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今、彼女に感じている期待が裏切られず私の願いが叶えられるのか、すぐに確かめたくなった。
「松岡七奈さん」
私は彼女の名を呼んだ。
「はい」
小さな声で答え、彼女は顔を上げた。
私の眼鏡のレンズ越しに彼女と眼が合う。
「今回のヌードモデルの条件を念のため、もう一度説明します」
私の言葉に彼女は頷いた。
そこから私は報酬や、今、彼女と向かい合っているこの応接間のある私が所有する山奥の一軒家に寝泊まりする注意点などをつらつらと述べたのだが、そんなものは実際のところ何の意味もなくて、ただただ彼女の警戒心を解くためだけに行っているにすぎなかった。
何と言っても彼女は、あと3時間ほど経てば完全に私のものになっているので、食事や寝所の心配をする必要は一切なくなるのだ。
条件の説明が終わり、彼女は再び頷いた。
私にとってはむしろ、ここからが重要だ。
「電話でお話した通り、ここへ来ることを誰にも話していませんね?」