておき、なぜ僕が裸チョッキで木の枝をあつめているかというと、岩肌で目覚めた1時間前に話は戻る。


 説明しよう!

 僕、阿川裕二郎はある日、目が覚めると全裸で見知らぬ島?に流れ着いたぜ!

 水を求めて島を徘徊していると、偶然川を発見!


 嬉しさのあまりにすまやかに川にダイブ、周囲の状況なんて確認できる余裕ももちろん無い。ただ本能のままに入水。


 直接川の水を飲み、体を洗いさっぱりしたところ、僕のことをタイチョーと呼ぶ謎の半裸男2人と遭遇!


 銃口を突きつけてきた半裸男2人にとって、僕はタイチョーらしいが、僕からしたら2人は変態銃刀法違反の犯罪者である。


 かくかくシカジカあって、(オトコ)裸一人旅の冒険に仲間に加わって漢裸三人旅になったぜ!


 そうこうしているうちに、ちょうど太陽も落ちたので、このまま野営をする運びとなり、僕はとりあえず火でも着けようと枯れ葉や木の枝を探しているのである。


 2人は僕のことを知ってるっぽいけど、僕は彼らとは20分前に知り合ったばっかりだ。


 彼ら2人について説明しよう。


 先程から一緒に枝葉拾いをしている彼はカジタニくんこと"裸メガネチョッキマン"である。

 特徴的な丸メガネにちょっと脂肪のついたお尻がチャームポイントで、身長は僕よりちょっと低いぐらいの170cmぐらい。

 暗くてよく見えないが色白な童顔な顔が可愛らしい。

 自衛官らしくないSEの新人サラリーマンっぽい顔立ちと体型だが、フネの同僚にこんな子はたくさんいる。


 今、僕が着ている防弾チョッキはカジタニくんから貰ったものだ。

 初めて会った時、彼は防弾チョッキ2枚重ねで着ていたのでその一着をもらった感じだ。


 ちなみにカジタニくんの現在の装備は上からヘルメット、丸メガネ、防弾チョッキ、安全靴を着ている。

 肩からは20式小銃を掲げていて、腰のベルトには9mm拳銃をつけている。


 対して僕の装備は防弾チョッキだけだ。

 先程から裸足で歩き回っている。

 カジタニくんが言うには、ヘルメットと靴は森の中に隠したらしいので明日にでも一緒に取りに行きたいとのことだ。


 是非とも欲しいものだ、特に安全靴があれば森の中を探索しやすい。


 しかしながら、まだ僕には武器を渡せないらしい。もう1人の男、"半裸ハンチョー"はまだ僕のことを懐疑的な目で見ているのだろう。


 まだ、彼から自己紹介を受けていないので彼の名前はわからない。

 当分の間は"半裸ハンチョー"と呼ぶことにする。


 この半裸ハンチョーは中々厳つい男である。

 肩からは3つもの小銃を携えていて、ムキムキの上腕二頭筋が防弾チョッキの横から伸びており、はち切れんばかりの大胸筋が防弾チョッキを圧迫している。

 露わとなっている股間部からは太腿、脹脛と至るまでは丸太のように太くありながらも引き締まっており、目を見張るものがある。年齢は暗くてよく見えないが、30代後半だろう。


 半裸ハンチョーは周りを鋭く観察しながらも、非常に落ち着いているようだが、過去に似たような状況に陥ったことがあるのかもしれない。

 なぜなら、野営の準備もテキパキとしており、僕と裸メガネことカジタニくんにアレコレ指示してスムーズに準備が進んでいる。

 海上自衛官にこんなことできる奴なんていないが、もしかしたら陸自の人なのかもしれない。


 半裸ハンチョーが僕とカジタニ君に呼びかける。

「食事にしましょうか」


 石で組み立てた簡易コンロでどこからか持ってきた缶詰をこれまたどこで拾ってきたか分からない鍋で温める。


 缶詰は中国語ばかりで何書いてるかわからないがとりあえず開けてみる。

 食欲をそそる匂いが缶詰から溢れ出る。

 チマキみたいな混ぜご飯が出てきたので腹にかっこむ。


 かれこれ何十時間も食事をとっていなかったので、すごく美味しく感じる。いつものレーションや缶詰と違い、おいしさに対する探究心が伺える。

 気がついたら全てを食べ切っていた。ちょっと水が欲しくなる味だった。


 半裸ハンチョーが話しかける。

「食事を終わりましょうか。火を消しますね。」


「ご飯を準備してくれてありがとうございます。火を消したら自己紹介しませんか?よくわからないまま一緒に食事をとりましたけど、全然何が起こってるのかわからないんです。」


