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妖魔狩り  作者: 望月満
15/22

其ノ壱拾四 死する時



最近スランプなので、

更新が不定期になっております。

ご了承願います。




 エリスは、レネの背を見、目を細めた。そして、キッと妖魔を見ると、

「汝、レネニ何ヲシタ?」

 低く唸りながら言った。

「背中を少し焼いただけじゃない。クスクスッ。あぁ、今でも思い出すだけでゾクゾクするわ。この子の悲鳴!」

 キャハハハハッと妖魔は笑いだす。妖魔は、赤髪に灰色の目を持ち、黒いローブを着ていた。見た目は十代半ばごろの少女である。

「さぁてと。あなたの悲鳴も聞いてみたいものね。裏切り者の、

シユネさん」

「!」

 笑い声を上げながら、少女はそう言い、エリスは目を大きく見開いた。

「汝――――、何故、その名を……」

「教えてほしい?気になるわよねー。あはっ。じゃ、教えてあげても良いけど、どーなっても知らな――――」

「良いから、教えろ!」

 エリスが怒鳴り、少女は「ハイハイ」と手を振る。

「フフッ。じゃ、話してあげる」

 その口調が、エリスには気に食わなかったが、何故この見ず知らずの少女が、母から呼ばれていた自分の名を知っているのか、気になった。

「あなたの母を殺した女性『アテ』はね、私に戦いの云々を教え込んでくれた師匠なのよ」

「ア……テ」

 エリスは、その名に心当たりがあり、眉を寄せた。

「クスクスッ。聞き覚えがあるみたいね。そう、アテは、

あなたの母親ヘラの親友だったのよ」

「親友、だと……?」


 エリスは絶句し、そんなエリスの反応を見て、ニヤニヤと少女は笑っていた。

「だから、私の師であるアテさんは、あなたの小さい頃も知っているし、本名も知っている。その弟子の私があなたの本名を知っていてもおかしくないでしょ? あなたの母親は、親友に殺された。ま、あなたの母親が悪かっただけ――――」


「母は悪くない!」


 エリスは絶叫すると抜刀し、

「はあぁぁぁぁっ!」

 少女に走り寄りながら、切りかかるために刀を振り上げた。

しかし、

ニィッと少女は笑うと、エリスの刀をその右腕で受け止めたのだ。

キイィィ――――ン!

堅いもの同士がぶつかる音が周りに響く。

「!」

 エリスは驚き、後ろに跳んで少女との間合いをあけた。

「ザンネ〜ン。私をナメてもらっちゃ困るからね」

 少女はそう言うと、スッとローブの裾をたくし上げる。

少女の腕には、鎧で使うような、頑強な鉄のプレートが付けられていたのだ。

「一筋縄ではいかぬということか」

 フフッと少女は笑い、エリスは静かに少女を睨む。

「今度は私から行かせてもらうよっ!」

 少女はそう言うや、パチンッと指を鳴らした。

刹那、エリスの立っている場所で炎の手があがった。

が、瞬時にエリスは反応し、炎を避けていた。炎に当たったワンピースの裾が燃え、焦げる。そのままエリスは少女の方へ駆け、刀を振り上げた。少女はあっさりと刀を右手で受け止めると、エリスに顔を寄せた。

「憎い妖魔の弟子と戦う気分はどう?シユネさん」

「だまれ!」

 エリスは刀をはじくと、丁度少女の首辺りで、横薙(よこな)ぎにした。が、少女はしゃがんでそれを避けると、

「はぁっ!」

 気迫と共に、上を通り過ぎるエリスの腕めがけて、拳を繰り出した。素早くエリスは手を引っ込めようとしたが、

「!」

 

カラーンッ!


間に合わず、刀を握っている部分を思いきり殴られてしまった。腕を殴られていれば、間違いなく骨折だっただろう。しかし、握り部分を殴られたため、その痛みに刀を取り落としてしまった。

「あはっ。バカね」

 少女はそう言うと、エリスの鳩尾(みぞおち)に蹴りを入れた。

「がっ!」

 変な声を上げ、エリスは後ろに立っていた建物まで吹っ飛んだ。そのまま壁にぶつかり、ガクッと膝を落とす。

「ふっ。ふははははははっ!無様ね、ボロボロじゃない」

「くっ……!」

「最後にこの耳で、よぉくあなたの悲鳴を聞いてあげるわ。サヨウナラ」

 少女は言い、スッとその右手を掲げた。すると、その手にだんだんと大きな炎の塊ができ、

「これで終わりだあぁぁぁぁ――――!!」

 少女の手からそれは放たれた。

ビュンッ!

炎は風を鋭く切り裂きながら、エリスへと向かい、そして、


ドスッ



「うわあぁぁぁ――――!!」





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