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私の全身が雷に打たれたような衝撃を受け、ほとんど同時に意識を失った。
眼が覚めると、いまいましい七奈が言った通り、私は大勢の警官に囲まれていた。
大人しい七奈が2人の刑事に地下室に5人の女が隠されていると告げているのが見えた。
もう1人の七奈は居なくなっている。
こうなったからにはあの女はデタラメではなく、真実を話していたことになる。
何ということだ。
私は別の世界からやって来た女に。
私がこの世界で6番目に殺すはずだった女を救うためにやって来た別の世界の「松岡七奈」の手によって、牢獄に叩き込まれるはめになったのだ。
こんな異常でキテレツな事態があるだろうか。
私は警官たちにもみくちゃ気味に拘束されながら、あまりの悔しさに人目もはばからず、わんわんと号泣した。
私は刑務所の独房に居る。
地下室から出てきた芸術作品たちによって、私は死刑を宣告された。
私の偉業を理解できないバカどもによって、生命を奪われる日まで歯噛みしながら過ごしている。
屈辱に耐える地獄のような毎日だ。
しかし。
私は考えるのだ。
あの日、突如現れた別の世界の「松岡七奈」は私の人生に終止符を打ったわけだが、同時に希望の光も示してくれたのではないだろうか?