 僕の問いかけに、僕との会話を戸惑っていた裸ハンチョーが考え込む。

 半裸メガネことカジタニ君が半裸ハンチョーにが僕には聞こえないような小さい声で耳打ちする。


「(班長、この人本当に隊長ですかね?見た目的にはこんな方だった気もするするんですが)」

「(状況的に多分そうだが自己紹介してから確認しよう。何も文句を言わずに一緒に作業とか食事してくれたから害はないはず)」


 僕を除け者にして喋るのは寂しいのでやめて欲しい。

 普通に話してる内容聞こえてるし。


 半裸ハンチョーが僕の目を見て聞いてくる。

「私は番場と申します。隣で一緒に作業をしていた彼は梶谷です。

お名前を教えてもらっても良いですか?」


「あ、はい、阿川って言います。よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくお願いします。アガワ様ですね。梶谷は心当たりあるか?」


 裸メガネことカジタニと呼ばれた彼が目を細めながらこちらを見つめてくる。

「名前覚えてます!この人、最近ウチのフネに乗ってきた新人幹部です。水雷士の阿川3尉ですよ!」


「あ、はい、私の自己紹介がまだでしたね。護衛艦「あさひ」で水雷士を拝命しております、3等海尉、阿川裕二郎と申します。お二人も「あさひ」の方ですか?」


 半裸ハンチョーが答える。

「私は「あさひ」で衛生員長をしている番場1曹で今回の立入検査隊の第1班の班長です。」


 半裸ハンチョーことバンバさんは本当に役職も班長だった…まぁカジタニくんからも班長って呼ばれてたし。

 しかし、何かを勘違いしている気がする。


 半裸メガネも話してくれる

「私は3曹の通信員です。普段はネットワーク員なんですけど、タチケンでは第1班所属です。」


 そう、立入検査隊、通称タチケン。


 「あさひ」において自分はタチケンに編成されてないし、ましてや隊長と呼ばれる筋合いはない。


 立入検査隊の訓練もしたことなければ、検査隊がフネにいることすらも知らない。


 「あさひ」に乗って数ヶ月しか経っていないので、彼らの顔も覚えていない。同じ所属科の水雷員の何人かや上司の砲雷長なら覚えているが、彼ら2人は記憶にない。


 共通の知り合いがいるか確認しよう。

「お二人とも同じあさひの乗員なんですね。砲雷長の鈴木3佐とかわかりますか?」


「あの厳ついハゲの方ですよね。いっつも艦橋でサングラスをかけてる雰囲気だけは怖い人。」

カジタニくんが答える。


「そうですそうです。僕、あの人と同じ2段ベットなんですけど、めっちゃイビキうるさいんすっよ。上司なんで言えないんですけど。」


「へーそうなんですね…」

 興味なさそうにカジタニ君が答える。


 とりあえず共通の知り合いがいて一安心。


 というか、なんで(フネ)の同僚と名乗るよくわからん人間とよくわからん南国の島で一緒によくわからん意味不明な缶詰を一心不乱に食事をとっていたかが謎すぎる。


 もうちょっと質問をしてみるしかない。

「あのーちょっと僕、記憶が飛んでましてイマイチ状況を飲みけめていないんですけど、ここってどこだかわかります?」


「残念ながら、私たちも記憶が曖昧でして、おそらくここが沖縄列島のどこかにいると推測しています。」


 バンバさんが険しそうな顔をしながら苦笑する。


ーーーー


 バンバさんとカジタニくんの話をまとめるとこうだ。


 今から2日前の夜に緊急出港で佐世保の港を出発。


 立入検査部署が発動し、阿川3尉(僕)を指揮官に我々3人が不審船に乗船。


 他の隊員がどうなったか分からないが、とりあえず船橋に向かったところ、なぜか銃撃戦が開始。


 死体の山を築き上げながらも3人とも無事生き残り、無人の島に上陸。


 船倉から拝借した食料で食い繋いだらしい。


 問題はこの食糧に薬物が入っていたらしく、記憶を3人とも一時的に喪失。


 それで今に至ると。


ーーーー


 あまりにも突拍子すぎて思考が拒否している。

