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早く軌道修正しなければ。
ああ、よくよく考えれば。
無力な女が一人、増えただけだ。
こんな小娘二人に私は負けやしない。
生意気な七奈は少々、怪我をさせたってかまわないのだ。
大人しい七奈は威勢が良い七奈を黙らせれば脅しで何とでも出来る。
そうだ、まだ大丈夫だ。
計画は破綻してはいない。
どうやってこの屋敷に入り込んだかは全然皆目、見当がつかないが、この余計な女を片づければ良いだけだ。
私は二人をにらみ、ゆっくりと立ち上がった。
テーブルを飛び越え、生意気な七奈に掴みかかってやろう。
度肝を抜いてやる。
「あまり良い考えじゃないですよ」
生意気な七奈が言った。
口元が笑っている。
「私はあらゆるパターンを想定して、世界の壁を越えてきているのです。あなたのように、やけっぱちになった殺人犯を相手に出来ないとでも? もちろん、乱闘なんてしません。私の世界の技術はとても進んでいるので五十代の暴漢なんて、ものともしない自衛手段があるのです。大人しくしておいたほうが身のためですよ。このまま、この世界の警察が来るのを待ちましょう。それが賢い選択です」
私は怒りで一瞬、目の前が真っ赤になった。
この女、殺してやる!!




