其ノ弐拾 再びセントラルへ
本当に、更新ペースが遅くて、申し訳ないです……。
「ところでエリス。これからどうするの?」
アヴィーの問いにエリスは俯いて少し考え、すぐに口を開いた。
「もう一度、セントラルへ行きます」
「そう。それは?」
「――気になる人物が、一人いるからです」
エリスの言葉に、少々レネが眉を顰める。アヴィーは小さく首を傾げた。
「その気になる人物とは?」
「一人……いや、一匹の、エルフです。師匠は、セントラルに現れるというエルフの話を、聞いたことはありませんか?」
「…………。もしかしたらそれは“セレネ”というエルフかもしれない」
「セレネ――?」
エリスは師匠の口から出た名を繰り返し、呟いた。
「そう。普通全く関係性のない人間と妖魔の争いに、エルフが首を突っ込むようなことはしないわ。それなのに、そのセレネというエルフは、主にセントラルで妖魔の狩りをしているらしいの」
エリスはアヴィーの言葉に、礼を言った。そして、
「でもエリス――。あまりそのエルフとは、関わらない方が良いかもしれないわよ……?」
そんなアヴィーの言葉に、首を傾げる。
「何故ですか?」
「……いえ。やっぱりいいの。それより、何故そのエルフの興味を持ったの?」
「我は……死にかけたときに、そのエルフに助けてもらいました。そして、我の前から消える瞬間に、エルフは笑いました。助けてくれた理由と、微笑みの意味を聞きたい」
「――そう。助けてくれたの。……それなら、大丈夫でしょ」
アヴィーの答えに、エリスはレネを振り返った。
「レネ。我はセントラルへ行く。汝はどうする?」
「私も、行く。エリスさんに付いて行く」
レネは力強きながら、そう言った。
セントラルへエリスとレネが旅立った、二日後の夜……。
厚い雲が空をおおい、月明かりを遮断していた。
闇の世界の中、荒い息と共に走る者が一人。
「くそっ。ハァ、ハァ、ハァ……。一体、奴が何処にいるのかも分からねぇ」
悪態を吐くのは、男の妖魔。
「どうする……。奴は上から弓矢でねらっ――!!」
その妖魔が、焦り気味の言葉を発しきらない間に、
ドサッ
「く、そ……がっ……!」
腹を白銀の矢が射抜いていた。そのまま男は、地面に倒れる。口からは言葉と共に血があふれ、地面に赤黒い染みを付けて行く。
「何で……あん、な……」
それが、男の最後の言葉となった。
濁った色の瞳をうっすらと開いたまま、男は息絶えた。
そして、
「――……死に絶えたようですね」
弓を可憐な体勢で構えたままの、一匹のエルフが呟いた。エルフは今、セメントでできた高い建物の屋上に立っている。
「今日も上々のようですね。では、狩りを続けるとしましょう」
エルフは独り言にしては長い言葉を発すると、ゆっくりと体勢を直す。
そして、
「――の前に、接客をしなければならないようですね」
ふっと、その漆黒の長髪をなびかせながら振り返った。エルフのため、身のこなし一つ一つがどれも美しい。エルフが振り返った数メートル先。そこに、
「汝、“セレネ”だな?」
妖魔――エリスが立っていた。
「これはこれは、エリスさんですね。私はあなたを待っていましたよ。――ずっと、ずっと」
妖艶な笑みを意味あり気にエルフ――セレネは浮かべた。そして、
「貴方を狩るために――」
言葉一つ一つを噛み締めるように、ゆっくりとそう言った……。
さて、やっとエルフを出せました。
アニメとか小説とかマンガとかでいうと、ここから第二期的なものになるのでしょうが、
もうすぐ終わります。はい。
えっと…………もう、十数話程度で終わりますね。
あ、十話も行かないかもしれませんが……。