 馬鹿げている話だし、何より人殺しをしたとは到底信じたくない。


「全然実感湧かないんですけど、本当ですか?」


 半裸メガネのカジタニくんが大きく頷く。


「お二人とも凄かったですからね!何人にも銃を向けられながらもバタバタと敵を倒していく様は、映画に出てくる凄腕軍人も唸るほどでしたよ!」


 興奮した目つきで不審船での状況を説明してくれるが、一切記憶にない。

 なんなら銃で撃ったなんて人生で一回しかない。


「本当にそんなことがあったんですか?僕とバンバさんで銃を撃ちまくってたとか?」


 バンバさんが目を閉じながら思慮深い顔で答える。


「梶谷海曹の言っていることが本当かどうかはわかりませんが、そうなのかも知れません。にわかには信じ難いですが…。」


 自己紹介と状況の整理ができたところで、燻っていた焚き火の残り火も消え、辺りも段々と暗くなってくる。


 疑問と謎がさらに増えて頭が混乱しているが、そろそろ寝なければという気分になってくる。


「そろそろ寝る準備しませんか?もう、だいぶ暗くなりましたし。」


 バンバさんとカジタニくんに聞いてみる。


「いえ、ここはもう阿川3尉は幹部ですし、我々の隊長ですので指示命令をお願いします」


「あっ、はい。そうですね…私が隊長なんですね。とりあえず3時間おきにワッチ組んで寝ましょう。最初は私が見ときますんで休んでおいてください。」


「了解」「了解しました」


 バンバさんが思い出したかのように銃を僕に渡す。


「そうでした、隊長には装備品を渡さないといけませんでした。」


 そう言いながらバンバさんが持ってる小銃と拳銃を僕にくれた。


「とりあえず隊長には20式と拳銃をお返しします。使い方とかは大丈夫ですよね?」


「幹部候補生学校で1回撃っただけです。」


「そんなわけ絶対ないですよ!阿川隊長も番場班長と同じ雰囲気がしますって!」


 カジタニ君がやや興奮気味に食いついてくる。


 僕とバンバさんと同じ雰囲気と言われても全くピンとこない。

 なんならバンバさんの雰囲気とは一体何なのかも分からない。


「基本撃つ機会なんてないですし、こんな南国じゃ熊も出ないんで気楽に持つだけ持っといてください。恐らくこれが阿川3尉の銃です。」


 そう言いながらバンバさんは彼の肩にかけている小銃と拳銃を僕に渡す。


「一応、軽く整備はしたんですけど、海水に浸かったかもしれないので使いづらいかもしれません。」


 渡された銃を軽く確認する。

 可動部もちゃんと動くし多分大丈夫だと思いたい。


「ありがとうございます。とりあえずバンバさんとカジタニくんの2人はちゃっちゃと寝て次のワッチに備えてください。」


「失礼します。先に寝させてもらいます。なんかあったら私を起こしてください。梶谷海曹よりかは強いはずです。」


 バンバ班長の心強い言葉に了解を返す。


「では、阿川隊長は23時45分頃には私を起こしていただけますか?班長は3時前に起こしますね。」


 カジタニ君からの連絡に了解を返す。


 カジタニ君は腕時計のアラームを設定して睡眠の準備を始める。


 今の僕には腕時計もないので、どこかで確保したい。明日以降だな。


 僕たち3人は今日の寝床を整えるため川辺の砂浜を整地し、2人は防弾チョッキを掛け布団にして寝る体勢に入る。


 自分自身が眠たいと思ってたのに今できたばかりの部下を先に寝させてしまったことにちょっと後悔しつつ銃を担ぐ。


 焚き火の残り火も消え、あたりは星の光で照らされている。


ーーーーー

装備品一覧


◯阿川隊長

防弾チョッキ、裸足、ドッグタグ、小銃、拳銃


◯番場班長

ヘルメット、防弾チョッキ、安全靴、小銃、拳銃、腕時計、食糧数日分、空瓶に入った水数本


◯梶谷3曹

ヘルメット、防弾チョッキ、安全靴、小銃、拳銃、メガネ、腕時計


※みんなフル◯ンです

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