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「つい立ての後ろへと出ました。この時間のこの場所で七奈さんの生命反応が消えるのは、すでに把握していましたから。そして七奈さんが居なくなる状況に、あなたが深く関係しているとも容易に推理できました。それで私は少々、時間はかかりましたが事情を七奈さんに説明したのです。いくら自分とはいえ、納得してもらえるか不安でしたが」
つい立ての向こうで七奈が大きな声を出し、ぶつぶつと何か呟いていた時間はあった…。
あのとき、つい立ての陰では…。
「何とか分かってもらえました。やっぱり、さすが私です!」
二人の七奈は、お互いの両手を握り合った。
「もう大丈夫です。何も心配する必要はありません」
七奈の声が私の頭の中でガンガンと響いた。
頭痛がしてきた。
何だ、これは?
途中までは完璧だったのに。
予定通りなら、今頃はとてもウキウキする楽しい作業が始まっていたはずなのに。
それなのに、何だこれは?
まるで悪夢だ。
早く。




