プロローグのようなもの
初心者のお試し書きで描写の精度や文章の書き方がまだまだふわふわなので、これ書きながら自分なりの表現を固めていこうと思ってます。別のシコい小説を書こうと思ったけど描写力足りなくて、作った世界観設定をもったいなくて流用してます。自信がついたらそっちも書きたいし、浮気しながらのんびり投稿です。是非よろしくお願いします。これ以降前書きは前話のあらすじ(の予定)です。
彼とは幼い頃からずっと一緒だった。
彼は私にないものを持っていて、私は彼の足りないところを補えるているんだと自負していた。
彼は産まれる前から王となる身であり、僕は産まれる前から臣下であり、未来永劫彼に仕え続けるんだと、そう信じていた。
彼は賢明な王となり、僕は篤実な臣下となる。二人の間に衝突はあれど離別はなく、すぐには無理でも時間をかければいつかは彼は僕の諌言に耳を傾けてくれると信じていた。そう信じていたのに…
ひやりとした風を頬に受けて、深く沈み込んだ思考が現実へと引き戻される。見える景色が思い出の地から国境近くの寒村の酒場の前の階段にへたり込んでいる今に切り替わる。寒さでハッキリと覚醒し、澄んだ空気のおかげか虚空のような空の奥の奥まで見通せるような気分の中でさっきまでの自分を思い出すと、自分の中に澱のように溜まった言葉をなぞる途中で一人称が僕に変わっていたことにふと気づく。普段なら絶対にやらないミス、やはり頭が冴えてるなんてただの勘違い。どうにも酔っ払って頭が回っていないらしい。一体いつから一人称を「私」に変えたのだったかな、学生時代はたしか「僕」だったはずだから宮殿へ出仕し始めてからか。彼に敬語を使い始めたのもその頃だ。よそよそしく話す私にずっとニヤついていた彼の顔が目に浮かぶ………っと、気づいたらまた彼の話。まるで恋する乙女のようじゃないか、そう自嘲して頬を歪める。あの事件から3週間、ずっとこの調子。自分の中にある彼の存在の大きさを切実に、痛切に感じさせる大切な痛みだ。こんな痛み忘れたいとも忘れたくないとも思う。今思えば彼がこれまでの人生の全てであり、忘れてしまった時に自分がどうなっているのか、その見通しが立たないことが恐ろしくてたまらない。恐怖に勝てないままずっと思い返してはダメージをもらいながら、忘れていないことへの安堵も感じる毎日を過ごしている。またずぶすぶと記憶に溺れて…
「おい貴族の兄ちゃんよう。そろそろ宿に戻らないと風邪ひくぜ」
ギイと開いた扉から人のいい店主の顔が覗いていて、これは良い機会だと私は立ち上がり、宿への帰路に着く前にもう一度だけ空を、新月の、ひと月で1番綺麗な星空を見上げ、心の中で戦地に赴いているはずの彼に問掛ける。
「君はいまどうしてるんだい?」
読んで頂きありがとうございます。読んで頂くと分かるんですけど、まだ皇太子と青年の関係性以外ほとんど決まっておりません。作者が世界史の民なのでわかる人にはわかる戦史の描写、外交、国名など使っていけたらなと思っております。ちなみに作者はビスマルクの変態外交が大好きです。次話以降あとがきは作者の雑談と次回予告なので読み飛ばして頂いて構いません。
【次回予告】主人公と皇太子の過去話です。1話で済ますつもりだけど、長くなったら分割投稿かな。
※10回ぐらい確認したけど不安なので、日本語おかしいところや誤字脱字指摘があると助かります。感想は作者が喜んで投稿スピードがあがる(はず)