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第10話 天川亭2

天川亭での話の続きです。始めは8000字あったので二つに分けましたが、もう少し推敲すれば一つで済みそうです(笑)


そう言えばこれまでの物を含めて全て行明けしました!


読みやすくなると嬉しいです!

「で、この限定称号と聖稜館になんの関係性があるんだ?」


 一段落して席に着くと俺はルナに訊き直した。


 俺の目的は聖稜館へ行くことなのだから。手がかりは多い方がいい。


「ボクは将棋が指せないんだ」


 唐突にルナが言った。


 その笑顔は砂糖菓子の様に甘く、簡単に崩れそうだった。


「……で、それがどうした?」


「聞かないんだね」


「別に興味無いからな。話したいなら聞くが」


「ううん、ありがとう。それでね、このメールを受け取った日なんだけど、WSCにログインしていたら、何の脈絡もなくこの限定称号を獲得したんだ」


「同じです。お姉さまに呼ばれてログインして、適当に歩いていたら私も急に限定称号を獲得しました」


 なるほど。将棋すら関係なく取得条件不明の限定称号か。


 事前情報が無ければその歩いた場所が怪しいが、メールが届いた当日という話と俺が獲得したタイミングを考えればこの関連性は間違いない。


 具体的な場所はおいおい聞いて行くとして。


「他に限定称号を持っている人はいないのか?」


 うーん。とミツキとルナが首を傾ける。


 二人同時というよりもミツキがルナを真似ている感じが微笑ましい。


「結構な人数知ってるよ。それに限定称号にも結構種類があって攻略サイトに取得条件がネットで公開されてるのもあるけど……」


「けど?」


「誰も取得できませんでした」


「故に限定、か」


 それにしても手がかりが少ないな。


 現状、これが最も手がかりとして有用かもしれない。


 俺は金色の指輪を眺めつつ思考を進める。


「そういえば、限定称号と普通の称号の違いは何だ?人数制限だけか?」


「そうだね……。賭けでは称号で唯一Aランク扱いになるのと、オリジナルのアイテムが手に入るくらいかな。ただ、マサのダアトみたいに一部のアイテムには能力が付いてるよ」


「能力か。対局中に持ち駒を増やせるとかは?」


「それは能力ではなくただのチートですね」


 俺が一昔前に流行った動画サイトで有名な同一人物同士の編集動画を思い出していたが、呆れ顔のミツキに一蹴された。


「それに運営側が将棋のルールには絶対不干渉って正式発表していたはずだよ」


 ルナの補足で限定称号の効果範囲についてはほぼ確定だな。


 それにしても透明化、なんてこの将棋の世界でどう使うのか……。


 いや、別にWSCには長居するつもりもないのでその点は構わない。それよりもどうやって聖稜館へ行くかが問題だ。普通に無条件で行けるものと思っていた。


 さて、どうやって聖稜館を見つけるか。


 選択肢は大きく二つ。自分で探すか、人に探させるか。


 これは都市伝説的な扱いをされている以上、自分で探すべきだろう。ルナ達に任せるのも手だが、ハッキリ言って心もとない。


 次に自分で探すことを前提としてどう行動する?二人が称号を得た状況については追々訊くとして、方針を思考するが手がかりが少なすぎるな。


 そこでふと雑談している目の前の姉妹に気付く。


 この二人はどうしているのだろうか。


 分からないときは過去や他人の前例をなぞるのは有効な手段だ。


「二人はどうやって聖稜館を探していたんだ?」


「ボク達は基本的に情報収集かな」


「そうですね。後はたまにダンジョンに潜って自分たちで探す感じでしょうか」


 ルナの返事にミツキが付け足す。


 ……何かこの世界に似つかわしくない単語が聞えたが、今は無視しよう。


「他に何か案は無いか?」


「あるよ!」


 ルナの想像以上の食いつきに若干引く。


 飢えたライオンに肉を渡してしまったようだ。もう少し某マスターみたくクールに言って欲しい。


 俺の内心を無視して話しが進んでいく。


「ボク達はマサにこれを提案するために来たんだよ」


「そうです。あなたのせいで完全に忘れていました……。お姉さまがこれだから私がしっかりしないといけないのに」


 ミツキの呟きを敢えてか無視したルナがワザとらしく咳払いする。


「称号集めなんてどうかな」


 称号集め……。普通の称号ではないだろう。


「限定称号を集めるのか?」


「うん。ボク達の称号が聖稜館に関係があるなら、もっと集めれば手がかりが得られると思ったんだ」


 道理ではあるか。


「とはいえ、限定称号はそう簡単に手に入らないんだろ?心当たりはあるのか?」


「ええっと……」


 ここで言葉に詰まったルナがミツキに視線を向ける。


 それによってミツキが得意げに話し始めた。


「運営側が公開している限定称号についての情報は三つあります。二つは末にお伝えした通り一人しか獲得できないということと、一度装備したらメイン称号からは外せないこと。サブは交換自由なので他の称号はそこで使えるようですね。そして重要なのが三つ目」


 そこで一度テーブルの上のカップに口をつけてから言った。


「限定称号はWSCの意思、アマテラスによって生み出されるそうです」


「……そういうことか」


 近年のVRゲームでは異常なまでの情報処理が必要になる。それを可能にしたのがAI《人工知能》だ。最近の電子機器にはほぼ全てAIが組み込まれておりゲームの運営も例外ではない。そしてWSCの運営AIの名称はアマテラスというらしい。


 限定称号はそのアマテラスが作ったと。それなら一人しか獲得できないという非効率なシステムにも納得できる。


 俺の理解を確認して、ミツキが続きを話し始めた。


「今のところ限定称号の獲得パターンは多岐に及びます。大会に優勝したり、NPCを助けたり、WSCでカレーを再現したり。まあ何でもありです。ただ、限定称号を二つ獲得したプレイヤーもいるので既に持っているからと言って入手できないということはないことは分かっています」


 ですよね?というようにルナに視線を返した。


 ルナがなぜか気まずそうに頷く。


 まあ大体の方針は決まったな。


 聖稜館へ行くために情報収集と称号集め。限定称号を集めて共通項から聖稜館の手がかりを探る、か。


 悪くはないが時間がかかりそうだ。




 それから具体案を詰めるために俺達は相談を始めたのだった。


次は幕間の予定です。


今週中に更新したいという願望がありますが推敲次第ですね!


評価、感想お待ちしています。



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