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「私がこの世界の七奈さんと、そっくり同じ服を着ているのが不思議じゃありませんか? つい立ての後ろに出た私が彼女の服を見て、瞬時に元々着ていた服を変形させたのです。どういう意味か分かりますか? この世界とは違う、相当に進歩したテクノロジーレベルを私が所持している証明です。そのテーブルを越えて私に指一本でも触れてみなさい。あっという間に気を失って、次に目が覚めたら警察官に囲まれていますよ」
限界だった。
これ以上、この頭のおかしな女の話を1秒たりとも聞いていたくない。
ぶっ殺してやる!!
私はテーブルを跳び越えた。
コーヒーカップが、ひっくり返る。
大人しい七奈の悲鳴。
挑むような眼でこちらをにらんでいる七奈に私は躍りかかった。
結論から言おう。
私は相手に、たどり着けなかった。
もう少しで私の指が七奈に触れようかというところで異変が起こったからだ。




