見えない力
目が覚めた。恐る恐る時計を見ると9時をまわってる。
「まだ、間に合う!」
あんまり頭が回らない。取り敢えず顔を洗って着替えて。はぁー、朝飯食えねぇな。ほらやっぱりフラグ回収しちまった。
最初に気が付いたのは8年前。俺が小学1年生のころだ。おそらくそれより前からあったのだろう。けれど疑念を持ったのは1年生の頃だった。ある日、学校に行く日の朝。母さんと他愛もない会話をしていた。
「母さん、今日の夜ご飯なに?」
「んー、何が良い?」
「えっとー、ハンバーグ」
「そっかー、じゃあ買い出しに行っとくよ」
こんな何処の親子でも交わすような。会話をしていた。
「気を付けてね、事故とかに巻き込まれたりしないでね」
「えっ、うん、わかった気を付けるよ泉も気を付けてね」
「うん、行ってきまーす。」
これ以来母を見ることはなかった。
母はスーパーの近くで交通事故にあって死んだ。
全部俺のせいだった。学校にも行かなくなり家に塞ぎ込んだ。後悔した。もっと早く気が付くべきだった。気付く余地はたくさんあったのだ。自分の無能さを呪った。
あれから、色々考えてわかったことがあった。
1つ、俺はなぜか自分の回りで起こるフラグを回収してしまう体質であること。
2つ、回収するフラグは種類など関係なくランダムで起きること?少なくとも今は規則性があるようには見えない。まあ俺が不幸なせいか、いつも嫌な目にあうけど。
3つ、フラグと思われることを発言するだけじゃなく、考えることだけで回収対象になること。これに関しては防ぎようがない。
はぁーーー。ほんと、なんだこれ?