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「全ての選択がこの世界と違っている世界なら、あなたは全く殺人と関係ない善良な男で、素晴らしい家族に囲まれ平凡で幸せな一生を送っているかもしれない。はたまた」
彼女が私をぴしりと指した。
「あなたが最初の殺人を犯すまでは完全にこの世界と同じで、そこで何かのしくじりをしてしまって逮捕された世界だってあるのです。もっと極端に言うなら、あなたなんて初めから存在しない世界すらあるのですよ!」
彼女のあまりの語気の荒らさと迫力に私は何も言い返せず、ただただ、そのかわいらしい顔を見つめていた。
「私はその無限にある世界のひとつで生まれました。私の世界では科学が進み、すでに世界と世界の間の壁と時間を自由に行き来することが出来るのです。私は大学で特に、この分野の研究に打ち込みました。そして、この私と同じ『松岡七奈』が無数に居ると知ったのです」
彼女はそこで間を置き、睡眠薬が入ったコーヒーを一口飲んだ。




