其ノ壱 妖魔狩り
ここから、流血アリ。グロテスクな表現を含みます。
苦手な方は、お気を付け願います。
ザシュッ。
一人、いや一匹、煌く刃が妖魔をとらえ、横薙ぎにする。
ドスッ。グジャッ。
さらに一匹、刃が身体にささり、声を出す間もなく横に倒れた。刃は妖魔に刺さったまま捻られ、ズッと抜かれる。
「ひっ・・・・・・!お、おおおおおお前、何故仲間を、殺す」
最後に残った若い男の妖魔が、顔面蒼白で言う。妖魔は一見、人間と同じ見た目を持っている。しかし、その瞳は人間のそれと違って、とても鋭く、身体を射抜くような光を宿しているのだ。
「我は、汝等に仲間呼ばわりなど、されたくない」
妖魔を狩る女性は鋭い瞳で言い、その刃を振るった。
男の妖魔は、脳天から下へ真っ二つに切られる。鮮血が大量に飛び散り、女性は全身血まみれになった。その漆黒の長髪も、白い頬も、服も。血でどす黒く染まった日本刀に似た、細身の刀の先からは、血が滴り落ちている。刀は月の光に反射し、鈍く輝く。
「これで今日は、十五匹―――」
女性は自慢するでもなく、自嘲するでもなく、悲しむ風でも苦しむ風でもなく、今日狩った妖魔の数を言った。無表情で、自分に言い聞かせるようにして。
女性が立っているのは、ある石造りの町の路地。ほの暗い路地から血まみれの女性は出、大通りに立つ。そして、
すっとその鋭い眼差しを、反対側にある少し離れた路地の入口へと移した。すると、
「あ・・・・・・。あぁあぁぁぁぁぁ―――――!!」
断末魔の叫びが響く。
絶叫が聞こえた路地から出てきたのは、一人の人間の男性だった。顔の半分がえぐり取られ、無くなっている。
「あ・・・・・・あ、あ・・・・・・」
男はフラフラと大通りに出て歩く。その首では、『妖魔狩り』の証である首飾りが揺れていた。男は必死にえぐられた部分を両手で押さえ、出血を止めようとしていた。
しかし、それは無駄な行為である。
そして、
ズパッ。
男へ近付いた女性が、その男の頭を切り落とした。男の顔は、苦悶の表情を浮かべたまま、石畳の上へ転がる。頭を押さえていた手も、頭と共に切られた。
女性はこれ以上、男が苦しみながら死なぬよう、頭を切り落としたのであった。
「汝が次に生を受けし時、長く平穏に生きられることを願わん―――」
女性がそういった刹那、男の頭のなくなった身体は、首から噴水のように血をまき散らしながら倒れた。
キッと女性は路地をその瞳で睨みつける。その顔には、獰猛で怒りを含んだ表情を浮かべていた。
「出テ来イ。妖魔ヨ」
女性は人間のものとは思えぬ低く、殺気立つ声で言う。
すると、
シュンッ!
路地から恐ろしいほどのスピードで、何者かが飛び出して来、女性に襲いかかった。
その瞬間、女性の持つ刀が閃き、そして、
多量の鮮血を舞わせながら、何者かは切り刻まれていた。
血をもろに受けた女性は、当然血に染まる。
切り刻まれた妖魔の肉片は、地に降り注ぎ、もはや原型をとどめていなかった。元が男だったのか、女だったのかさえも分らない。
「―――――十六匹」
女性は血の雨を受けながら呟いた。ヒュッと、血でぐっしょり汚れた刀を軽く宙で振る。刀からは、女性の切り殺した妖魔の血が僅かに飛び、地に赤黒い跡を付けていった。
・・・・・・グロいッッ!!
私が思っていた以上に、グロい作品になってしまいました・・・・・・。苦手な方は、ご免なさい。
しかし、私は意外と平気なタイプです。現実では、血を見ただけで気分が悪くなって、気が抜けるくらいなのですが。本は何故か大丈夫なんですよね〜。逆に、私が今まで面白いと思った本は、グロいくらいですし。
例:「キノの旅」「ダレン・シャン」「デモナータ」「ドラゴンラージャ(は、グロかったっけ?)」
など。私は主にファンタジーとか、SFが好きなタイプです。
無駄話しばかりで、ごめんなさいね・・・・・・。