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「私はこの世界の『松岡七奈』さんを救うためにやって来ました。七奈さん、こっちへ来て」
彼女がそう言うと、つい立ての向こうから誰かが現れた。
それは。
「松岡七奈」だった。
私は混乱した。
何だ、これは?
いったい何が起こっている!?
いつの間にか「松岡七奈」とそっくりな女が出現して、つい立ての向こうに潜んで居たというのか!?
もう一人の七奈は最初の七奈…ああ、ややこしい!!
二人の七奈はソファーに並んで座った。
まるで双子のようだ。
最初の七奈は私に敵対心まる出しの眼差しを向けている。
つい立てから、さっき現れた七奈は私が恐ろしいのかもう一人の七奈に顔を向け、私の方を極力見ないようにしていた。
「七奈さん、これで私が言ったことが本当だって分かったでしょ?」
生意気な七奈が言った。
「はい、あなたの…私の言う通りでした」と大人しい七奈。
「私は世界の壁と時間を越えて、その」
生意気な七奈が、つい立てを指した。




