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しかし今、私を突き動かそうとしている欲望は何やらもっと単純な肉欲そのもので、ただ彼女を抱き、征服し、快楽を得たいというものだった。
私は自分の今までの行動に誇りを持っていたし、我ながら高尚な人間だと自負していたので、この本能からのシンプルな攻撃にいささか面食らった。
まだ私にも、こんなものが残っていたのかと驚いた。
だが私は夕食の前に、お菓子を食べ過ぎて母親に叱られる子供とは違う。
たかだか下半身が激しく反応したからといって、真の目的を忘れてしまう愚か者ではないのだ。
私は胸の内や身体の反応を彼女に察知されないようにキャンバスの陰に隠れた。
画を描く準備をする。
彼女にソファーに寝そべるよう指示してデッサンを開始した。
この後のメインディッシュのことだけを考え意識を集中させると、雑念は次第に消えていった。
良かった。
彼女は最高傑作になる素材なのだ。
獰猛な欲望にさらされ完璧な容姿に傷がつくなど、けしてあってはならない。
たとえその欲望の主が私自身であったとしても。
それは芸術への冒涜だ。
美しさの損失だ。
私がその蛮行の犯人になるなど、とても容認できない。
そんな風に思考を続けていると徐々に気持ちは収まり、時間もあっという間に過ぎた。
もう良いだろう。
彼女も私を疑わないはず。